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「一度解約すると元に戻せない」お金のプロが警告。保険料の支払いがキツい…それでも手放してはいけない「お宝保険」とは

  • 2025.12.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

保険の見直しや解約を考えたとき、「自分の保険は本当にお得なのか?」「もし不要になったら解約しても大丈夫?」と悩んだことはありませんか。特に過去に契約した保険が「お宝保険」と呼ばれる価値を持っている可能性もあり、内容をよく知らずに解約することは大きな損失につながることも。

この記事では、「お宝保険」の見極め方や解約のリスク、さらに支払困難な場合の対処法を、マネーシップス代表の石坂貴史さんに詳しく伺いました。

保険と上手に向き合うためのポイントを知り、安心して将来に備えましょう。

お宝保険かどうかは契約年と予定利率で見極める

---昔に加入した、いわゆる『お宝保険(予定利率が高い保険)』を、その価値を知らずに解約してしまう人がいると聞きます。証券のどこを見れば『これは解約してはいけない商品だ』と判断できますか? 具体的な『契約時期(年)』や『キーワード』を教えてください。

石坂貴史さん:

「いわゆる「お宝保険」かどうかを見極める最大のポイントは、証券に書かれている契約した時期と予定利率に関係する表現です。

まず、契約年が重要です。一般的に、1990年代前半までに契約された終身保険や養老保険は、現在では考えられないほど、高い利率で運用されている可能性があります。特に、1990年ごろから1995年ごろまでの契約は、予定利率が3%〜5%台のものが存在します。現在の保険商品の利率は1%未満が主流なので、この差は非常に大きいです。

証券を見る際の具体的なキーワードとしては、「予定利率」「予定利率〇%」「利率固定」といった表記を探します。また、「終身保険」「養老保険」「年金保険」といった、貯蓄性のある保険であることも条件です。一方で、医療保険やがん保険は、基本的にお宝保険には該当しません。

もう一つの判断材料は、「解約返戻金の推移表」です。今すぐ解約した場合の金額と、払込満了まで続けた場合の金額を比べてください。支払った保険料総額を大きく上回る返戻金が見込めるなら、それは保険というより高利回りの金融商品に近い存在です。

伝えたい点として、「内容がよく分からないから解約する」のが、最も危険だということです。分からない場合は、解約前に必ず中身を確認する必要があります。」

安易な解約は危険!「また入り直せばいい」はリスク大

---『余裕ができたらまた入ればいい』と軽く考えて医療保険やがん保険を解約するリスクについて教えてください。年齢や健康状態によって『二度と入れなくなる』可能性や、いざ再加入しようとした時に保険料がどれくらい跳ね上がるものなのか、具体的なシミュレーションをお願いします。

石坂貴史さん:

「「余裕ができたらまた入ればいい」という考え方は、保険に関しては、非常にリスクが高い判断です。理由は二つあります。

一つは、年齢が上がると保険料が確実に上がること、もう一つは、健康状態によっては、再加入そのものができなくなることです。

たとえば、40歳で医療保険を解約して、50歳で入り直そうとした場合を考えます。同じ保障内容でも、保険料は1.5倍から2倍程度になるケースが珍しくありません。月5,000円だった保険料が、月8,000円〜1万円近くになることもあります。これは単なる負担増で済みますが、問題は健康状態です。

解約後に高血圧、糖尿病、がんの治療歴などがあると、新たな保険では加入を断られたり、特定の病気が保障対象外になる、条件付き契約になることがあります。この場合、「入れない」「入れても使えない」保険になります。

実際に「一度やめたら戻れなかった」という話も少なくありません。

保険は、必要なくなったら、いつでも同じ条件で入り直せる商品ではありません。特に医療保険やがん保険は、「健康なときにしか選べない権利」を買っている側面があります。その権利を手放す判断は、保険料の負担感だけで決めるべきではありません。」

保険料の支払い困難時に知っておきたい解約以外の選択肢

---『どうしても今月の保険料が払えない、でも保障は捨てたくない』というギリギリの状況で使える救済措置はありますか? 保険料の支払いを一時的に止める『自動振替貸付』や、保障額を下げて継続する『払い済み』など、解約届を書く前に検討すべき選択肢を教えてください。

石坂貴史さん:

「「今月の保険料が払えないが、解約は避けたい」という状況では、解約以外の選択肢を必ず検討すべきです。

まず代表的なのが「自動振替貸付」です。これは、解約返戻金がある保険に限られますが、保険会社がその範囲内で保険料を立て替えてくれる仕組みです。一時的に現金がなくても、保障は継続されます。注意点として、立て替えた分には利息が付き、返戻金は減っていきます。

次に「払い済み」という方法があります。これは、それ以上保険料を払わず、保障額を小さくして保険を続ける仕組みです。毎月の支払いは止まりますが、保障は完全には消えません。老後や最低限の保障を残したい人には有効な選択です。

さらに、保障内容の見直しも選択肢です。特約を外す、保障額を下げることで、保険料を大きく下げられることがあります。FPとして大切だと考えるのは、「解約届を書く前に、これらの制度を知っているかどうか」です。多くの人は「保険料が払えない=解約しかない」と、つい思い込んでしまいます。

保険は、一度解約すると元に戻せません。一時的な資金難と、将来の保障喪失を同列に扱うべきではありません。追い込まれたときほど、解約以外の道があることを知ることが、最も重要な判断材料になります。」

保険の価値を見極め、解約前に選べる道を知ることが大切

今回の取材でわかったのは、「お宝保険」は契約時期や予定利率で見極められ、高い利率で運用されている場合もあること。そして、安易な解約は将来の保障を失う重大なリスクがあることです。特に医療保険やがん保険は、「健康なときにしか選べない権利」を買っているため、年齢の上昇や健康状態の変化により再加入が難しくなる場合があります。

また、保険料の支払が困難な場合も、「自動振替貸付」や「払い済み」、「保障内容の見直し」といった解約以外の選択肢があり、急いで解約届を書く前にこれらを知っておくことが重要です。保険は一度解約すると元に戻せないため、一時的な資金難と未来の保障喪失は別々に考え、冷静に判断することが必要です。

明日からできることは、まずは自分の保険証券を確認し、契約年や予定利率、解約返戻金の状況を把握すること。わからなければ専門家に相談し、「本当に解約が最善か?」を見極めましょう。そうすることで、将来に向けた安心とお得を確保できます。


監修者:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。