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今年のベスト映画は? 「エル シネマアワード2025」作品ランキング、BEST20を大発表

  • 2025.12.19
Hearst Owned

“女性のためのベスト映画”を選ぶ、エル シネマアワード。今年も映画評論家や文化人、エル・エディターほか、約50名が審査員となり、独自の目線でベスト作品を選出しました。

【2025年「エルの30本」は以下(※公開順)】

『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』『ファーストキス 1ST KISS』『聖なるイチジクの種』『ブルータリスト』『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』『ANORA アノーラ』『ウィキッド ふたりの魔女』『Playground/校庭』『Flow』『教皇選挙』『エミリア・ペレス』『サブスタンス』『ガール・ウィズ・ニードル』『国宝』『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』『ルノワール』『F1®/エフワン』『私たちが光と想うすべて』『アイム・スティル・ヒア』『愛はステロイド』『遠い山なみの光』『DREAMS』『バード ここから羽ばたく』『ワン・バトル・アフター・アナザー』『ホーリー・カウ』『ハウス・オブ・ダイナマイト』『女性の休日』『エディントンへようこそ』

【審査員】
青野賢一(文筆家・選曲家)渥美志保(ライター・コラムニスト)池田和加(ジャーナリスト・研究者)石津文子(映画評論家)市谷未希子(編集ライター)今祥枝(ライター)小川知子(ライター)久保玲子(ライター)クラーク志織(イラストレーター)こがけん(芸人)坂野ゆか(公益財団法人川喜多記念映画文化財団)佐藤久理子(批評家、ジャーナリスト)シトウレイ(ストリートスタイルフォトグラファー・ジャーナリスト)辛酸なめ子(コラムニスト)鈴木涼美(作家)高山亜紀(ライター)辰巳JUNK(ライター)月永理絵(ライター・編集者)長坂陽子(ライター)中野光章(Goyo Gallery プロデューサー)中山路子(ミュベール デザイナー)長谷川ミラ(モデル・ラジオナビゲーター)細谷美香(ライター)堀潤之(映画研究者)松浦泉(ライター)みょうじなまえ(アーティスト)山内マリコ(小説家)山縣みどり(フリーライター)よしひろまさみち(ライター)村上香住子(作家・エッセイスト)ELLEエディターなど総勢50名

『ANORA アノーラ』ブルーレイ + DVDセット発売中 価格:5,390円(税込) 発売・販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング © 2025 Universal Studios. All Rights Reserved

『ANORA アノーラ』

監督/ショーン・ベイカー

キャスト/マイキー・マディソン、マーク・エイデルシュテイン、ユーラ・ボリゾフ、カレン・カラグリアン、ヴァチェ・トヴマシアンほか

審査員コメント

花火みたいな刺激的な日々は若い時には何にも代替しがたく魅力的なもので、その瞬間のためには理性や自分らしさを失うことなど何でもないように思えます。前半に共感できるかどうかで評価のわかれる作品だとは思いますが、愚かな若さを堪能しすぎてかなり危ないところまで行ってしまった自覚のある身としては彼女の失ったものと失うに値するほど魅力的に思えたものがよくわかる、私にとっては切実な作品でした。(鈴木涼美/作家)

男たちと戦いながら、若い女性が名前を獲得する物語。そこに意味がある。(石津文子/映画評論家)

社会派の視点とエンタメ性のバランス、さらに作家性もきっちりと感じられる。シンデレラストーリーのその後を描き、見終わった後はエル世代の女子のみならず、全女子が自分を見つめ直せるのもいい。(渥美志保/ライター・コラムニスト)

社会の片隅に生きる人たちが、チャンスを求める姿を描き出してきたショーン・ベイカー監督の持ち味が光る作品。罵詈雑言が飛び交うカオスなスクリューボール・コメディに笑い、雪景色と重なるラストのアノーラのやるせない表情に心が震えた。(細谷美香/ライター)

『アノーラ』は、女性の身体と選択がいかに社会構造と結びつき、時に奪われていくのかを静かに突きつける。格差が極端なニューヨークで、自由と搾取の狭間を必死に生き抜く主人公の姿は、現在のアメリカ社会のひずみそのもの。彼女の透明な強さと脆さを丁寧にすくい上げた点が、この作品を単なる“職業映画”に留めず、深い余韻を伴う物語にしている。(長谷川ミラ/モデル・ラジオナビゲーター)

今年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを獲得した作品。大富豪のイケメン息子に見初められたストリップダンサーのアノーラ。シンデレラストーリーのような前半から一転し、ジェットコースターのように急降下。前半の多幸感は幻だったのでしょうか。後半のおじさんとの珍道中もおもしろくて、悲哀だけじゃない笑いもあるのが救いです。アノーラを応援しながら観ていたら、いつの間にか自分が生きる力をもらっていました。(辛酸なめ子/コラムニスト)

