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着物研究家【シーラクリフさん】流・自由でファッショナブルな着物コーデのコツとは?

  • 2025.12.10

着物研究家【シーラクリフさん】流・自由でファッショナブルな着物コーデのコツとは?

着物に憧れていても、着付けが大変、ルールが難しいと二の足を踏んでいる方も多いのでは。もっと気軽に、自分らしく、着物を愉しむ方のお話を伺いました。今回は着物研究家・着物アーティストのシーラ・クリフさんです。

シーラ・クリフさん 着物研究家・着物アーティスト

1961年、イギリス生まれ。
85年に初来日。着物に魅了され、着付けや着物文化について学び始める。
その後は大学で英語と着物文化を教える傍ら、着物展覧会やファッションショーの企画・プロデュースなども手がける。

洋服にはない面白さが着物にはある!

大胆な色柄の着物と帯に、大ぶりのピアスやハット、パールネックレスなどをコーディネート。自由でファッショナブルな着こなしがSNSなどで人気を集め、着物インフルエンサーとしても活躍するシーラ・クリフさん。着物と出合ったのは、初めて日本を訪れたときだ。

「最初は何かなと思っていたんですけど、半年後には着物の店でいろいろ見たり、日本語が読めないのに本屋で着物の雑誌を買ったりしていました。いちばん魅力を感じたのは絹のしなやかさと色。木綿よりきれいに染まるから、色が深いんですよね。そしてデザインも豊富で、洋服にはない日本的な面白い柄がある。たとえば野菜とか、何でも着物の模様にしてしまう。それが面白くて、着物の虜になりました」

華やかさアップ! 柄を出す裏技

アンティーク帯を関西巻きに。「関東巻きだとチラッとしか柄が出ないけれど、こうすれば柄が全部出ます」

その後は着付け教室に2年間通い、着付けの免状を取得。

「最初は言葉がわからなかったから、教室では『なぜ? どうして?』と先生を質問攻めに。筆記試験もあったので、着付けを学びながら日本語の勉強にもなりました。でも、そこで基本をしっかり習ったから、今、自由に着ることができるのだと。先生たちには感謝しています」

私の着物姿を見て着物を見直してほしい

着物を頻繁に着るようになると、気持ちにも変化があった。

「なぜ着物を着るのかとよく聞かれます。それは、着物が私を美しく見せてくれるから。だから今日どんな自分に見られたいか、それを考えて着物を選ぶようになりました。元気に見られたかったらポップな着物、とかね。音楽を聴きに行くときは音楽と関係するものを身に着けたり、博物館に行くんだったらアンティークの着物を選んだり。そういうプラスαも楽しいなと思っています」

小さい頃からみんなと同じ格好はしたくなかった、自分の好きなものを着たかったというシーラさん。そんな本来の感性も、人とはちょっと違う着物アレンジにつながっているのかもしれない。

「私は今まで、いろいろなアートをやってきました。彫刻も、写真も、絵も。でも、自分のアートはやっぱり着物dressingだなと思うようになりました。着物がいちばん自分を表現できると思っています。いつまでも飽きないし、いつも新しいことに挑戦できるから」

小物使いで遊び心をプラス

風鈴、セミ、ブドウ、ホップ、ギフト箱のピアス。「遊び心やインパクトのある小物が好き。風鈴はガーデニング用の飾りをピアスにリメイクしました」

この日のコーディネートもまさにアート! 大胆な菊のグラフィックに、オレンジとブルーという反対色の組み合わせが効いている。

「洋服だったらあまり合わせない色ですよね。たぶん昔の訪問着だと思いますが、この配色がちょっとニューメキシコっぽくて気に入っています。菊の花の中に梅や紅葉が描かれていて、異なる季節が混在しているところが面白いと思います。腰には黒の飾り腰紐。文献によると室町時代はこうやって垂らしていたようなんですよ。それがおしゃれだなと思って考案した、私のオリジナルの着こなしです」

インスタグラムには、シーラさんのセンスが光るコーディネート写真がずらりと並ぶ。

「『シーラさんのインスタを見て着物を着るようになりました』とか『今、着付け教室に通っています』とか、すごく反響があります。人にインスパイアされ、また着物の素晴らしさを見直してもらいたいと思っていたから、私もとてもうれしい」

小物やメイクはテイストを統一

着物は「ちょっと昭和っぽくて、あまり季節にとらわれない柄」。メイクとピアスも着物の配色に合わせて。

着物を着る機会は自分でつくる。着物も喜びます

着物を着て出かけたい、でも着ていく場所も機会もない……。そんな人にはこんなアドバイスも。

「着物を着る機会がないというのは、式典でしか着られないと考えているからじゃないかしら。でも、着る機会は自分でつくれるものです。今日は美しくいたいから着物を着る、でもOK。別に立派なところに行かなくてもいいんです。自分の気分がよくなるし、着物も喜ぶ。そして、会った人も喜んでくれますから」

考えるのも楽しい着物リメイク

二枚の着物を組み合わせて新たな一枚にリメイク中。「3年前から和裁教室に通っています。和裁は大変だけど、やるほどに楽しい!」

撮影/廣江雅美
取材・文/本木頼子

※この記事は「ゆうゆう」2026年1月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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