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「月々5,000円」で新車を購入も→4年後、雹害で愛車がボコボコに…残クレ利用者が絶望した“想定外の結末”

  • 2025.12.27
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

月額5,000円で新車に乗れる。そんな魅力的なプランを、私も「賢い選択」だと信じて疑いませんでした。しかし、突然の雹(ひょう)害で計画は崩壊。保険を使ったにもかかわらず、なぜ50万円もの損失が出たのでしょうか?

「残価設定型クレジット(通称:残クレ)」の月額という甘い数字の裏に隠された「仕組み」と「リスク」。私の痛い失敗談をもとに、あなたにとって残クレが本当に得策なのか、一緒に考えてみませんか?

突きつけられた「想定を遥かに超える損失の試算」

新車の価格高騰が続く中、月々の支払いを抑えられる購入方法として定着した残クレ。

実は私も、過去にこの残クレを利用して人気のミニバンを購入した経験があります。当時は「金利1.9%」という破格のキャンペーン中で、手元の資金にも余裕があったため、あえて頭金を多めに入れる計画を立てました。

その結果、月々の支払いはわずか5,000円。「月々の支払額を抑えつつ、手元のキャッシュフローも守る」という、ファイナンスの視点でも非常に合理的な契約だと自負していました。ディーラーの担当者とも「これは賢い買い方ですね」と笑い合ったのを覚えています。

しかし、その「賢い選択」は、契約満了の直前に、自然災害という予期せぬ事態によって崩れ去ることになります。

納車から4年と数か月。「あと少しで計画通りに満了を迎えられる」と確信していた矢先、突然降り注いだ雹によって、愛車のボディは多数の凹みに覆われてしまったのです。

ボコボコになった愛車を見て、「これを修理したら残価はどうなるんだろう?」と不安になり、すぐにディーラーへ相談に行きました。そこで突きつけられたのは、想定を遥かに超える損失の試算でした。

設定されていた残価は180万円。対して、雹害を受けた状態での査定額は90万円。仮に車両保険を使ってきれいに直したとしても、修復歴等が影響し、契約時の残価はつかないと言われたのです。最終的に、保険でカバーされた修理費用相当額(約40万円)を充てても、差額の50万円は「自己負担」として支払うことになりました。

4年以上うまくいっていた計画が、最後の一瞬でマイナスに転じる。「月々安く乗れる」というメリットの裏側には、どのような仕組みとリスクが隠されているのでしょうか。今回は、私の実体験を一つの判断材料として、残クレの仕組みや注意点を改めて整理してみたいと思います。

そもそも「残クレ」とは?安さの裏にある「厳格なルール」

まずは、なぜ残クレだと月々の支払いが安くなるのか、その基本的な仕組みをおさらいしましょう。

残クレとは、車両本体価格の一部を、あらかじめ数年後(3年後や5年後など)の下取り予定額として据え置き(=残価)、残りの金額を分割で支払う購入方法です。例えば、300万円の車で、5年後の残価が150万円に設定された場合、購入者は残りの150万円分だけを5年間で分割払いすることになります。支払う元本が少なくなるため、当然月々の支払額は低く抑えられます。

ここで一つ注意しておきたいのが「金利」です。一般的に、分割手数料(金利)は「支払う分」だけでなく、「据え置かれた残価を含めた総額」にかかるケースが多いと言われています。そのため、通常のローンよりも金利総額が高くなる傾向があります。

私の場合は「金利1.9%」という低金利キャンペーン中だったため、このデメリットは最小限に抑えられていました。金利面だけで見れば、当時の選択は決して間違いではなかったと思います。

残クレ利用時の金利設定や、頭金の有無によって実際の総支払額にどれくらいの差が出るのか、詳細なシミュレーションについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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しかし、残クレには金利以外にも、利用者が必ず守らなければならない「ルール」が存在します。契約内容によって異なりますが、一般的には以下のような条件が設けられていることが多いようです。

  1. 走行距離制限
    多くの契約では、月間走行距離に上限が設けられています。「月間1,000km」または「月間1,500km」という設定が一般的でしょう。これを超過してしまった場合、返却時に1kmあたり5円〜10円といった精算金が発生する可能性があります。例えば、5年(60ヶ月)で月間1,000km制限の契約であれば、総走行距離が60,000kmを超えるとペナルティ対象となる計算です。

