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「その修理、自腹です」輸入車の”3年保証=維持費ゼロ”と油断した人が陥りがちな末路

  • 2026.2.10

 

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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

輸入車の購入を検討する際、「故障したら高いのでは?」という不安は、多くの方が共通して抱くものでしょう。しかし、新車に付帯されている「保証」の中身を、正確に把握されている方は、意外と少ないのではないでしょうか。

実はメーカーが約束する「無償の範囲」と、オーナーが負担する「実費の範囲」には明確な境界線があります。

本記事では、メルセデス・ベンツやジープなどの事例も交えながら、知っているようで知らない保証とメンテナンスの仕組みを正しく解説します。

「故障しても保証で直るから安心」は本当?輸入車選びの落とし穴

「いつかは輸入車に乗ってみたい。でも、やっぱり維持費が心配で…」

ショールームの前を通りかかるたび、そんな思いが頭をよぎることはありませんか。輸入車に対して「壊れやすい」「修理代が高い」というイメージをお持ちの方は、非常に多いことでしょう。

たしかに、ひとたび故障すれば部品代や工賃が国産車よりも割高になるケースがあるのは事実です。しかし、もしあなたが新車や、それに準ずる高年式の中古車(新車保証が残っている車両)を検討されているのであれば、その「漠然とした不安」は、仕組みを知ることで十分にコントロールできるものかもしれません。

皆さんは、新車購入時に必ずついてくる「新車保証」の内容を、どのくらい詳しくご存じでしょうか。

「とりあえず3年間は、何かあってもディーラーが直してくれるんでしょう?」

そう大まかに捉えている方が多いのですが、実はここには少し誤解が含まれていることもあります。保証は決して「魔法の杖」ではなく、厳密なルールに基づいた契約です。

今回は、皆さんが一番気になる「お金」の部分――つまり、対象となる部品と、対象とならない部品の“境界線”について整理していきましょう。ここを理解するだけで、輸入車の維持費に対する見え方はずいぶん変わってくるはずです。

まずは基本を整理。「対象になる部品」と「対象にならない部品」

自動車の保証において、最も基本的なルールがあります。それは、「メーカーの責任(品質の不備)は無償」であり、「オーナーの使用による責任(消耗・摩耗)は有償」であるという大原則です。

これは輸入車に限らず、国産車でも同じことが言えますが、具体的にどのような部品が当てはまるのかを見てみましょう。

まず、「対象になる(無償で直る)」部品です。これらは、通常の使用において壊れるはずのない、あるいは壊れてはいけない部分が該当します。例えば、エンジン本体の不調、エアコンが効かない、パワーウィンドウが動かない、各種センサーの異常といったケースです。これらは「製品の不具合」と見なされるため、保証期間内であれば、部品代も工賃もかからずに修理を受けられることが一般的です。

一方で、注意が必要なのが「対象にならない(実費になる)」部品です。車を走らせれば自然と減ったり、古くなったりするものがここに分類されます。タイヤの溝が減った、ブレーキパッドが摩耗した、ワイパーの拭き取りが悪くなった。これらは「消耗品」と呼ばれ、いかに手厚い保証期間中であっても、交換費用はオーナーの実費負担となるのが基本です。

ただし、一点だけ補足しておきたいのが、ナビやオーディオ、タイヤ、バッテリーなどの扱いです。これらはメーカーによって、車両本体(エンジンやボディ)とは別の「独自の保証基準」が設けられている場合があります。「ボディの保証は3年だけど、オーディオ機器は2年まで」「バッテリーは消耗品だが、初期不良のみ1年保証」といった具合です。少し細かい部分ですが、念のため頭の片隅に置いておくと良いでしょう。

「保証期間中だから全部タダだと思っていたのに、点検費用を請求された」

そんなトラブルの多くは、この「保証(修理)」と「消耗品(維持)」の混同から生まれているようです。まずは例外があることも踏まえつつ、「壊れたら保証、減ったら実費」という基本ラインを理解しておくことが大切です。

「えっ、オイル交換もタダ?」メーカーによって異なる“消耗品の扱い”

さて、基本的には「消耗品は実費」とお伝えしましたが、輸入車選びにおいては、ここからが少し面白いところです。実はメーカーやブランドによっては、この消耗品交換さえも実質「タダ(車両本体価格に含まれている)」になるケースがあるのをご存じでしょうか。

代表的な例として、メルセデス・ベンツの「メルセデス・ケア」が挙げられます。これは新車登録から3年間、一般的な「保証(修理)」に加え、エンジンオイルやフィルター、ワイパーゴムといった定期交換部品の費用や、定期点検にかかる工賃までもが無償となるプログラムです。また、24時間のツーリングサポートなども含まれており、これらが自動的に付帯されています。

また、SUVブランドとして人気のジープ(Jeep)にも、「Jeep Wave」というオーナープログラムの一環として、新車購入から3年間の定期点検や、エンジンオイル交換などがサポートされるサービスが付帯しているモデルがあります(※車種や時期により内容は異なります)。

