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敷金礼金0円で「初期費用10万円で安く引っ越せた」20代女性→3年後、退去時に待っていた"落とし穴"

  • 2026.3.21
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

部屋探しをしていると、「敷金礼金ゼロ」「初期費用5万円で入居可能」といった広告を見かけることがあります。引っ越し費用を抑えたい人にとっては、とても魅力的な条件に見えるのではないでしょうか。

特に、社会人になったばかりの方や転職直後の方にとって、初期費用が安い物件は大きな助けになる存在です。

しかし、現場では「入居時は安かったのに、退去時に想定外の請求が来た」というケースを何度も見てきました。

今日は、敷金礼金ゼロ物件に入居した20代女性が、退去時に約20万円の請求を受けて驚いた実際のエピソードをご紹介します。

敷金礼金ゼロ物件に惹かれた20代女性

数年前、知人を通じて相談を受けたことがあります。当時20代半ばだった女性Aさんは、一人暮らしを始めるため賃貸物件を探していました。

しかし悩みだったのは初期費用です。一般的な賃貸契約では、次のような費用が必要になります。

  • 敷金
  • 礼金
  • 仲介手数料
  • 前家賃

家賃7万円の部屋でも、これらを合計すると初期費用は30〜40万円前後になることが珍しくありません。

そんなときAさんが見つけたのが「敷金礼金0円」の、いわゆるゼロゼロ物件でした。不動産会社の担当者はこう説明したそうです。

「初期費用はかなり抑えられますよ」「引っ越し費用を入れても10万円くらいです」

貯金が多くなかったAさんにとって、その条件は非常に魅力的でした。内見をしたその日のうちに、Aさんはほぼ迷うことなく契約を決めました。

「これなら安く引っ越せる」

そう安心して、新しい生活を始めたのです。

「安く引っ越せた」と安心して暮らしていた

Aさんはその後、約3年間その部屋で生活しました。築年数はやや古いものの駅から近く、家賃も周辺相場より少し安い物件でした。大きなトラブルもなく、Aさんは「初期費用も安く済んだし良い部屋を見つけた」と感じていたそうです。

しかし、転職をきっかけに引っ越すことになり、状況は大きく変わります。問題が起きたのは、退去の立ち会い(部屋を明け渡す際に管理会社と室内状態を確認する作業)のときでした。

管理会社の担当者が室内を一通り確認したあと、こう説明しました。

「それでは、退去費用のご説明をいたします」

そして提示された金額は、約20万円。Aさんは思わず聞き返したそうです。

「え?そんなにかかるんですか?」

すると担当者は契約書を開きながら、淡々とこう説明しました。

「こちらは契約時の特約になります」

退去時に待っていた“契約の特約”

その請求の内訳は次のようなものでした。

  • ハウスクリーニング費用:約7万円
  • エアコン清掃費用:約2万円
  • 鍵交換費用:約3万円
  • 原状回復費用:約8万円(通常の使用による劣化は大家負担だが、過大な汚れや傷がある部分は借主負担となるため)

「敷金から引かれるんですよね?」

すると担当者はこう答えました。

「この物件は敷金がありませんので、全額ご負担になります」

ここでAさんは、初めて契約の仕組みに気づいたそうです。

契約書の特約欄には「退去時のハウスクリーニング費用は借主負担とする」と明記されていました。さらに、エアコン清掃費用や鍵交換費用も同様に、借主負担とする内容が記載されていたのです。

つまりこの物件は、入居時の初期費用を抑える代わりに、退去時に費用が発生する契約になっていました。

Aさんは「初期費用が安い物件」だと思って契約していましたが、実際には支払いのタイミングが後ろにずれていただけだったのです。

ゼロゼロ物件の落とし穴

最初から「敷金1ヶ月」「礼金1ヶ月」の物件を選んでいた場合、退去費用は敷金から差し引かれていた可能性があります。もちろん、敷金でも足りない場合は追加請求されることもあります。

しかし、敷金がある契約では退去費用の一部が事前に預けてあるお金から精算されるため、退去時の負担が小さく感じられるケースも少なくありません。

ゼロゼロ物件は、初期費用を抑えて入居できるというメリットがあります。ただし、契約内容によっては以下のような費用を借主負担とする特約が設定されていることがあります。

  • 退去時のクリーニング費用
  • 設備清掃費用
  • 鍵交換費用

入居時は安く見えても、契約内容によっては退去時にまとまった費用が発生する場合があります。そのため、ゼロゼロ物件を検討する際は、契約書の特約内容まで確認しておくことが大切です。

こうならないために確認してほしいこと

同じトラブルを防ぐためには、契約前の確認が重要です。特にゼロゼロ物件では、契約書の特約欄を必ず確認してください。

また、金額が具体的に書かれているかも大切です。「クリーニング費用は借主負担」とだけ書かれている場合、退去時に高額請求になるケースがあります。

もし退去時に、契約書にない費用や相場より高い費用を請求された場合は、管理会社に確認したり、消費生活センターへ相談したりすることで減額できる可能性もあります。

部屋を決める前に、退去時にかかる費用まで確認しておくことが大切です。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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