渋谷区でポイ捨てすると「2千円」即徴収へ！求められる「マナーの徹底」を知っておこう

SNS上で渋谷区の条例改正が大きな話題となっています。2025年12月10日に可決された「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」の一部改正により、2026年6月1日から新たな罰則が本格的に適用されることになりました。

ポイ捨てをした人への過料徴収だけでなく、コンビニやカフェなどにゴミ箱の設置を義務付ける内容に、賛否両論が巻き起こっています。

ポイ捨てで「2,000円」徴収。何が変わるのか？

今回の条例改正で最も大きな変化は、ポイ捨てに対する罰則が「罰金（刑事罰）」から「過料（行政処分）」に変更される点です。これまでは2万円以下の罰金でしたが、新制度では一律2,000円の過料となります。

罰金は刑事罰のため、警察による立件や裁判所の手続きが必要でした。一方、過料は行政処分として区の指導員が現場で直接徴収できるため、取り締まりの実効性が大幅に高まると見られています。

施行日は2026年4月1日ですが、過料の適用開始は2026年6月1日からです。それまでの2か月間は集中周知期間として、区民や来街者への広報活動が展開される予定です。渋谷区では路上喫煙の過料処分で年間16,846件（2024年度実績）の実績があり、同様の体制でポイ捨ても取り締まる方針です。

渋谷区が条例改正に踏み切った背景には、深刻なポイ捨て問題があります。区が実施した路上散乱ごみ調査によると、2025年5月の調査では渋谷駅周辺で100メートルあたり271個ものポイ捨てごみが確認されました。これは近隣の、原宿駅周辺の74個、恵比寿駅周辺の64個と比較しても突出して多い数字です。

さらに2025年6月に実施された販売元調査では、特定できたポイ捨てごみ383個のうち、コンビニが63％、カフェが12％、飲み物持ち帰りが8％と、特定の業態からのごみが大半を占めていることが判明しました。

ポイ捨てをした人へのアンケート調査では、92％が区民以外で、そのうち52％が外国人でした。渋谷区の人口は約24万人ですが、昼間人口はその2倍以上といわれており、多くの来街者が訪れる一方で、ポイ捨てごみの処理費用は結果的に区民が負担している状況でした。

区では「自分のごみは自分で持ち帰る」ことを基本としてきましたが、美化・啓発活動だけでは限界を迎えたため、今回の抜本的な見直しに至ったとしています。

ポイ捨てをする側だけでなく、ごみの発生元となる事業者にも責任を求めるのが今回の改正の特徴です。渋谷駅周辺、原宿駅周辺、恵比寿駅周辺の3エリアにおいて、飲食料品を販売する店舗にごみ箱の設置が義務付けられます。

対象となるのはコンビニエンスストア、カフェ、ファーストフード店、ケバブ店、飲み物持ち帰り専門店などです。区の調査では、これらの店舗のごみ箱設置率は68％にとどまっており、特にケバブ店は20％、飲み物持ち帰り店は47％と低い水準でした。

義務に応じない事業者には、勧告、命令、公表を経て、最終的に5万円の過料が科されます。また、自動販売機についても従来通りごみ箱の設置義務があり、こちらも違反すれば同様に5万円の過料が適用されます。

渋谷区は「販売した商品から生じるごみは、販売した店舗が責任をもって処理することが望ましい」との考えを示しており、購入者には「買った店舗のごみ箱に捨てる」ことも併せて普及啓発していく方針です。

SNS上では「徴収する側大変だろうな」「もっといい方法はないものだろうか」という懸念の声がある一方で、「新宿もやればいいと思う」と他地域への展開を期待する声も上がっていました。

渋谷区では多言語対応が可能な喫煙ルール啓発員が24時間体制で区内を巡回しており、この体制を活用してポイ捨ての取り締まりも強化する計画です。訪日外国人向けには英語、中国語、韓国語での広報活動も展開されます。

「知らなかった」では済まされない新ルール。渋谷を訪れる際には、ごみは持ち帰るか購入した店舗のごみ箱に捨てる、というマナーの徹底が求められます。遊びに行く側も、迎える側も、意識のアップデートが必要な時代になったといえるでしょう。