1. トップ
  2. 「全国民観て」「NHK最強」大ヒット映画『国宝』で魅せた名女優が“ヒロインじゃなくとも”異彩を放った『至高ドラマ』

「全国民観て」「NHK最強」大ヒット映画『国宝』で魅せた名女優が“ヒロインじゃなくとも”異彩を放った『至高ドラマ』

  • 2026.1.11

ドラマのなかには、日常の何気ない瞬間を切り取りながらも、想像以上の完成度で観る人を引き込む名作があります。今回は、そんな"想像を遥かに超える完成度で魅せた名作"の第3弾として、連続テレビ小説『ごちそうさん』をご紹介します。前回はドラマ『架空OL日記』を取り上げましたが、今回は食いしん坊のヒロインが激動の時代を力強く生き抜く、笑いと涙の物語をピックアップしました。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

undefined
カルティエ銀座4丁目ブティックオープニングイベント 高畑充希(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):連続テレビ小説『ごちそうさん』(NHK総合)
  • 放送期間:2013年9月30日~2014年3月29日
  • 出演:杏(卯野め以子 役)

明治から大正にかけ、東京・本郷の洋食屋「開明軒」で、父・大五(原田泰造)、母・イク(財前直見)、祖母・トラ(吉行和子)、弟とともに生まれ育った卯野め以子は、食べることが何よりも好きな女の子でした。

女学生となっため以子(杏)は、未来の夫となる帝大生・西門悠太郎(東出昌大)と運命的な出会いを果たします。最初の出会いは最悪で、カフェで生クリームを悠太郎につけてしまい、嫌味を言われるというもの。しかし、徐々に惹かれ合うふたりは、やがて結婚を決意します。

母を火事で亡くしたため安全な街をつくりたいという悠太郎の夢を実現するため、め以子は大阪の西門家に嫁ぐことに。そこで待ち受けていたのは、後妻の静(宮崎美子)、出戻りの長姉・和枝(キムラ緑子)、引っ込み思案な妹・希子(高畑充希)という複雑な家族関係でした。「朝も昼も夜も、私はあなたにおいしいものを食べさせます。一生食べさせます!だから私を一生食べさせてください!」という情熱的な逆プロポーズから始まるめ以子と悠太郎の物語は、昭和の戦争という激動の時代を経て、め以子が焼け跡の大阪で子どもたちに食事を配る姿へとつながっていくのでした――。

森下佳子が描く、挑戦的で予測不能な物語

本作の最大の魅力は、脚本家・森下佳子さんが生み出した挑戦的で予測不能なストーリー展開にあります。社会現象にもなった『あまちゃん』からのバトンを受け、2013年下半期に放送された本作は、プレッシャーを見事にはねのけ、視聴率は右肩上がりを記録。

一見「正統派」のようでいて、視聴者の予想を裏切る数々の挑戦をした意欲作でもありました。め以子の逆プロポーズから始まり、それに対する悠太郎の返事は「お断りします」というまさかの展開。さらに、キムラ緑子さんが演じる小姑・和枝の伝説的なイケズも大反響を呼びました。どこまでも先の読めない前代未聞の展開を巧妙に仕掛けた森下佳子さんの脚本は、一見スローな物語ながら、落語のようなイキイキとしたセリフの掛け合いも高く評価されました。

本作は『ちゅらさん』以来となる朝ドラでの向田邦子賞を受賞。演出を手がけたのはNHKの演出陣、音楽は菅野よう子さんが担当し、主題歌はゆずの『雨のち晴レルヤ』が作品に明るさと希望を添えました。さらに、語りを担当したのは祖母・トラ役を演じた吉行和子さん。「これは、ものを喰らう物語でございます」というナレーションが、物語全体に温かみを与えています。

また、本作で注目されたのは脇を固める豪華キャスト陣です。

2025年の大ヒット映画『国宝』にも出演していた高畑充希さんは、め以子の義理の妹・希子を演じ、内気で引っ込み思案な少女が歌によって自信を持ち、アナウンサーという職業婦人に変身していく様を熱演。この後、『とと姉ちゃん』のヒロインに抜擢されています。SNSでは「高畑充希さんの成長物語に泣いた」という声も見られ、異彩を放っていたことがうかがえます。

また、若手演技派俳優としてドラマや映画に引っ張りだこの菅田将暉さんが、坊主頭でヒロインの長男・泰介を演じていたことにも注目。次男・活男を演じた西畑大吾さんは、後に連続テレビ小説『あさが来た』にも出演しています。

飯島奈美が手掛ける、朝ドラ史上最強の「食」ドラマ

連続テレビ小説『ごちそうさん』のもう一つの魅力は、料理が陰の主役となる圧倒的な「食」の描写です。本作にとって、料理は単なる背景ではなく、物語の核心そのものでした。

料理監修を手掛けるのは、『深夜食堂』などでおなじみのフードスタイリスト・飯島奈美さん。「赤なすごはん(チキンライス)とオムレツで作る「オムレットライス」や、「スコッチエッグ」、コーヒーと梅シロップをかけたかき氷にメレンゲをのせ火をつける「焼き氷」など、目にもおいしい料理の数々は、提供するタイミングまで計算し尽くされたものでした。

さらに、ごちそうばかりでなく、食材を無駄なく使いきる大阪の精神「始末の料理」も多数登場。め以子が西門家で繰り広げる料理の数々は、ただおいしそうなだけでなく、家族の絆を深め、困難な時代を生き抜く力となっていくのです。

もう一つ注目したいのは、週ごとのサブタイトルに料理名を入れた遊び心です。「なっとうくう(納得=納豆食う)」「ごちそうさんまでの日々(さんま)」「私の大豆な男の子(大事な)」など、ダジャレ的なサブタイトルから内容を予想しながら観るのも、一つの楽しみ方でした。

SNSでは、「杏さんの食べっぷりが気持ちいい」「こんなに料理がおいしそうな朝ドラは初めて」といった声が多数寄せられました。さらに「菅田将暉さんが出てたなんて知らなかった」「逆プロポーズのシーンが忘れられない」「全国民観て」「NHK最強」「1番好き」と、作品の完成度と魅力を称える声も多く、視聴者の間で高い評価を集めています。

連続テレビ小説『ごちそうさん』は、食いしん坊のヒロインが激動の時代を力強く生き抜く姿を描いた感動作です。杏さんの魅力的な演技と、豪華キャスト陣、森下佳子さんの挑戦的な脚本、飯島奈美さんが手掛けた垂涎の料理の数々が、物語に笑いと涙、そして温かさをもたらしています。一見王道に見えて予測不能な展開と、朝ドラ史上最強の「食」の描写で多くの視聴者を魅了し、向田邦子賞を受賞した一作。まさに"想像を遥かに超える完成度で魅せた名作"と呼ぶにふさわしい作品です。

まだ連続テレビ小説『ごちそうさん』を観たことがない方も、食べることへの情熱と家族の絆を描いた温かな物語をぜひ楽しんでみてください。


※記事は執筆時点の情報です