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「年収100万円以上アップしたケースも」“転職は30代が限界”は間違いだった…40代で「年収が上がる人」の共通点とは?

  • 2026.2.18
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

40代で管理職として責任を抱え、家族や住宅ローンといった重圧を感じながら、「今さら動けない」と立ち止まっている方は少なくないでしょう。かつての「35歳限界説」が今も頭をよぎり、転職に二の足を踏んでいませんか?

しかし、現代の転職市場は大きく変化しています。実は多くの企業が、長年培ってきた経験と「人を育てる力」を持つ40代の人材を強く求めているのです。

この記事では、40代転職のリアルな現状と、年収アップを実現するための具体的な戦略を、あゆ実社労士事務所の加藤あゆみさんに詳しく伺いました。

40代の転職は「もう遅い」のか? 専門家が見る市場の現実

---管理職として責任を抱え、「今さら動けない」と感じる40代の転職は、現実的に厳しいのでしょうか?また、企業が40代に本当に求めているものは何でしょうか?

あゆ実社労士事務所さん:

「管理職として責任を抱え、家族もいる。住宅ローンもある。『今さら動けない』と立ち止まっていた40代の方が、実際には年収100万円以上アップして転職されるケースを、私はこれまで何度も見てきました。

35歳限界説が生まれた背景には、かつての日本企業が新卒一括採用と年功序列を前提としていたことがあります。若手を安く採用して長期間育てる仕組みでは、確かに35歳を過ぎた中途採用者は『割高』に映りました。

しかし現在は状況が大きく変わっています。人事として採用に関わる中で痛感するのは、多くの企業で若手が採用できない、採用してもすぐに辞めてしまう、そして何より『教えられる人がいない』という深刻な課題に直面していることです。育成の空白が生まれている企業も少なくありません。

だからこそ、40代の経験者が求められています。年収を上げている転職者に共通するのは、『再現性のある成果』と『人を育てる力』です。ある営業マネージャーは、部下5名のチームを率いて前年比120%の売上を達成しただけでなく、若手3名を次期リーダー候補に育てた実績を持っていました。人事の視点から見ると、こうした方は採用後のリスクが低く、むしろ組織全体の離職率を下げる可能性があります。企業が評価するのは、数字そのものよりも『どう実現したか』という再現可能なノウハウと、若手の離職を防ぎながら組織を強くする力だと感じています。実際に採用面接で『技術は社内にもあるが、それを若手に伝えられる人がいない。だからこそ育成経験のある方に来てほしい』という声を聞くことは少なくありません。

企業が40代に求めているのは、単なる即戦力ではなく『組織の穴を埋められる人』です。技術や知識に加えて、経営層の意図を現場に翻訳し、若手の意見を吸い上げて組織をつなぐ『通訳者』としての役割が期待されています。これまで積み上げてきた経験には、確かに意味があります。それを言語化し、再現可能な形で示せるかどうかが、年収アップの鍵になっていると思います。」

「焦り」が裏目に? 40代が陥りやすいキャリア戦略の落とし穴

---40代の転職で「焦り」から資格取得や異業種への挑戦を考える方も多いですが、どのような点に注意すべきでしょうか?成功するためのキャリア戦略のヒントを教えてください。

あゆ実社労士事務所さん:

「『何か新しいことを始めなければ』という焦りから、40代で資格取得や異業種への挑戦を考える方は少なくありません。しかし、その選択がこれまでの積み上げと結びついていない場合、人事の視点から見ると『方向性が見えない』と受け取られてしまうことがあります。

逆効果になりやすいのは、これまでの経験を捨てて、全く新しいことをゼロから始めようとするケースです。たとえば、メーカーで15年間生産管理をしてきた方が、突然『これからはITの時代だから』とプログラミングスクールに通い、未経験でエンジニアを目指す場合です。挑戦自体は素晴らしいことですが、40代では『なぜ今その選択なのか』『15年間の経験をどう活かすのか』をより明確に説明する必要があります。採用側から見れば、その説明がないと『なぜ強みを捨てるのか』という疑問が先に立ち、書類選考の段階で見送られるケースも少なくありません。

大切なのは、40代のキャリアを『足し算』ではなく『掛け算』で考えることです。生産管理の経験に、たとえばデータ分析のスキルを掛け合わせて『データドリブンな生産改善』の専門家になる方が、市場価値は高まる傾向があります。全く新しい分野に飛び込むのではなく、これまでの土台に新しい要素を掛け合わせることで、独自性が生まれます。

資格についても同じことが言えます。人事労務の実務経験がないのに社会保険労務士資格だけを取得しても、企業は『実務ができるかわからない』と判断することがあります。一方で、10年間人事として給与計算や労務管理を担当してきた方が社労士資格を取得すれば、『専門性に裏付けがある』と評価されやすくなります。資格は実務という土台の上に乗せて初めて価値を持つものです。