『国宝』 全国東宝系にて公開中 配給:東宝 ©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

『国宝』

監督/李相日

キャスト/吉沢亮、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、三浦貴大、見上愛、黒川想矢、越山敬達、永瀬正敏、嶋田久作、宮澤エマ、中村鴈治郎、田中泯、渡辺謙ほか

審査員コメント

今年の映画で一番「観た?」と聞かれた映画。何度も観た話、原作を読んだ違いや大阪で撮った制作背景や裏話を話したくてたまらない友人が多かった。こんな稀有な映画はなかなかない。主演ふたりの素晴らしさは言うまでもなく、永瀬正敏さんの漢の去り方や森七菜さんの演技が印象的だった。演目の切取り方や見せ方も素晴らしかった。久しぶりに歌舞伎が観たくなった人多いはず。(中野光章/Goyo Gallery プロデューサー)

歌舞伎役者が厳しい稽古に耐えて成長する姿を通じて、日本の伝統芸能が抱える矛盾を描く。「体で覚える」という身体的知の継承は美しいが、その裏には友情や家族の犠牲、世襲制という越えられない壁がある。家元制度の階層構造は現代社会の価値観と噛み合わなくない。女性はほとんど声を持たず登場する。伝統という名の連鎖の中で、誰が語り、誰が沈黙を強いられるのか。日本の伝統芸能の持続可能性の危機を静かに問う作品。(池田和加/ジャーナリスト・研究者)

寄せては引いていく感情の波がリアルに、潮騒のように表現されていて、作品全体が「生きている」と感じた。伝統芸術の重さと、内的葛藤の孤独と試練の中で、人が到達できるはずのない領域を目指し続け、揺れ動き、転倒し、起き上がり、芸の奥へ奥へと進んでいく歌舞伎役者喜久雄の姿に心を奪われる。(村上香住子/作家・エッセイスト)

ひとつのことに打ち込み続けることへの情熱、ひたむきさ、人間の欲望、そしてそれをすべて昇華させるような所作の美しさ。3時間とは思えないほど、観ている間ずっとその美しさに息をのみ続けた。あらためて、私たち日本が誇るべき文化の素晴らしさにも、胸を打たれました。(中村昭子/エル副編集長・プリントデスク)

『ワン・バトル・アフター・アナザー』 大ヒット上映中! IMAX®/Dolby Cinema® 同時公開 配給:ワーナー・ブラザース映画 © 2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED. IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema® is a registered trademark of Dolby Laboratories

『ワン・バトル・アフター・アナザー』

監督/ポール・トーマス・アンダーソン

キャスト/レオナルド・ディカプリオ、ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ、レジーナ・ホール、テヤナ・テイラー、チェイス・インフィニティ、ウッド・ハリスほか

審査員コメント

まさに〝ワン・バトル・アフター・アナザー(一戦去ってまた一戦)〟な、息付く暇もなく手に汗握る王道エンタメでありながら、ポール・トーマス・アンダーソン節もしっかり健在の家族モノ。ダメ親父ディカプリオのがむしゃらな奮闘、デルトロの謎の頼もしさ、新星チェイス・インフィニティの内なる輝き、見せ方に度肝を抜かれたカーチェイス。中盤、笑いをさらった合言葉の応酬が、あんなに素敵に回収されるなんて…!本作には僕が映画に求めるものの全てが詰まっている。今年のコガデミー作品賞受賞作はこれだ!(こがけん/芸人)

トマス・ピンチョンの長篇『ヴァインランド』に想を得た本作は、長尺にもかかわらず、見せ場に次ぐ見せ場が惜しげもなく展開し、不甲斐ない中年男のディカプリオや、崇高なほど滑稽なショーン・ペンから片時も目が離せない。同じくピンチョンの小説に基づく『インヒアレント・ヴァイス』(2014)と合わせて、21世紀の古典になるだろう。 (堀潤之/映画研究者)

娘探しといえ、ほぼ一生懸命充電と合言葉探ししかしていないディカプリオ演じる父親のダメっぷり。最高に気持ち悪いショーン・ペンの演技。たくましく生き延びる女性たち。白人至上主義やイデオロギーにより憎しみと暴力が連鎖し、分断が広がる現代アメリカの限界は大納得だが、次世代による非暴力の時代の幕開け風ラストは、希望というよりも、壊れた世界を彼らに背負わせてしまった大人たちに、現実の重みを突きつけてくる。162分の映画のはずが、体感90分の怒涛の映画体験だった。(小川知子/ライター)

