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「学童にWi-Fiないのにどうしろと…」令和の“夏休みの宿題”に一部保護者から悲鳴があがるワケ

  • 2026.7.16
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出典元;PIXTA(画像はイメージです)

近年、学校では一人一台端末の活用が進み、夏休みの宿題にもタブレットドリルを取り入れる学校が増えています。一方で、SNSでは「学童にはWi-Fiがないのにどうしろと…」「紙の教材も用意してほしい」といった声も上がり、家庭や子どもの学習環境によって差が生まれることを懸念する意見も見られます。

タブレットによる宿題にはどのようなメリットや課題があるのでしょうか。また、学校はどのような点に配慮すべきなのでしょうか。

今回は、2年前まで公立小学校の教員を務め、実際に長期休業中の宿題をタブレットで出していた風間千歌さんに、タブレットドリル導入のメリットと課題、そして紙教材との上手な付き合い方について詳しくお話をお聞きしました。

タブレットでの宿題配信、教員や家庭にとっての本当のメリットと課題とは?

――近年、夏休みの宿題をタブレットドリルで出す学校も増えています。元教員として、このような取り組みにはどのようなメリットや課題があるとお考えでしょうか。

風間千歌さん:

「私は実際に、ドリルアプリで課題を配信して期日までに取り組んでもらったり、夏休みに頑張ったことを写真や動画で記録して発表してもらったりしていました。

メリットとして、まず教員側の負担が大きく軽減される点が挙げられます。私が教員になりたての15年ほど前は、夏休み用のプリントを児童数分印刷し、表紙を付けて一冊ずつ手作業で綴じていました。タブレット配信ができれば、夏休み前の多忙な時期にこうした印刷・製本・配付の手間を一気に省くことができます。

子どもや家庭にとっても、宿題に取りかかるハードルが下がるメリットがあります。筆記用具や教材を広げる必要がある紙の宿題と違い、端末を開けばすぐに取り組めます。さらに、自動で正誤や解説が表示されるアプリも多く、特に低学年の家庭で負担になりがちな『保護者の丸付けや学習サポート』の手間が減るのも大きな利点です。

一方で課題もあります。長時間画面を見続けることによる視力への影響です。また、学習以外のアプリや画面を開いてしまい、集中できなくなる子どももいるでしょう。

タブレットドリルは教員や家庭の負担を減らす便利な手段ですが、すべての子どもが集中できるとは限らないため、使用時間や適切な使い方に配慮しながら活用することが大切だと感じています。」

多忙な家庭での宿題のあり方と、気になる「通信環境」への配慮

――投稿のように、Wi-Fi環境や家庭・学童での過ごし方など、子どもによって学習環境が異なるケースもあります。学校が宿題を出す際には、どのような点へ配慮することが望ましいのでしょうか。

風間千歌さん:

「私が現職時代、長期休業中の宿題を出す際に特に意識していたのは、子どもが現実的にやり切れる量にすることです。

共働き家庭が増え、学童や祖父母の家など、日中を自宅以外で過ごす子どもが増えています。そうした状況で多すぎる宿題を出せば、子どもの休息や家族と過ごす時間まで圧迫してしまうため、毎日短時間で取り組める量にすることが大切です。

一方で、苦手分野の振り返りや学習習慣の維持という点で、夏休みに一定の宿題を出す意義は十分にあると考えます。

タブレットを使う宿題の場合、まず学校側が家庭の通信環境を把握しておく必要があります。私が勤務していた自治体でも、年度初めにWi-Fi環境を調査し、環境がない家庭にはポケットWi-Fiを貸し出していました。

ただし、家庭にWi-Fiがあっても、長時間過ごす学童などでは接続できないケースがあります。そのため学校側は『常に通信できる』ことを前提にせず、事前に課題を端末へダウンロードできるようにしたり、紙の教材も選べるようにしたりと、複数の選択肢を用意することが望ましいでしょう。

学校はすべての子どもが取り組める最低限の環境や代替手段を整える。一方で家庭も、それぞれの生活の中で短時間でも取り組む時間をつくる。このように、学校と家庭が互いに協力し合える形が望ましいと考えます。」

タブレットか、紙か?子どもの成長に必要な「使い分け」のポイント

――タブレットドリルだけで宿題を完結させることについて、学習面や子どもの成長という観点からどのようにお考えでしょうか。紙教材と併用する意義があればあわせて教えてください。

風間千歌さん:

「タブレットドリルには、手軽に取り組めることや、その場で正誤を確認できること、ゲーム感覚で学べることなど、多くの利点があります。

一方で、子どもの学びや成長を考えると、宿題をすべてタブレットだけで完結させるのではなく、紙教材と併用することが望ましいと考えます。

タブレット上で答えを選んだり文字を書いたりする学習と、紙に鉛筆で書く学習には、異なるメリットがあります。特に、計算の途中式を書いたり、文章を組み立てたり、自分の考えを図や言葉で整理したりする学習では、紙の方が思考の過程を残しやすいです。

また、鉛筆を持って文字を書くことや、学習用具を準備して机に向かうことも、子どもにとって大切な経験です。一方、反復練習や基礎的な内容の確認には、正誤がすぐに分かるタブレットドリルが適していることもあります。タブレットと紙のどちらか一方が優れていると考えるのではなく、学習の目的に応じて使い分けることが大切です。

学校によっては、さまざまな事情から夏休みの宿題をタブレット中心にしている場合もあるでしょう。その場合でも、端末での学習が難しい子どもや、紙で取り組む方が学びやすい子どものために、必要に応じてプリント教材を選べるなど、代替手段があることが望ましいと思います。

家庭でも、読書や日記、ドリルなど、紙教材での学びを無理のない範囲で取り入れることはできます。タブレットの便利さを生かしながら、紙に書く経験や、自分の頭でじっくり考える時間も失わないことが大切だと考えます。」

タブレットと紙、それぞれの良さを生かした学びを

タブレットドリルは、教員や家庭の負担を軽減し、子どもが手軽に学習へ取り組めるなど、多くのメリットがあります。一方で、通信環境の違いや子どもによって学習しやすい方法が異なることから、すべてをタブレットに置き換えることには課題もあります。

大切なのは、タブレットか紙かの二者択一ではなく、それぞれの特長を生かしながら、すべての子どもが無理なく学べる環境を整えていくことなのかもしれません。


監修者:風間千歌

小学校教諭として10年以上、公立小学校に勤務したのち、2人目の妊娠を機に退職。現在はフリーランスライターとして、教員経験を活かした模試の執筆や入試問題の解説のほか、育児・教育分野のウェブメディアで執筆を行っている。

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