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20年前、ソロ活動で辿り着いた“剥き出しの情熱” アニソンの枠を超えた“深化の一曲”

  • 2026.2.27

20年前、冬から春へと移ろう柔らかな光の中で、あの力強くも切ない旋律が耳に飛び込んできた瞬間のことを覚えているだろうか。まだ寒さの残る2月の街角、吐き出す息が白く染まる季節に、私たちの心に深く突き刺さったのは、ある孤高の表現者が放った「再生」の音だった。

HYDE『SEASON'S CALL』(作詞:HYDE・作曲:K.A.Z)――2006年2月22日発売

荒野に咲く一輪の花のような強さと脆さ

この楽曲がリリースされた2006年という時代は、日本の音楽シーンがより多様な表現を模索し、個のアーティスト性が強く求められた時期であった。この曲がまとっていたのは、どこまでも突き抜けるような青空の色彩と、大地を揺らす力強いロックの鼓動だった。

イントロから鳴り響くギターのアルペジオの柔らかな音色は、まるで長い冬が終わり、芽吹きを待つ土壌の温もりを想起させる。そこに重なる重厚なギターサウンドは、単なる激しさではなく、未来へと突き進もうとする意志の強さを物語っていた。聴き手の心に、静かな勇気と切なさを同時に流し込むような、不思議な引力を持った一曲だった。

特筆すべきは、そのボーカルの透明感である。激しいロックサウンドの中にあっても、彼の歌声は決して埋もれることなく、むしろ音の渦の中心で凛として輝きを放っていた。サビに向かって一気に感情が解放される展開は、聴く者の魂を揺さぶり、日常の閉塞感を打ち破ってくれるようなカタルシスを感じさせたものである。

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HYDE-2006年撮影(C)SANKEI

二人の才能が化学反応を起こした「FAITH」への助走

この楽曲を語る上で欠かせないのが、作曲を手がけたK.A.Zの存在だ。当時、バンドの解散を経て彼は、自身の目指すべきサウンドの核心に触れようとしていた。そこで出会ったのが、後にVAMPSという唯一無二のユニットを組むことになる名ギタリストであった。

K.A.Zによるメロディは、USオルタナティブ・ロックの洗練された重厚さと、日本人の琴線に触れる抒情的な旋律が見事に融合している。この絶妙なバランスこそが、単なるハードロックの枠を超え、多くの人々の記憶に刻まれる普遍的な名曲へと昇華させた要因と言えるだろう。

また、この曲が収録されたアルバム『FAITH』へと続く流れの中で、彼は自らの精神性をより深く、よりストレートに音へと投影させていった。それは宗教観や平和への祈り、そして人間という存在の根源的な孤独と愛を見つめる旅でもあった。その序章とも言えるこのシングルには、新たな地平へと踏み出す表現者の、剥き出しの情熱が凝縮されていたのである。

物語の運命と重なり合う「血」と「約束」の調べ

さらに、この曲の存在を確固たるものにしたのが、TBS系アニメ『BLOOD+』との出会いだった。第2期のオープニングテーマとして、映像とともに思い出すファンも多いはずだ。主人公・小夜が背負った過酷な運命、そして果てしない戦いの中に灯る微かな希望。

歌詞に込められたメッセージは、アニメの世界観と驚くほど密接にリンクしていた。ドラマティックな楽曲構成は、物語の加速に合わせて聴き手のテンションを最高潮まで引き上げた。イントロの静寂から、サビの爆発、そしてアウトロへ向かう余韻。それは一話一話が紡がれる壮大なサーガの幕開けにふさわしい、荘厳な響きを湛えていたのだ。

20年の時を経て、なお瑞々しく響く理由

リリースから20年という月日が流れた。音楽を聴く環境も、世の中の価値観も劇的に変化したが、この曲が放つ輝きは少しも色褪せていない。それどころか、季節が一周し、また新しい春を迎えようとするたびに、この旋律は特別な意味を持って私たちの元へと帰ってくる。

それは、この曲が単なる流行の産物ではなく、一人のアーティストが自らの魂を削り、真摯に音楽と向き合って生み出した「本物」だからに他ならない。色褪せることのないメロディ、普遍的な愛を歌った言葉。それらは時代を超え、今を生きる私たちの背中をそっと押してくれる。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。