とにかく映画の楽しさを思い出させてくれる映像と音響がずば抜けていました。カーチェイスシーンはまるでジェットコースターに乗っているかのような、これまで観たことのないカメラワークでIMAXで手に汗を握った感覚が忘れられません。あれだけ男性性の強い作品を撮ってきたPTAが年々、女性たちが輝く映画を撮るようになっているのもファンとしてはたまりません。(市谷未希子/編集ライター)

PTアンダーソン。脚本からカメラアングルのこだわり、全てにおいて才能を感じています。(坂井佳奈子/エル グループ 編集局長・エル編集長)

ⓒ2024 UNIVERSAL STUDIOS

『サブスタンス』

監督/コラリー・ファルジャ

キャスト/デミ・ムーア、マーガレット・クアリー

審査員コメント

女性の誰もが持っている美への執着と加齢の恐れや葛藤を美しくかつグロテスクに、破壊的に描いていたから。しかもこの話をエンターテイメントに昇華しているのが最高!(シトウレイ/ストリートスタイルフォトグラファー・ジャーナリスト)

作中、人間の欲望に付随するあらゆるミソジニックな展開がこれでもかと描かれ、登場人物には1人もフェミニストは出てこず、胸が悪くなる展開が延々と続く。それでも作品を観終わった後、この映画の事がずっと頭を離れなかった。なぜこの作品が生まれ、私の元まで届いているのか。結末の解釈が異なる、といった事を飛び越えて、観る人によって作品の意味が180度反転する不思議な映画だった。(みょうじなまえ/アーティスト)

近年で断トツの〝凄いもん見た〟感。デミ・ムーア自身が長い低迷期を経て出会った、型破りで大胆な本作の脚本。一読して「あなたはまだ終わっていない」と言われた気がしたという彼女が、「私はまだ終わっていない」と奮起する主人公エリザベスを演じる説得力たるや。劇中7割は裸という、「体当たり演技」なんて形容詞も霞むほどの熱演を目撃すべし。文句なしのコガデミー主演女優賞受賞です!狂気もグロも加速するラスト30分に、女性監督コラリー・ファルジャのホラーの監督としての気概と情熱を感じた!(こがけん/芸人)

ルッキズム、エイジングなど女性を取り巻く生きづらい状況を、誰も見たことのない過激なまでの世界観でエンターテインメントとして発信したコラリー・ファルジャ監督の熱量に圧倒され、心が震えた。(高橋奏子/エル シニア フィーチャー エディター)

(C) 2024 Conclave Distribution, LLC.

『教皇選挙』

監督/エドワード・ベルガー

キャスト/レイフ・ファインズ

審査員コメント

島耕作に通じる、権力を欲する男達の教皇を目指す戦いをシリアスにユーモアを混ぜて魅せている。厳かなイメージの中で印象的な赤と白が映えていて、喫煙シーンなど俗世と変わらぬシーンを入れ込むことで、地続きの世界で起きている「コンクラーベ」を追体験できた。沈黙の時間や視線での会話、皆の演技が素晴らしい。チェスを8手先まで読んでいた前教皇の仕掛けや神の見えざる存在を感じさせるシーンも良く静かな興奮に大満足。(中野光章/Goyo Gallery プロデューサー)

聖書の日本語訳がヘンテコなのかもしれませんが、ミッション系の学校に通っていた幼少期から感じていた違和感に対して、痛烈な回答を与えてくれた作品でした。神に使えるシスターたちがファーザーよりも明らかに下に見られている教会ヒエラルキーを炙り出す場面はきっと、世界中のシスターたちが心の中で快哉を叫んだことでしょう。(山縣みどり/ライター)

キリスト教の最高位聖職者を選ぶにあたり、人間らしさがこれでもかと描かれる可笑しみが秀逸。とはいえ下世話になることはなく、あくまでも品位が保たれていたのはさすが。そして最後まで目が離せないスリリングな展開に唸った。(坂野ゆか/公益財団法人川喜多記念映画文化財団)

日本で公開されたときに実際に行われたコンクラーベの報道が流れ、映画と現実が呼応していた。舞台がバチカンという特殊で密室の場ならではの緊張感や人間模様が面白かったです。(堀田彩乃/エル・グルメ デジタル エディター)

© Universal Studios. All Rights Reserved.

