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「本当に危険」雪山での“バックカントリー”に物議…「迷惑」「罰金を取って」→事故が起きたら自己責任?スキー場 ?【弁護士が解説】

  • 2026.2.14
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

冬のレジャーとして人気のスキーやスノーボード。ゲレンデを飛び出し、手付かずの自然を滑る「バックカントリー」に魅力を感じる人が増えています。しかしその一方で、外国人観光客らによる管理区域外での遭難や事故が相次いで報じられ、社会問題となっています。

SNSでは、無謀な入山に対して「救助費用として多額の罰金を取ってもいいのではないか」「ルールを無視した滑走は本当に危険で、周囲への迷惑も大きい」といった厳しい声が噴出しています。

その先の具体的なリスクや、万が一の事故が起きた際の責任の所在、そして「保険に入っていれば大丈夫」という一般的な認識の誤解について考える機会は意外と少ないかもしれません。

本記事では、スキー場の管理区域外での事故に関する法的な側面、保険の落とし穴について、アディーレ法律事務所の島田さくら弁護士に詳しくお話を伺いました。

スキー場の管理区域外での事故は自己責任? スキー場に責任はないの?

---スキー場の管理区域外で遭難事故が起きた場合、自己責任になると聞きますが、本当にスキー場には一切責任がないのでしょうか?

島田さくら 弁護士:

「スキー場の管理区域外の事故については、原則は自己責任という考え方が土台になります。

長野地裁平成13年2月1日判決(立入禁止標識を越えて滑走し雪崩で死亡した事案)も、スキーは、スキーヤー自身が自己の技量に応じてコースを選択して滑走するものであって、滑走禁止とわかったうえで滑るのであれば、スキーヤー自身が安全管理義務を負い、結果として危険が生じた場合も原則として本人が引き受けるものと整理しました。

もっとも、スキー場が常に無関係という意味ではありません。スキー場の管理区域外でも、「スキー場が遭難の危険を現実にコントロールできる立場だったか」という点をポイントとして、スキー場側の安全配慮義務や管理責任が問題になることがあります。

たとえば、①リフトやゲートの構造上、管理区域外に出る動線がわかりやすく、実質的に管理区域外の外滑走を想定・誘導している、②管理区域外に出る人が多く、スキー場もそれを黙認している、③過去の事故、注意報、地形などから遭難や雪崩などの危険を予測できたのに、④立入禁止の警告表示、閉鎖、ロープ設置などの対策が不十分だったといった事情が重なると、管理区域外でもスキー場の責任が認められやすくなります。逆に「ここは立入禁止」と明確に示し、通常の利用者が危険を理解できる状況なら、スキー場の義務は限定されやすいです。」

「保険に入っているから安心」は大きな誤解? 見落としがちなリスクとは

---万が一の事故に備えて保険に入っていれば、費用面は大丈夫と考えてしまいがちですが、実はそう簡単ではないと聞きます。具体的にどのような点に注意すべきでしょうか? また、金銭面以外にも見落としがちなリスクはありますか?

島田さくら 弁護士:

「『保険に入っているから大丈夫』と考えてしまいがちですが、実はそう簡単な話ではありません。

一般的な傷害保険やレジャー保険では、最も高額になりやすい捜索費用・救助費用・ヘリ費用が補償の対象外となっているケースが少なくありません。また、約款には『故意・重大な過失』や『危険な行為』が免責や減額理由として定められていることも多く、結果として自己負担が大きくなったり、そもそも保険金が支払われない可能性もあります。

仮に捜索費用などが補償される保険に加入していたとしても、立入禁止の標識や閉鎖ロープを越えて侵入したり、注意表示を理解していながら滑走したような場合には、『危険を承知で行った』と評価されやすく、保険金が出ない、あるいは補償が大幅に減らされることもあり得ます。

さらに、問題は金銭面だけにとどまりません。プライベートの事故で長期欠勤が続き、休職期間内に復職の見込みが立たなければ、退職扱いとなる場合もありますし、業務に支障が出れば、職場での評価が下がることも十分考えられます。

こうした事態に慌てないためにも、加入中の保険がどこまで補償し、どのような行為が免責となるのかを事前に確認することが不可欠です。そして何より、『立入禁止の場所には入らない』という基本を徹底することが、最も確実なリスク回避策となります。」

ウィンタースポーツを安全に楽しむために

「スキー場の管理区域外は自己責任」という原則や、「保険に入っていても安心できない」という現実、そしてバックカントリーの魅力と危険性について、島田さくら弁護士の解説で深く理解できました。

楽しさと隣り合わせにある冬のアクティビティを安全に満喫するためには、事前の情報収集と周到な準備が不可欠です。特に、管理区域外での滑走やバックカントリーに挑戦する際は、天候や雪の状況確認、装備の準備と習熟、そして仲間との連携や家族への連絡といった基本的な行動が、万が一の事態から自分自身を守る命綱となります。

何よりも「立入禁止の場所には入らない」という基本を徹底し、自分の技量と経験に見合った安全な選択をすることが、充実したウィンタースポーツ体験への第一歩となるでしょう。この記事が、皆さんが安全に冬のレジャーを楽しむための一助となれば幸いです。


監修者:島田さくら 弁護士(東京弁護士会所属) アディーレ法律事務所

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島田さくら 弁護士(東京弁護士会所属) アディーレ法律事務所

退職代行、不当解雇、パワハラなどの労働問題全般に精通。在日ASEAN加盟国大使館の領事担当官に対し、民間の法律事務所初となる労働法講演を行った実績を持つ。TVやラジオ、雑誌などメディアの出演歴も長く、幅広い分野への対応力にも定評がある。 アディーレ法律事務所は、依頼者が費用の負担で相談をためらわないよう、弁護士費用で損をさせない保証制度(保証事務所)を導入しています。「何もしない」から「弁護士に相談する」社会を目指しています。

弁護士法人AdIre法律事務所(第一東京弁護士会)

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