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30代夫妻「200万円も安い!」と人気エリアを即決→契約後、請求書を見て青ざめたワケ【一級建築士は見た】

  • 2026.2.10
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

そう語るのは、30代のTさん夫婦。

彼らが見つけたのは、希望エリアの相場より200万円も安い土地でした。不動産会社からは「人気エリアなので、今すぐ決めないと他の方に取られますよ」と急かされ、その日のうちに契約を決めます。

「これで浮いた200万円を、キッチンのグレードアップに回せるね」

そう笑い合っていた2人の計画は、思わぬ展開を迎えることになります。

水道管の“細さ”が、50万円の追加費用につながることも

契約後、設計を進める中で最初に判明したのが「上下水道の引き直し費用(約50万円)」でした。

重要事項説明書には「公設管あり(管径13 mm)」といった情報が記載されており、不動産会社の説明義務は果たされているといえます。問題は、その“13 mm”という数字が、実際の生活の中で何を意味するかを想像しにくいことでした。

たとえば、家族人数や同時使用(浴室・キッチン・洗面など)によっては、給水量の面から20mmへの変更を検討したほうが安心なケースもあります。結果として、道路の掘削を伴う工事が必要になり、予定外の費用につながりました。

「擁壁あり」の一文が、100万円の壁になるケース

次に判明したのが、敷地にある古い石積みの「擁壁(ようへき)」の問題です。重説(重要事項説明)でも「既存擁壁あり」と説明されており、存在自体は隠されていません。

ただし、擁壁(土が崩れないように支える壁のこと)は有無だけでなく、安全性や現在の基準に合うかどうかが重要です。建築士が確認したところ、この擁壁は現行の基準を満たしておらず、そのままでは計画が通りにくい状態でした。

安全面を考慮してやり直すことになり、費用は約100万円。

この時点で、土地代で浮いたはずの200万円は「家を建てられる状態に整えること」で、ほとんどが充てられることになりました。

なぜ“追加費用”は起きるのか

Tさん夫婦が直面した状況は、「説明がなかった」ことではなく、説明された情報を「建築コスト」に翻訳できなかったことにあります。

不動産会社の重説は、法律上必要な“現況情報”を示すのが基本です。

一方で、「その条件で工事が必要か」「いくらかかるか」は、建物の計画・家族構成・仕様によって変わるため、最終的には建築側の領域になります。

ここに、気づきにくい“段差”があるのです。

土地の価格は「家が建つ状態」にするまでの総額

土地の「表面的な価格」だけでなく、家を建てるための「舞台整え」に必要なコストを計算に入れておくことが大切です。

教訓は、土地を単なる「更地」として判断しないことです。

気になる土地があるときは、不動産会社だけでなく、設計のプロである建築士などに相談してみるのも一つの方法です。

土地代を抑える工夫も大切ですが、想定外の出費を避ける知識を持つことが、納得のいく家づくりへの近道となるかもしれません。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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