『ウィキッド ふたりの魔女』

監督/ジョン・M・チュウ

キャスト/シンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデ

審査員コメント

人は自分をどのように受け入れて成長していけるか、信念や立場の異なる他者をどのように愛せるのか、という事が主人公ふたりの友情を通して丁寧に描かれている爽快な映画だった。アリアナ・グランデ演じる「善き魔女」グリンダがとてもチャーミング。嫌味な側面とキュートさを混雑させながら魅力的なキャラクターを生き生きと演じている。(みょうじなまえ/アーティスト)

映画史に刻まれた名作をベースに、あらたな歴史へと挑む信念の大作。音楽から政治寓話まで奏でながら、絶対的な「核」はあくまで正反対の女子同士の友情。その美しさは祝祭のよう。(辰巳JUNK/ライター)

11歳の娘がミュージカルを習っていることもあり、『ウィキッド』は家族で大好きな作品。シンシア・エリヴォ演じるエルファバの迫力に圧倒されつつ、グリンダとの友情や差別に対する苦悩や格闘など、人生の機知を学ぶことができる素晴らしい作品。続編公開が待ち遠しいです。(安楽城誉子/エル 副編集長・ファッション デスク)

久しぶりにミュージカルで心躍る作品でした。音楽はもちろんのこと、ストーリーも共感される部分が多く、役に入り込んでいたアリアナなど何度も見に行きたくなる作品でした。(石塚愛/エルガール コンテンツマネージャー)

c 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.

『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』

監督/イ・オニ

キャスト/キム・ゴウン、ノ・サンヒョン

審査員コメント

自分らしく生きる現代の友愛を真っ向から描く、社会派の側面を持った力作。15年前の東京を彷彿とさせる人間関係、今の世界にも根深く残る偏見が当事者からの視点で描かれており、クィア映画史に残すべき作品。(よしひろまさみち/映画ライター)

男性社会の中で自由に生きようとするジェヒと、異性愛者が中心の世界で同性愛者であることを隠しているフンス。それぞれに違う生きづらさを抱えたふたりが、手を携えて本当の意味での“自分らしさ”と向き合う物語に涙。青春のその先を感じさせてくれるふたりの連帯がまぶしい。(細谷美香/ライター)

久々に「やられた!」と唸った。従来の映画で描かれがちだった、ヒロインを支える「マジカル・ゲイ」的なキャラクターとはまったく違う、一緒に人生の痛みを克服していく同志としての男女の友情が成立した稀有な映画。学生時代〜社会人まで、長いスパンで成長を追いかけていくところも素晴らしい。20代というハードな時期をしみじみと思い返して浸りました。アゲアゲなラストも最高!(山内マリコ/小説家)

自分らしく生きるふたりがとても魅力的で最高でハートウォーミングな特大友情物語。「あんたらしさが何で弱みなの?」などの名言が多くてかなり刺さった。(永野真梨奈/エル フィーチャーエディター)

最高の友情映画。人目を気にしがちな今の時代に、ありのままの自分で生きることがどれだけ人生を豊かにするのか、そして「自分らしさは弱点じゃない」と教えてくれた映画でした。自分を丸ごと肯定してくれる存在が一人でもそばにいてくれるって、本当に最強。特に結婚式シーンには胸が熱くなりました。帰り道はMiss Aの「Bad Girl Good Girl」が脳内にしばらく流れていました。(岡村百/エル ソーシャル エディター・ビデオ エディター)

Shanna Besson/PAGE 114 - WHY NOT PRODUCTIONS - PATHÉ FILMS - FRANCE 2 CINÉMA

『エミリア・ペレス』

監督/ジャック・オーディアール

キャスト/カルラ・ソフィア・ガスコン、ゾーイ・サルダナ、セレーナ・ゴメス

審査員コメント

麻薬王とミュージカルというのがミスマッチ風なのに、妙に説得力があり、さらにストーリーも意外な方向に進んでいくスピード感も面白かったです。主人公の心情の変化とは裏腹に現実はシビア。ラストのシーンも含め、切なくもリアルでした。(熊沢妙子/エル シニア ビューティ エディター)

性転換することで新しい人生を、と思いきや、過去も周りも置き去りにすることなく自分らしい幸せを掴んでいく姿に打たれた。アカデミー賞目前にいろいろ炎上して残念だったけど、作品としてはすごく好き。(岡田直人/エル シニア フィーチャー エディター)

そうきたか。常に予期せぬ一手を繰り出してきたジャック・オーディアール監督。衣装、音楽、ダンスの煌めきは圧倒的だが、本作は単なるミュージカル劇に終わらない。観る者を引き込む、ダークな切なさを孕んだ現代の物語がそこにある。来日時のインタビューで垣間見た、監督のチャーミングな人柄にもときめいた。(小林 樹/エル フィーチャー エディター)


心の葛藤や人生のままならなさを重厚なドラマで描き続け、個人的に大好きなジャック・オディアール監督の新境地。映画のジャンルも、舞台も、ジェンダーも複雑に絡み合いながら、ひとつの物語として見たことのない世界を届けてくれた。(高橋奏子/エル シニア フィーチャー エディター)

©2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. ©El Deseo. Photo by Iglesias Más.