  2. 内外装の状態(原状回復)
    返却時の車の状態についても、細かい基準(査定ガイドライン)が設けられています。通常使用の範囲内であれば問題ないことが多いですが、大きな傷や凹み、内装の著しい汚れなどは減点対象となり、追加料金が発生することがあります。

  3. 違法改造・カスタマイズの禁止
    基本的には「ノーマル状態」での返却が前提となります。自分好みにカスタマイズを楽しみたい場合でも、返却時には元の状態に戻す(原状回復)必要があるため、大掛かりな改造は難しいかもしれません。

このように、残クレは「車を購入する」というよりも、一定の条件を守ることを前提に、車を長期間借りているという感覚に近いと言えるかもしれません。

筆者が陥った残価崩壊のカラクリ。なぜ保険でカバーしきれなかったのか?

では、なぜ私は「月々5,000円」の支払いだったにもかかわらず、最終的に50万円もの損失を出してしまったのでしょうか。

ここには、残価保証という言葉の誤解と、保険の限界が関係しているかもしれません。メーカー系の残クレでは基本的に「残価保証型(クローズドエンド)」が採用されています。これは、市場価格が暴落しても、規定内の状態であれば設定された残価で引き取ってくれるという安心のシステムです。

しかし、この保証には「修復歴がないこと」や「損傷が規定範囲内であること」といった前提条件が含まれていることがほとんどです。

私の場合、雹害によって屋根(ルーフ)やボンネットに広範囲な凹みができてしまいました。板金修理を行っても、屋根の交換や大規模な修復は「修復歴あり(事故車扱い)」となったり、査定上の評価点が大幅に下がる要因になり得ます。

その結果、私の車は「残価保証の規定外」と判断され、その時点での実勢価格(時価)での査定となりました。その計算が以下の通りです。

  • 当初の残価設定額:180万円
  • 雹害後の実査定額:90万円
  • 差額(損失):▲90万円

ここで頼りになるのが車両保険ですが、ここにも落とし穴がありました。車両保険は基本的に「修理にかかる費用」を補償するものであり、「事故によって下がってしまった車の価値(評価損・格落ち損)」までは、全額カバーされないケースが少なくありません。

保険会社からは修理費用として約40万円が支払われましたが、残価の落ち幅である90万円には遠く及びません。

  • 残価との差額:90万円
  • 保険金:40万円
  • 自己負担額:50万円

これが、私が体験した「残クレの落とし穴」です。もちろん、雹害は誰にでも起こるわけではない稀なケースかもしれません。しかし、追突事故や自損事故などでも、同様に「車の価値が大きく下がる」リスクは存在します。「保険に入っているから大丈夫」とは言い切れない現実があることも、頭の片隅に置いておく必要があるかもしれません。

印鑑を押すその前に。「出口」まで見据えたシミュレーションを

私にとって、月々5,000円で最新のミニバンに乗れた期間は、家計にとって大きな助けとなりました。その点において、残クレを選んだこと自体が間違いだったとは考えていません。

しかし、最後には「雹害」という不可抗力によって、想定外の出費を強いられる結果となりました。

これから車の購入を検討されている方にお伝えしたいのは、「月々の安さ」だけでなく、「手放す時のこと」まで具体的にイメージしてほしいということです。営業担当の方の「月々これくらいで乗れますよ」という言葉は嘘ではありませんが、そこには「きれいに乗って、距離を守って、無事に返却すれば」という前提条件が含まれています。

1月の初売りシーズン、ディーラーでは魅力的なプランがたくさん提案されることでしょう。印鑑を押すその前に、ご自身の車の使い方が残クレのルールに合っているか、万が一の事故や災害のリスクを許容できるか、一度立ち止まってシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。

この記事が、皆様の納得のいく車選びの一助となれば幸いです。



ライター:根岸 昌輝
自動車メーカーおよび自動車サブスク系ITベンチャーで、エンジニアリング、マーケティング、商品導入に携わった経験を持つ。
現在は自動車関連のライターとして活動し、新車、技術解説、モデル比較、業界動向分析などを手がけ、業界経験に基づいた視点での解説を行っている。


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