異業種への挑戦も、『職種の軸』を残しながら業界を変える方が、成功する可能性は高まる傾向があります。製造業の品質管理経験者が、医療機器業界の品質管理職に転職するケースです。特に40代では、新しいスキルを習得する時間よりも、これまで培ってきた『人を育てる経験』や『組織を回す力』を評価される場面の方が多いと感じています。人事として多くの面接に立ち会ってきましたが、『未経験の技術を学んでもらうより、若手を育てた経験のある方に、育成の仕組みごと持ってきてほしい』という企業側のニーズは少なくありません。積み上げてきたものには、必ず価値があります。それを捨てるのではなく、どう広げていくかという視点が大切だと思います。」

転職の成否を分ける! 40代が実践すべき「価値の言語化」とは

---いざ転職活動を始めようと思っても、何から手をつければ良いか迷う方も多いでしょう。転職サイト登録の前に、40代がまず取り組むべき準備は何でしょうか?

あゆ実社労士事務所さん:

「転職サイトに登録する前に、まずやるべきことがあります。それは『自分のこれまでを、数字と言葉で説明できるようにする』ことです。

多くの方は『営業を15年やってきました』『マネジメント経験があります』と職務経歴書に書きますが、人事の視点から見ると、これでは企業には伝わりません。管理職として日々の業務に追われる中で、自分が何をしてきたのか、何ができるのかを立ち止まって整理する機会はほとんどありません。だからこそ最初の一歩として、過去3年間で自分が関わったプロジェクトや業務を洗い出し、『何を、どうやって、どんな成果を出したか』を数字とストーリーで整理することをお勧めします。

たとえば、『新規顧客開拓で年間30社を担当し、成約率を前年比15%向上させた。その際、提案資料のフォーマットを刷新し、チーム全体で共有することで、他のメンバーの成約率も平均10%上がった』というように、自分の行動が組織にどう波及したかまで言語化します。特に40代では、自分だけの成果よりも『若手をどう育てたか』『離職をどう防いだか』という視点を加えると、企業の関心は高まる傾向があります。採用担当者として多くの書類を見てきた経験から言えば、この『組織への波及効果』を示せる方は、選考を通過しやすいと感じています。

また、社内の上司や同僚に『自分の強みは何だと思うか』を率直に聞いてみるのもよいでしょう。自分では当たり前だと思っていることが、他者から見ると貴重なスキルである場合は少なくありません。特に『人を育てた経験』は、本人が軽視しがちですが、企業が最も欲しがっている要素の一つです。

この棚卸しを終えてから、転職エージェントと面談して市場での立ち位置を確認する、というのが次のステップになります。転職活動は『売り込み』ではなく、『自分の価値と企業のニーズをすり合わせる作業』です。まず自分を知ることから始める。それが、遠回りに見えて最も確実な一歩だと思います。積み上げてきた経験には、必ず意味があります。それを言葉にすることから、すべてが始まります。」

40代の転職成功は「過去の積み上げ」を「未来の価値」に変えることから

「今さら動けない」という不安を抱えながらも、多くの40代が年収アップを実現している現代の転職市場。かつての「35歳限界説」は過去のものとなり、企業はむしろ、豊富な経験と「人を育てる力」を持つ40代の人材を強く求めています。

成功の鍵は、闇雲に新しいスキルを追い求めたり、これまでの経験を捨て去ったりするのではなく、自身のキャリアを「足し算」ではなく「掛け算」で捉え、独自の市場価値を創出することにあります。そして、その価値を具体的な数字とストーリーで「言語化」することこそが、転職活動の最初の、そして最も重要な一歩です。

あなたの積み上げてきた経験は、必ず誰かの役に立ち、組織の未来を創る力となります。まずは自分の「これまで」を深く見つめ直し、それを「これからの価値」として発信する準備を始めることから、あなたの新たなキャリアが拓かれるはずです。


監修者:あゆ実社労士事務所

人材育成・キャリア支援を軸に約10年の実務経験を持つ、社会保険労務士/国家資格キャリアコンサルタント。 IT企業の人事として、新卒・若手育成、研修設計、評価・キャリア支援の仕組みづくりに携わる一方、個人では企業や個人に向けたキャリア相談・人事支援を行っている。 これまでに累計100名以上のキャリア面談を実施し、1on1制度設計や面談シートの設計、育成施策の言語化を支援。 近年は生成AIを活用した業務設計・人事業務の効率化にも注力し、「現場で使えること」を前提にしたAI活用の伴走支援を行っている。