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』

監督/ペドロ・アルモドバル

キャスト/ティルダ・スウィントン、ジュリアン・ムーア

審査員コメント

末期癌のため、不法に入手した薬で安楽死しようとする元戦場写真家のティルダ・スウィントンと、年少の作家の友人ジュリアン・ムーア。安楽死するときに「隣の部屋」にいてほしいという願いを聞き入れて、2人が瀟洒な貸家で共同生活する一ヶ月の物語に胸を打たれた。ジョイスの短篇「死者たち」(そのジョン・ヒューストンによる映画版、さらにはこの物語を引用する『イタリア旅行』)との共鳴も、従来のアルモドバル作品に増して心に染み入る。(堀潤之/映画研究者)

フェミニズムの時代に、生まれるべくして生まれた女性の尊厳死の問題。意識の底に棲みついたその闇を目前にした女性を見守りながら、心揺らぐ日々の中でも、親友に寄り添い続ける女友達。そのふたりを、ジュリアン・ムーアとティルダ・スウィントンが演じるというだけでも、何かエモーションを感じてしまう。女性たちの連帯を描いた作品としても、秀逸だと思う。(村上香住子/作家・エッセイスト)

死生観をテーマにした思慮深い内容はアルモドバル監督の真骨頂かと思いますが、何より主演のふたりの衣装とインテリアの豊かな色彩に引き込まれっぱなしの2時間でした。2026年春夏コレクションのランウェイでもこの映画に影響を受けたのではというファッションブランドが多かったです。とても研ぎ澄まされ、鑑賞後に深い余韻を残す完成度の高い作品だと感じました。(岸沙也華/エル シニアファッションエディター)

『ルノワール』 全国公開中 © 2025「RENOIR」製作委員会 / International Partners 配給:ハピネットファントム・スタジオ

『ルノワール』

監督/早川千絵

キャスト/鈴木唯 石田ゆり子

審査員コメント

少女の視点から見た大人たちの世界を、当時感じた残酷さや恐ろしさもそのままに映し出す早川監督の冷静な視線に驚かされた。(月永理絵/ライター・編集者)

前作『PLAN 75』も興味深い作品だったが、ここまで卓越した演出力をもつ監督だったとは。断片的な記憶の積み重ねにいつしか深く心を動かされる、地味だが忘れられない傑作。(松浦泉/ライター)

人生はあっけない幻。だからこそ、今目の前にある光も影もじっと見つめたい。そう思わせてくれた作品。時代設定が人々が消費社会に酔いしれていたバブル真っ只中であることも、光と影のコントラストをより際立てていたように感じました。西洋中心主義からの脱却を示唆するようなラストも印象に残りました。(クラーク志織/イラストレーター)

物事の羅列のようなストーリーで、2回、3回…と見て嚙みしめるような作品だと思いました。辛いシーン・モヤモヤするようなシーンの混沌が続く分、終盤の家族で“普通”な時間を過ごすシーンが宝物のように感じて(かつ回数を重ねるごとにその感情が強くなる)、だいぶ号泣してしまいました…。(坪田 藍/エル ジュニア フィーチャー エディター)

ⓒDOYLESTOWN DESIGNS LIMITED 2024. ALL RIGHTS RESERVES. ⓒUniversal Pictures

『ブルータリスト』

監督/ブラディ・コーベット

キャスト/エイドリアン・ブロディ

審査員コメント

まさに映画館で堪能すべき壮大なスケールと映像的醍醐味。エピック的なストーリーには、興奮、感動、スピリチュアルな要素が詰まっている。エイドリアン・ブロディ入魂の演技ともあいまって、深い余韻に浸らされる。(佐藤久理子/批評家、ジャーナリスト)

適切な表現ではないかもしれないが、人間って死ぬも地獄、生きるも地獄、と思った一作。ファシズムや戦争を生き延びることの残酷さが全編を通してにじみ出ていて見ていてつらい。それなのに215分、観客をとらえて離さないコーベット監督がすごい。(長坂陽子/ライター)

215分という長尺をまったく感じさせない。劇中に登場するインテリアの佇まいやインスティチュートの完成度、そしてエイドリアン・ブロディが熱演する“建築家の半生”に終始引き込まれた。(坂田綾子/エル・デコ エディター)

© 2024 Other Noises and Krumma Films.