これらは厳密にいえば「保証(Warranty)」とは別に設定された「メンテナンスプログラム」なのですが、ユーザーからすれば「3年間はガソリン代とタイヤ代、その他一部の消耗品費くらいしかかからない」という状態になるため、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

「輸入車は維持費が高い」と身構えていた方にとっては、意外な事実に映るかもしれません。

ただし、全ての輸入車ブランドがこれらを標準付帯(無料)にしているわけではありません。ブランドによっては、メンテナンスパックを有償のオプションとして設定している場合もあります。「輸入車ならどこでも消耗品無料」と早合点せず、検討している車種が「消耗品まで込み」なのか、それとも「修理保証だけ」なのか。ここを確認することが、購入後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐ大きなポイントになります。

国産車と何が違う?保証の「期間」と「距離」を比較する

次に、私たちが乗り慣れている国産車と輸入車で、保証の条件にどのような違いがあるのかを比較してみましょう。実はここにも、意外と知られていない構造的な違いが隠されています。

まず、国産車の場合です。一般的に、国産メーカーの新車保証は「一般保証」と「特別保証」の2階建て構造になっていることが多いです。

  • 一般保証(3年または6万km): 電動ドアミラー、パワーウィンドウ、エアコン、ナビなど、ほとんどの部品が対象。
  • 特別保証(5年または10万km): エンジン、トランスミッション、ステアリング機構など、「走る・曲がる・止まる」に関わる重要部品が対象。

ここで注目したいのは「一般保証」の条件です。多くの国産車では「3年または6万kmの早い方」という条件設定が主流です。日本の平均的な走行距離(年間1万km弱)であれば十分な設定ですが、たくさん走る方にとっては、3年を待たずに6万kmを超えてしまい、エアコンやセンサー類などの電装品保証が切れてしまうケースもあり得ます。

対して、輸入車の場合はどうでしょうか。メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、アウディなどの欧州ブランドは、新車保証(一般保証)を「3年間・走行距離無制限」として設定しているケースが多く見られます(※一部ブランドや車種を除く)。

つまり、3年以内であれば、たとえ走行距離が8万kmや10万kmを超えていたとしても、エアコンやパワーウィンドウなどの不具合は無償修理の対象となるのです。

国産車のように「5年」という長期の特別保証が標準でついているケースは少ないものの(有償延長プランなどで対応するケースが一般的)、最初の3年間、特に電装品などの「一般保証」に関しては、距離を気にせず乗れる輸入車の方が、条件としてはシンプルで手厚いとも言えるかもしれません。

通勤で毎日長距離を走る方や、週末は遠方へドライブに出かけるのが趣味という方にとっては、この「距離無制限」は、国産車にはない大きな安心材料の一つになるのではないでしょうか。

それでも実費になる?絶対に保証されない3つのケース

ここまで、保証の手厚い部分にスポットを当ててきましたが、最後に「どんなに良い保証に入っていても対象外になるケース」についても触れておかなければなりません。ここを理解しておかないと、いざという時に困ってしまうからです。

1. 外的要因によるトラブル
これは「故障」ではなく「事故」に近いものです。例えば、飛び石でフロントガラスが割れた、釘を踏んでパンクした、台風で飛んできた物でボディが凹んだ、といったケースです。これらは車の品質の問題ではないため、保証の対象外となります(ご自身の自動車保険の出番となります)。

2. 改造・社外品の取り付け
輸入車は電子制御が非常に複雑です。純正以外のナビやオーディオ、足回り部品などを取り付けたことが原因で不具合が起きた場合、その修理は保証対象外となることがあります。「自分好みにカスタムしたい」という方は、保証への影響がないか、事前にディーラーへ相談することをおすすめします。

3. 管理不足(点検の未実施)
メーカーが指定する定期点検(1年点検など)を受けていない場合、保証が適用されないことがあります。「まだ走れるから」「入庫の手間や費用がもったいないから」とスキップしてしまうと、万が一の大きな故障の際に、かえって高くついてしまうことになりかねません。特に「点検を受けること」自体が保証継続の条件となっているケースも多いため、定期的な点検は必ず受けるようにしましょう。

輸入車の保証は、決して「何でもあり」ではありませんが、仕組みさえ正しく理解していれば、恐れる必要はありません。

「ここはメーカーが守ってくれる範囲(保証)」「ここはメンテナンスパックでカバーできる範囲」「ここは実費になる消耗品」

このように頭の中で整理ができれば、輸入車の維持費は「見えないお化け」ではなく、「計算できるコスト」に変わります。漠然とした不安にとらわれることなく、まずは正しい知識という地図を持って、憧れの輸入車ライフへの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。



ライター:根岸 昌輝
自動車メーカーおよび自動車サブスク系ITベンチャーで、エンジニアリング、マーケティング、商品導入に携わった経験を持つ。
現在は自動車関連のライターとして活動し、新車、技術解説、モデル比較、業界動向分析など、業界経験に基づいた視点での解説を行っている。


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