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光熱費で4万円も消えていく…中古住宅を購入した50代共働き夫婦を襲った“物件選びのワナ”

  • 2026.2.3
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

冬になると「電気代が急に高くなった」「暖房をつけているのに家の中が寒い」と感じたことはないでしょうか。多くの方は、「物価が上がっているから仕方ない」「たまたま今年が寒いだけだろう」と、そのまま流してしまいがちです。

ただ、その状態が毎年続いているなら、原因は光熱費の高騰ではなく「家そのもの」にある可能性があります。

今日は、断熱性能を深く考えないまま家を選んだことで、暮らしの快適さも家計の余裕も失っていった、50代夫婦の実例をご紹介します。

「立地と間取りが良ければ十分」だと思っていた購入判断

ご相談に来られたのは、50代の共働き夫婦Aさんご夫妻です。子どもが独立したことをきっかけに「これからは夫婦2人で静かに暮らしたい」と考え、中古の戸建て住宅を購入しました。

物件選びで重視したポイントは、次の3つです。

  • 駅までの距離が無理のない範囲だったこと
  • 間取りがシンプルで日々の生活が想像しやすかったこと
  • 築年数は古めでも価格が抑えられていたこと

内見をしたのは真夏でした。風通しが良かったため、思った以上に涼しく感じたそうです。

「夏でもこれだけ過ごしやすいなら、問題ないだろう」

そう考え、断熱性能や冬場の室温については確認しないまま、購入を決めてしまいました。

最初の冬で気づいた「この家、何かおかしい」

入居して数ヶ月後、Aさんご夫妻は初めてその家で冬を迎えました。そこで、これまで気づかなかった問題が次々と表に出てきます。

「エアコンをつけているのに、なかなか部屋が暖まらない」
「朝、廊下に出た瞬間、息が止まるほど寒い」

リビングと廊下、トイレ、浴室の温度差は想像以上に大きく「この状態が続いたら、ヒートショックが心配だね」と、健康面への不安も口にするようになりました。

次第に、エアコンだけでは足りず、電気ストーブも併用する生活に。暖房を切る時間はほとんどなく、在宅時間が長い日は、朝から晩までフル稼働が続いていました。

電気代4万円超。光熱費が“固定費の主役”に

決定打になったのは、冬場の光熱費でした。請求書を見たAさんご夫妻は、思わず言葉を失ったといいます。

  • 電気代は月4万円を超える水準
  • さらにガス代もかかり、光熱費は想定していた金額の倍以上

断熱リフォーム(壁や窓に断熱材を入れ、室内の温度差を減らす工事)も視野に入れましたが、見積もりは数百万円規模。年齢を考えると、大がかりな工事に踏み切る気力は湧きませんでした。

その頃から、家に対する気持ちにも変化が出始めます。

「せっかく買った家なのに、気が休まらない」
「家にいると寒さばかりが気になって、外に出る時間が増えた」

光熱費は単なる出費ではなく、暮らしそのものを圧迫する存在になっていきました。

売却を決めたものの、突きつけられた“査定額の現実”

最終的にAさんご夫妻は、住み続けるよりも売却する判断を選びました。寒さと光熱費を抱えたままの生活を、これ以上続けられないと感じたためです。

しかし、ここで思わぬ現実に直面します。

断熱性能の低さは、売却時にははっきりとしたマイナス評価になります。提示された査定額は、購入時に想定していた金額より数百万円低い水準でした。

「冬を越してみないと分からない欠点だった」
「もっとちゃんと考えておくべきだった」

住んで初めて分かった問題が、そのまま資産価値の差となって返ってきた瞬間だったのです。

「家の性能」は、年齢を重ねるほど重くのしかかる

このケースが示しているのは、住宅の性能は「少し我慢すれば何とかなるものではない」という現実です。とくに50代以降になると、負担は一気に生活の表に出てきます。

  • 室内の寒暖差による体調への不安
  • 毎月確実にかかり続ける光熱費の負担
  • 後から直そうとすると高額になりやすい改修費

これらは、工夫や気合いで乗り切れる問題ではありません。購入前に、次の点を具体的に確認していれば、今回のような誤算は防げた可能性があります。

  • 季節を通して快適に過ごせるか
  • どのような断熱材が使われているか
  • 真夏や真冬の室温はどの程度になるのか
  • 光熱費は月いくら程度を見込むべきか
  • 必要があれば、価格や条件を見直す余地があるか

家は、見た目や間取りだけで選ぶものではありません。年齢を重ねても無理なく暮らせるかどうか。その視点を欠いたとき、家はくつろぎの場所ではなく、寒さと負担を抱え続ける存在に変わってしまうのです。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。