『女性の休日』

監督/パメラ・ホーガン

審査員コメント

70年代は日本とそう変わらなかったアイスランドがなぜジェンダーギャップ指数 16 年連続 1 位、最もジェンダー平等が進んだ国になったのか、目から鱗のドキュメンタリー。きっかけは女性が一致団結し、家事や子育ても含め、一切の仕事を休んだこと。女性がいないと社会は動かない。それをデモではなく、あくまでも休日として証明した女性たち。言葉一つの違いで、誰もが気負わず、参加して、結果的に社会を大きく動かした!(高山亜紀/ライター)

事実としては知っていたアイスランドで起きたストライキの背景や過程がどのようなものだったのかを当事者たちの証言やアーカイブ映像などで知ることができ、深く共感。ガチな社会派ドキュメンタリーではなく、ユーモアを交えたポップな作りで好感度MAX。制度を変えるにはアクティビストや政治家の力も必要だが、普通の女性が積極的に参加することが大きなうねりを生み出すのだと教えてくれた。(山縣みどり/ライター)

これはもう本当に本当にみんなに観てもらいたい! 社会を自分たちの手で変えてきたアイスランドの女性たちの証言に、奮い立つパワーをもらえます。ジェンダー平等を成し遂げた偉大なるお手本として、これ以上のものはない。(山内マリコ/小説家)

矛盾と疑問を超えて進む希望の革命。勇気ある声と行動に、いつの間にか背中を押され、窓をあけよう、次のドアを開こうと、明日への力をもらえたので選びました。(中山路子/ミュベール デザイナー)

©Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.

『Flow』

監督/ギンツ・ジルバロディス

審査員コメント

ラトビア発の物言わぬ動物たちのアニメーション映画が、これほど雄弁に世界が直面している環境問題から命の大切さ、種族を超えた友情、日々の暮らしの中の小さな喜びまで物語ることができるとは!まさにユニバーサル。映像の美しさは言わずもがなです。(今祥枝/ライター)

絵の美しさ。大人から子供まで誰もが単純に楽しめる、スリル満点の脱出譚なのに、よくよく見ると多様性を描いた、ある種の哲学的な物語になっている。それもセリフが全くないなんて!素晴らしすぎ!(渥美志保/ライター)

洪水、動物とくれば「ノアの方舟」のイメージだが、本作は信仰とは無関係に動物たちがただひたすら自然の脅威に抗う。異なる種の動物たちはコミュニケーションが難しい。にもかかわらず彼らはお互いを尊重し、力をあわせているように思える。これを人間に置き換えると、はたしてどうだろうか。洪水ののちの土地の隆起は陸上の生き物には救い、水中の生き物にとっては死を意味する。無慈悲で不平等な自然の力を痛感させられた。(青野賢一/文筆家、選曲家)

©Films Boutique

『聖なるイチジクの種』

監督/モハマド・ラスロフ

キャスト/ミシャク・ザラ

審査員コメント

現実にイランで起きた社会問題の根幹を、スリリングで衝撃的な1本の作品としてまとめあげるムハマド・ラスロフ監督の手腕に拍手。同時に、文字通り命懸けで映画を作り続けることへの尊敬の念に堪えません。(今祥枝/ライター)

命懸けでイランを脱出し、カンヌ国際映画祭に駆けつけたモハマド・ラスロフ監督が手掛けたのは、2022年、「女性、命、自由」をスローガンに実際に起きた、イラン史に残る激しい抗議運動をテーマにしたサスペンススリラー。政府の圧力に怯まず、映画の力を信じて、作品を作り上げた、監督をはじめとした、スタッフ、キャストの強靭な意志に頭が下がる思い。渾身の作品はエンターテインメントとしても秀逸。(高山亜紀/ライター)

イランでの「マフサ・アミニの死」と「女性・命・自由」運動を背景にし、ドキュメント映像も効果的に配した本作。心に安らぎを与えるはずの宗教や人々を守ってくれるはずの法律はいったい何のためのものなのかを深く考えさせられた。『シャイニング』を彷彿させる夫対妻と娘たちの攻防を経て、抑圧するものが滅ぶラストが現実社会でも実現されることを願わずにはおけない。(青野賢一/文筆家、選曲家)

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『ハウス・オブ・ダイナマイト』

監督/キャスリン・ビグロー

キャスト/イドリス・エルバ、レベッカ・ファーガソン

審査員コメント

強烈なディストピア映画。これまで作られてきた数々の「核の危機」を、もっとも現実的に描いたゴリゴリ硬派な社会派。(よしひろまさみち/映画ライター)

現実とオーバーラップしながら見ました。この先世界はどうなってしまうのか、と考えさせられる結末。女性監督がこのような作品を描くことへのリスペクト。(坂井佳奈子/エル グループ 編集局長・エル編集長)

