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『乗客はお客様やろ!何が悪い!』マイクロバスで着席を拒否する客。→運転士が伝えた“絶対的な義務”

  • 2026.2.21
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

路線バスや送迎バスを利用したとき、空席があれば座る人は多いことでしょう。私は座りたい派なので、すぐに座席をキープしたくなります。

今回は、15年ほど前にある商業施設の送迎バスに乗務していたときに出会った乗客のお話を紹介します。

バスの形状によって乗客の着席は義務

ある商業施設から運行を請け負い乗務していたのはマイクロバスで、乗客には着席してもらわなければなりません。乗客が立って乗れるのは、立ち席に対する設備が整い、車検証上で認められている場合のみです。

しかし私が乗務していたその日、座席に座ろうとしない乗客の男性がいました。

いつもは乗車人数の多いルートでしたが、空席が目立った状態であるにもかかわらず、座席に座るそぶりがありません。このままでは発車できないと思い、私は乗客へ声をかけました。

「申し訳ございません。このバスはご着席いただかなければ、走行できません。発車いたしますので、ご着席願えますでしょうか。」

私たちは送迎バスの運行という契約を商業施設と交わしていますが、商業施設のお客様も私たちバス会社のお客様です。そのため、運転操作自体に支障があるわけではありません。

しぶしぶ着席…そしてまた車内を歩きまわる乗客に困惑

着席をお願いしたところ、乗客はしぶしぶながらも座席に座ってくれました。そこで、時間を確認すると出発時間を過ぎていたため、扉を閉めて運行を開始します。

しかし、運行中の車内ミラーに映ったのは、再び車内を歩き回る乗客の姿……。私はもう一度、声をかけました。

「すみません。走行中は危険なので、ご着席ください。」

改めて丁寧に伝えたところ、乗客から返ってきたのは「乗客はお客様やろ!立って何が悪い!」と怒りの感情がこもった言葉でした。

戸惑いつつも、私は続けて

「バスの形状から、全席着席が義務付けられています。安全運行のためにもご協力をお願いいたします。」

とお願いするしかありません。しかし、男性は着席することなく立ち止まったままで、期待は裏切られました。

一人歩きするルールのリスクは徹底して失くす

どんなに大切なお客様が乗車していたとしても、運転士にとって法令遵守は当たり前です。信号待ちで、再び着席をお願いするも、やはり乗客には聞き届けてもらえません。

人が立って乗車しているからといって、直ちに危険とは限らず、私を含め多くの運転士は立席のある運行には慣れたものです。そのため、運行に何ら問題はありません。

しかし、法律上で禁止されていることを良しとすることはできないのも事実です。そうでなければ、「立って乗車して良い」と認識する乗客が出てきてしまうからです。

考えられるのは、乗車人数が上限に至っているときに「立って乗れば乗車できる」と言われてしまうトラブルです。ルールが一人歩きしてしまったときのトラブルは、解決に多くの時間と労力がかかります。

そうしたリスクは、バスの運転士として徹底的に排除することが求められます。

運転士が無理な要求をすることはない

停車や降車という言葉を用いたことから、男性はやっと着席してくれました。しかし、それはすでにバス停に到着する寸前…

なぜ男性が車内を歩き回ろうとしていたのかは、定かではありません。

経験豊富な運転士は、法律で禁止されていることや危険なこと以外は、見て見ぬふりをしています。しかし、許容できないことや運行上のルールが乱れるリスクがあれば、徹底してそのリスクをつぶしていかなければなりません

それが、結果的に乗客の安全や利便性につながるからです。

バスを利用したとき、もしも運転士からお願いされることがあれば、どうか快く協力していただけると幸いです。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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