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W杯、居酒屋でDAZNは流せる?ダメ?店で「サムライブルー」を“合法的”に映す方法は

  • 2026.6.16
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

日本代表戦や決勝戦などを店内で流し、来店客と一緒に盛り上がりたいと考える飲食店も少なくないかもしれません。一方で、「地上波なら自由に流せるの?」「DAZN配信を店舗で映すには別途契約が必要?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

特に近年は、WBCでの配信サービスによる放映権も話題となり、店舗でのスポーツ観戦のルールに注目が集まっています。FIFAワールドカップ2026を飲食店で放映する際、どのような点に注意すべきなのでしょうか。弁護士の寺林智栄さんに話を伺いました。

飲食店でW杯を放映する場合、著作権法上の問題は?

---FIFAワールドカップ2026を飲食店で放映する場合、著作権法上どのような点に注意が必要でしょうか?

寺林智栄さん:

「FIFAワールドカップ2026を飲食店で放映する場合、まず著作権法上問題となるのは『公衆に対する上映』に当たるかどうかです。もっとも、日本の著作権法では、適法に受信したテレビ放送を受信機によってそのまま公に見せる行為については、原則として著作権者の許諾は不要とされています。そのため、飲食店が地上波放送をテレビで受信し、店内の来店客に視聴させる行為自体は、通常、著作権侵害にはなりません。

一方、家庭での視聴は私的利用の範囲にとどまるのに対し、飲食店での放映は営業目的で不特定多数の客に視聴させるものであり、『公衆への提供』という性質を持ちます。そのため、著作権法だけでなく、放送事業者や配信事業者との契約条件にも注意が必要です。

特にDAZNによるインターネット配信を店内で放映する場合は、著作権法上の問題よりも利用規約上の問題が重要になります。DAZNは、飲食店やスポーツバーなどの商業施設で利用する場合、『DAZN for Business』という商用ライセンスの取得を求めています。商業施設での利用には個人契約ではなく商用ライセンスが必要と明示されており、個人向け契約を用いて店内放映を行うと利用規約違反となる可能性があります。

また、大規模なパブリックビューイングについては、FIFAが別途ライセンス制度を設けている場合があり、イベントの規模や実施形態によってはFIFA側の許諾が必要となることもあります。」

DAZN配信を店舗で流すには商業ライセンスが必要?

---DAZN配信を店舗で流す場合、商業ライセンス契約は必要になるのでしょうか?

寺林智栄さん:

「DAZN配信を居酒屋やスポーツバーなどの店舗で放映する場合、一般的な個人向けDAZN契約だけで店内上映を行うことは認められていません。DAZNは、飲食店や商業施設などでの視聴について、先ほども述べたように、『DAZN for Business』などの商業利用向けサービスの契約を求めています。

これは、家庭内での個人的な視聴と異なり、店舗での放映が集客や売上向上といった営業上の利益につながるためです。そのため、店舗でDAZN配信を流す場合には、DAZNが指定する商業ライセンス契約を締結し、契約条件に従って利用する必要があります。

仮に店舗が個人向けアカウントを利用して試合を放映した場合、著作権侵害が直ちに成立するとは限りませんが、少なくともDAZNとの利用契約違反となる可能性があります。利用規約違反が認められた場合には、アカウントの停止・解約、損害賠償請求、未払いライセンス料相当額の請求などの問題が生じる可能性があります。

また、ワールドカップのような大型国際大会では、単なる店内放映を超えて、参加費を徴収するイベントや大規模なパブリックビューイングを開催するケースもあります。このような場合には、DAZNとの契約だけでなく、FIFAや権利管理者が定めるパブリックビューイングに関するライセンスやガイドラインへの適合が必要になることもあります。

したがって、DAZN配信を店舗で利用する際には、『インターネット配信だから自由に流せる』と考えるのではなく、商業利用に該当するかを確認したうえで、必要なライセンス契約を締結することが重要です。特にワールドカップのような注目度の高い大会では、通常時以上に権利処理や契約条件への注意が求められます。」

地上波と配信サービス、店舗での利用ルールはどう違う?

---地上波放送と配信サービスでは、店舗での利用ルールに違いがあるのでしょうか?

寺林智栄さん:

「まず、地上波放送については、著作権法上、適法に受信した放送を通常の受信機によって公衆に見せる行為は、一定の場合に権利者の許諾を要しないとされています。そのため、飲食店がテレビで受信した地上波放送を店内で流す行為は、一般的には著作権法上問題になりにくいと考えられています。

これに対し、NetflixやDAZNなどの配信サービスは、著作権法だけでなく、サービス利用規約によって利用範囲が定められています。多くの配信サービスは個人・家庭内での視聴を前提としており、店舗や商業施設での上映を禁止したり、別途商業ライセンスの取得を求めたりしています。そのため、著作権法上は問題がないように見える場合でも、利用規約違反となる可能性があります。

2026年のWBCをめぐっても、配信サービスによる独占配信や限定配信が行われたことで、店舗で視聴会を開催できるのか分からないという声が聞かれました。同様に、FIFAワールドカップ2026についても、どの媒体で視聴するかによって確認すべき事項が異なります。

事業者としては、①視聴する媒体が地上波放送なのか配信サービスなのか、②配信サービスの利用規約で商業利用が認められているか、③商業ライセンスや法人契約が必要か、④イベント形式や集客目的で実施する場合に追加の許諾が必要か、という点を事前に確認しておくことが重要です。

特にスポーツバーや居酒屋などでは、『家庭用契約をそのまま店舗で利用しても問題ないだろう』と考えがちですが、配信サービスでは契約違反となるケースも少なくありません。ワールドカップのような注目度の高い大会ほど、事前に放映条件を確認し、必要な手続きを行うことがトラブル防止につながるでしょう。」

「テレビなら大丈夫」とは限らない?事前確認がトラブル防止のカギ

スポーツ観戦をきっかけに集客を図りたい飲食店にとって、ワールドカップは大きなチャンスのひとつです。一方で、視聴する媒体によって適用されるルールは異なり、地上波放送と配信サービスでは必要な手続きが変わることもあります。

特に、配信サービスは著作権法だけでなく利用規約による制限も受けるため、「個人契約だからそのまま店舗でも使える」と考えるのは注意が必要です。

ワールドカップのような注目度の高い大会だからこそ、事前に利用条件やライセンスの有無を確認し、適切な方法で放映することが、安心して営業を行うための第一歩といえそうです。


監修者:寺林智栄

2007年弁護士登録。札幌弁護士会。てらばやし法律事務所。2013年頃よりネット上で法律記事の執筆・監修を開始。Yahoo!トピックスで複数回1位獲得。読む方にとってわかりやすい解説を心がけています。

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