核戦争が始まるか否かの瀬戸際の会議なのに街を歩きながらリモートで参加せざるをえなかったり、大統領が核のボタンを押す間際に目を通すのは、レストランのメニューみたいな選択肢が載ったマニュアル本だったり、地球の存亡が「日常っぽさ」とすれすれの背中合わせになっている描写が恐怖をかきたてる。(松井朝子/エル 副編集長・ビューティ デスク)

©︎2025「1ST KISS」製作委員会

『ファーストキス 1ST KISS』

監督/塚原あゆ子

キャスト/松たか子、松村北斗

審査員コメント

不仲だった夫を事故で亡くしたカンナは殺伐とした日々を送っていましたが、あるときミラクルが起こって、運転中にタイムワープ。十五年前の夫と出会い、改めて恋をして、なんとか彼を事故から救おうとしてパラレルワールドを行き来するようになります。夫が事故に遭わないよう、帰り道に立ち寄ったコロッケ屋に行かせないように画策するなど、小ネタも絶妙です。 SFなのに恋愛映画でもあり、両方のレベルが高い作品。感動したあとは周りの人たちが大切に思えてきます。(辛酸なめ子/コラムニスト)

夫婦仲や愛情の形がリアル、かつ緻密に表現されているのに、設定はファンタジーという相反する世界観の共存が、とても坂元裕二さんらしい脚本で引き込まれました。また、きれいなことばかりではない、でも最終的には夫婦っていいな、未来を明るく生きよう、と思える共感性のある描写になっていたことは、現代の女性たちに寄り添う、塚原監督ならではの手腕なのかとも、思いました。(駒居杏奈/エル ファッション エディター)

『ブルーバレンタイン』ならぬ、遡って描写される夫婦の軌跡。どんな夫婦やカップルにも頂点に達していたときや、最初にビビッときた瞬間というものは確実にあったんだな、ということをまざまざと見せつけられ、キュンを通り越して吐き気すら覚える絶妙脚本に、映画館で涙、涙…。大ヒットにつき、一緒に見に行った夫とは離れた席しかとれなかったのがかえって救われました。坂本裕二×松たか子のベストマッチングに、近年映画界に欠かせない存在となった松村北斗の愛すべきクセもの感、そしてなにより塚原あゆ子監督の手腕に拍手。(三宅陽子/エル 副編集長・フィーチャー デスク)

©2024 Media Asia Film Production Limited Entertaining Power Co. Limited One Cool Film Production Limited Lian Ray Pictures Co., Ltd All Rights Reserved.

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』

監督/ソイ・チェン

キャスト/ルイス・クー

審査員コメント

これぞエンタメ、最の高!80年代の香港を舞台に、血よりも濃い絆で結ばれる男たち。香港好きとしては堪らないものがありました。あの飛行機が街中で頭を掠める啓徳空港があった時代へのノスタルジアもありつつ、硬すぎる王九(意味がわからない人は観てくれ)はじめ、濃すぎるキャラクター設定が秀逸。一見楽しい映画に見えつつ、香港という翻弄され続ける土地に生きる人々の継承がテーマでもある。長年応援してきたルイス・クーが日本でもついに陽の目を浴びて良かった。(石津文子/映画評論家)

香港映画の黄金時代を彷彿させるゴージャスなキャストとセット、外連味たっぷりのアクション(はじいた煙草を再キャッチするまでに相手を倒す、なんて演出に久しぶりに興奮)。続編にも期待。(松浦泉/ライター)

どエンタメなアクションと渋いストーリーの香港映画がやっぱり好き。劇中に何度もでてくる叉焼飯のおいしそうなこと!八角の効いたチャイニーズが無性に食べたくなります。(佐竹優季/エル・グルメ デジタル シニアエディター)

(C) 2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED. IMAX(R) is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories

『F1®/エフワン』

監督/ジョセフ・コシンスキー

キャスト/ブラッド・ピット

審査員コメント

この作品を選んだ理由は、年齢がキャリアの限界にならないことを強く感じさせてくれた点。挑戦し続ける主人公の姿に、F1という極限の世界のリアリティと希望が重なる。また、映像と完全に一体化するサントラが最高で、スピードの高揚感と人間ドラマの余韻を同時に引き上げていた。(長谷川ミラ/モデル・ラジオナビゲーター)

王道のドラマでありながら胸を打つ力がある作品。若手ドライバーの成長やチームの結束といった定番の流れに安心感がある一方、最も印象的なのは、主人公が過去の事故と静かに向き合いながら再び走り出す姿。レースの再挑戦が、そのまま人生の再起にも重なる深さがあり、響いた。(佐藤光/エル フィーチャー エディター)

