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20年前、アニソンブームの道を切り拓いた“ハイトーン歌姫” 「ひたむきさ」が満ちた処女作

  • 2026.2.1

「20年前、自分がどんな夢を追いかけていたか思い出せる?」

冷たく澄んだ空気が街を包んでいた2006年。新しい年の始まりとともに、それまでの常識を塗り替えるような、清々しい風が音楽シーンに吹き抜けた。まだ何者でもなかった自分を抱えながら、それでも明日を信じて走り出そうとする。そんな真っ直ぐなエネルギーが、一枚のディスクに凝縮されていた。

水樹奈々『SUPER GENERATION』(作詞・作曲:水樹奈々)――2006年1月18日発売

それは、ひとりの表現者が、自らの内側から溢れ出す音を言葉に乗せて放った、決定的な瞬間でもあった。

震える指先で手繰り寄せたメロディ

当時、彼女はすでに声優として、そしてシンガーとして着実に階段を登りつつあった。けれど、この13枚目のシングルが持つ意味は、それまでの作品とは一線を画している。なぜなら、この曲は彼女自身が初めて作曲を手がけた作品だからだ

音楽家としての新しい一歩を刻んだこの楽曲には、聴く者の胸を熱くさせる「ひたむきさ」が満ちている。五線譜に初めて音符を並べるような、瑞々しくも力強い高揚感。「自分に何ができるだろう」という不安を、爆発的な創造性へと昇華させたその旋律は、聴き手の日常にある閉塞感を軽やかに打ち破ってくれる。

編曲を担当したのは、Elements Gardenの藤田淳平。彼女が紡いだメロディの種を、疾走感あふれるドラマティックなサウンドへと育て上げた。デジタルと生楽器が絶妙に融合した音の重なりは、まさに“新しい世代”の幕開けを象徴するような、鮮やかな色彩を放っている。

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水樹奈々-2006年撮影(C)SANKEI

飾らない声が届ける「信じる力」

この曲の最大の魅力は、過剰な装飾を削ぎ落とした、言葉の浸透力にあるだろう。自ら作詞も手がけた彼女が選んだ言葉たちは、決して着飾ったものではない。等身大の葛藤や、泥臭いまでの努力。そんな泥の中から光を見出すような強い意志が、彼女の伸びやかなボーカルによって結晶化されている

彼女の歌声は、力強いハイトーンを響かせながらも、どこか包容力に満ちている。それは、歌い手本人がメロディの源流を知っているからこそ生み出せる、深い共鳴なのかもしれない。旋律が上昇していくたびに、聴いている私たちの心もまた、一段高い場所へと引き上げられていくような感覚

ここからまた始められる――そんな根源的な勇気を、この曲はそっと、でも力強く手渡してくれるのだ。

偶然ではない「必然」の出会い

水樹奈々は、プロとしての技術や理論よりも、まずは「何を伝えたいか」という純粋な衝動を優先させたことが、結果として20年経っても色褪せない普遍性を生んだ。

また、この時期の彼女の活動は、後のアニソン・声優アーティストブームの礎を築いていくことになる。一つの型にはまることなく、自らのクリエイティビティを信じて道を切り拓く姿。その姿勢そのものが投影された『SUPER GENERATION』は、多くの人の人生のサウンドトラックとして深く刻まれることになった。

終わらない夢の、その先へ

2006年から20年。世界は目まぐるしく姿を変え、音楽の聴き方も、夢の形も変わったかもしれない。それでも、広がるあの青空のような開放感は、今も変わらずそこにある。

あの頃、この曲を聴きながら拳を握りしめた少年少女たちは、今、どんな大人になっているだろうか。

現実の厳しさに立ち止まりそうになったとき、ふと耳の奥で鳴り響くのは、「未来は変えられる」と信じて疑わなかった、あの日の歌声だ。

『SUPER GENERATION』は、ただの過去の記録ではない。今この瞬間も、何かに挑もうとする誰かの背中を押し続ける、永遠の現在進行形なのだ。夜が明けていく空を見上げるとき、私たちは再び、あの輝かしい旋律とともに新しい一歩を踏み出すことができる。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。