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乙女心を携えて、1世紀の時間旅行 旅館花屋[長野・別所温泉]

  • 2026.2.14

CREAが取材してきた数多の温泉宿から、ひとりに優しい魅力ある温泉宿をセレクト。いつか訪れたい憧れの宿、再訪したい思い出の宿、絶景を楽しむサウナも併せてご紹介。

歴史ある優れた建築と向き合うのも、ひとり温泉の醍醐味。歳月を重ね、こだわりあるお手入れが施された館内で、心と体の休日を。


乙女心を携えて、1世紀の時間旅行

●旅館花屋[長野・別所温泉]

6500坪もの敷地に1500坪の木造建築が、山に沿うように点在する。

「個性は、ただの“古さ”ではなくて」それまでの、ほがらかで優しげな表情が一瞬、引き締まる。

「受け継ぎ磨かれて、残されてきたもののよさ。日本文化の伝統と歴史に想いを馳せて、日常とは違う時間を楽しんでいただきたいですね」と続け、ふたたび顔をほころばせる。

ご案内くださった下澤佐織さんのこの言葉こそが、「旅館花屋」の正しい味わい方と言えるだろう。

中庭を望むロビー。4代目の当主が「マルニ木工」で揃えたという味わいの出た調度品の数々が。

いわれを辿れば、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の時代から。信州最古の温泉としてひときわの歴史を携える別所温泉。「ここにゆったりくつろげる宿を作ろう」と、地元の有志たちが共同出資し、建てられたのが大正6年のこと。

昭和に入って老朽化が進み、界隈の旅館がビル型にぞくぞく建て替える中、4代目当主の飯島春三氏はこれを頑なに拒否。

大理石が印象的なクラシックな内風呂(現在、一部改修)。

当時の趣を大切に抱き留めながら、慎重に修繕や増築を重ね、2026年に110年を迎える。貫いた意思が花咲き、ほぼ全館が文化庁登録有形文化財に登録されている。

磨かれた古き意匠に誘われ、奥へ、奥へ

屈折しながら奥へと延びる渡り廊下は探検するような感覚で。

「館内を歩くだけでも、季節ごとのいろんな発見があると思います」と下澤さんも言うように、ここで、ひとりで、存分に愉しみたいのは回遊だ。

館内をつなぐ渡り廊下。季節ごとに様々な顔を見せる中庭を愛でながら。
左:愛らしい照明に小さな鏡台、冬はこたつと、ほっとくつろげる客室。右:露天風呂へと向かう道中にもワクワクさせられる。

広大な敷地の中を、エントランスからロビー、渡り廊下を介して客室へ、ダイニングへ、温泉へ。

身近にある自然をモチーフとして取り込んだステンドグラスなどの装飾が至るところに。

あまたの寺院を手がけた宮大工による遊び心たっぷりの建築に、悠然とした浪漫を醸す家具、丁寧に手入れされた庭、細かい意匠の数々に、潜む乙女心がたまらず溢れ出す。

界隈の温泉街も古き素朴さを未だ残す。

さらに古き情緒を未だ残す別所温泉界隈をめぐるのも楽しい。

もはや場所だけでなく、時の移ろいをも感じる旅が、ここならば。

旅館花屋

所在地 長野県上田市別所温泉169
電話番号 0268-38-3131
ひとり料金 1泊2食付き25,450円~ (冬期・本館利用時)
ひとり対応 冬季平日のみ
アクセス 上田電鉄別所温泉駅より徒歩5分

※掲載されてる情報は、2025年12月現在のもので、諸事情により変わる場合もあります。今号に掲載した各施設、店舗などの情報は通常営業時のものです。実際の運営・営業状況については、ホームページなどをご参照いただくか直接お問い合わせください。お出かけの際には、政府・各自治体などから出ている要請措置、注意喚起をご確認ください。

※価格は表示がなければ、消費税込み(標準税率10%もしくは軽減税率8%)です。施設によりサービス料、入湯税など別途加算される場合があります。


続きはCREA Due「楽しいひとり温泉。2026」でお読みいただけます。

Text=Mitsuharu Yamamura
Photographs=Masahiro Sambe

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