©2024 VideoFilmes/RT Features/Globoplay/Conspiração/MACT Productions/ARTE France Cinéma

『アイム・スティル・ヒア』

監督/ウォルター・サレス

キャスト/フェルナンダ・トーレス

審査員コメント
実際の事件にかなり忠実というところに震えた。被害者家族と個人的にも親交があったというW・サレス監督の渾身の一作。終始祈るような気持ちで観続けた。(坂野ゆか/公益財団法人川喜多記念映画文化財団)

政治的な実話を、家族愛の視点から繊細に描き出すウォルター・サレスの手腕に感銘し、感動させられた。人間愛と優しさに満ちた作品。(佐藤久理子/批評家、ジャーナリスト)

(C) - 2023 - ALVA FILM PRODUCTION SARL - TAKES FILM LLC

『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』

監督/エレネ・ナベリアニ

キャスト/エカ・チャブレイシュビリ

審査員コメント

ジョージアの田舎町で「美しさと快適さを ONLY FOU YOU」と看板を掲げ、雑貨点を営む主人公は、48歳、独身の堂々たる体躯の女性。彼女の身の上や体型を噂する男女には「私は誰からも自由。だからあなたたちと違って、肌も胸もお尻もハリがある。結婚やペニスが幸せを運ぶなら世の女たちはみな幸せなはず。でもどこに幸せな女がいる?」と鋭く返す。孤独と親密な関係を結び我が道をゆく主人公が死の淵を覗いたことから新たな生の物語を手繰り寄せるスリルと詩心に満ちた逸品。(久保玲子/ライター)

ささやかな独身生活を愛してきた48歳の女性に訪れる恋の一滴。心と人生がかすかに動き、自分らしさや本当に望むものに気づくさまは、独身だろうと既婚だろうと関係ない普遍性にグッときた。(高橋奏子/エル シニア フィーチャー エディター)


女優賞はデミ・ムーア!

『サブスタンス』で魅せた圧巻の演技に喝采が寄せられた。

審査員コメント

40年以上、「美しくあること」を期待され、消費されながらもスクリーンに立ち続けてきた俳優にしか出せない、圧倒的説得力。(小川知子/ライター)

加齢したからこその役所を素晴らしく惨めに、狂っていく様を儚く、演じていた。(鈴木涼美/作家)

理由もなにも、作品を見れば彼女が人生を賭して演じたことが伝わるはずです。完全にデミ・ムーア=エリザベス。ホントに凄い。どれだけの賞賛を送っても送り足りません。彼女の演技を見て、力をもらった人は僕だけではないはず。(こがけん/芸人)

ルッキズム至上主義時代の象徴でもあった彼女が自身を投影するような役柄を引き受けたことが素晴らしいし、物語が進むにつれて進化していく暴走っぷりも最高。中盤の哀愁を感じる背中でさまざまな感情や蓄積してきた老いを体現する姿も凄かったです。(市谷未希子/編集ライター)

捨て身の心意気に心打たれる。オスカーは残念ながら逃したのでせめてここで顕彰。(松浦泉/ライター)

男優賞は吉沢 亮!

興行収入歴代一位の記録を塗り替えた『国宝』の演技は、俳優として次なる扉を開いたのではないか、という称賛が相次いだ。

審査員コメント

『国宝』の座長はお見事。どれだけ準備しても到達しないはずの梨園の技術、役と自分を行き来する恐るべき芝居、ともに高みを目指していたことがスクリーンから見て取れた。(よしひろまさみち/映画ライター)

化粧をする幼少期の黒川想矢から青年期の喜久雄に鏡の中で入れ替わる瞬間から見る者をゾクゾクさせ続ける吉沢亮。日本一の役者になるため悪魔に魂を売ることも辞さない喜久雄と一心同体、美しくも壮絶な一代記に目を奪われた。「曽根崎心中」「鷺娘」など、歌舞伎シーンも眼福!(久保玲子/ライター)

指の先まで美意識を漲らせた歌舞伎役者菊久雄の役を、赤裸々に、魂を込めて演じ切った姿は圧巻。どんなに零落しても、すぐまた凛とした表情に戻れる演技の巾を持っていて、時代に流されない筋の通った部分が魅力。(村上香住子/作家・エッセイスト)

2025年は、もう彼以外にベスト俳優はあり得ない。単なる歌舞伎役者の再現を超え、その演技には圧倒的な説得力があった。指先のしぐさから、役の魂をまるごと抱え込むような没入ぶりは今年随一。(佐藤光/エディター)

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