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「辞めようと思う」“芸能界引退”を考えた過去…“苦節16年” 名女優の快進撃がはじまった作品とは

  • 2025.12.21

作品ごとにまったく異なる表情を見せ、見る人の心を一瞬でつかむ俳優がいます。今回は、そんな中から"破格の名演で魅せる演技派俳優"を5名セレクトしました。本記事ではその第1弾として、松本若菜さんをご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

経歴

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プロ野球オリックス対楽天 始球式に参加した松本若菜(C)SANKEI

松本若菜さんは、鳥取県米子市出身の女優です。高校時代に奈美悦子さんと奈美悦子さんの所属する事務所の社長からスカウトされながらも一度は芸能界入りを断り、地元企業に就職。しかし「このままでは後悔する」と22歳で上京し、鰻屋で働きながらオーディションを受けました。

2007年、『仮面ライダー電王』で女優デビュー。以降、映画やドラマで着実にキャリアを重ねますが、30歳前後で仕事が減少し、一時は引退を考えたことも。そんな中、2017年の映画『愚行録』で演技を高く評価され、第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞します。

そして2022年、ドラマ『やんごとなき一族』で見せた怪演が大きな話題となり、一躍ブレイク。以降、『復讐の未亡人』『西園寺さんは家事をしない』『わたしの宝物』など主演作が続き、今では「遅咲きの実力派」として圧倒的な支持を集めています。

躍進を続ける現在地

松本若菜さんは、2024年に主演ドラマ『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)や『わたしの宝物』(フジテレビ系)で圧巻の演技を披露し、確かな実力で視聴者を魅了しました。フジテレビ系の連続ドラマ出演は7年連続を記録し、2025年4月クールの『Dr.アシュラ』(フジテレビ系)では救命医役として主演を務め、2年連続主演という快挙を達成。名実ともに主演女優としての地位を確立しました。

現在放送中の日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)では、牧場経営者・野崎加奈子役を熱演。12月28日放送予定のスペシャルドラマ『ラストマン -全盲の捜査官- FAKE/TRUTH』ではキャスター役として登場予定です。

さらに、声優としても活躍の幅を広げており、ハリウッド映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』では主人公ゾーラ・ベネットの吹き替えを担当。ジャンルを問わず挑戦を続ける姿勢が、多くの支持を集めています。

苦節16年、遅咲きのブレイクまで

高校時代にスカウトされながらも、一度は芸能界入りを断念し、地元の企業で働いていた松本若菜さん。しかし、「このまま人生が終わってしまうのでは」という焦りから、22歳で上京を決意しました。

初めて受けたオーディションで見事合格し、『仮面ライダー電王』で佐藤健さんの姉役として女優デビュー。鰻屋でのバイトを終え、“タレの匂いをつけたまま”挑んだオーディションで合格したという逸話は、彼女の飾らない人柄を物語っています。

その後、25歳の時には映画『腐女子彼女。』で主演をつとめますが、それ以降はなぜか“死んでしまう役”ばかり……。アルバイトをしながら、雨漏りのする部屋で暮らした時期もあったといいます

そんな松本さんは、30歳前後に大きな壁にぶつかります。仕事が激減し、母親に「今の仕事が終わったら辞めようと思う」と漏らすほど追い詰められたそうです。そんな彼女を救ったのが、2017年の映画『愚行録』でした。この作品での演技が高く評価され、第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞。停滞していた女優人生に再び光が差し込みました。

そして2022年、ドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系)で長男の嫁・美保子役を演じたことで大ブレイク。独特な演技と歌で魅せた“怪演”はSNSで話題となり、「#松本劇場」というハッシュタグがトレンド入り。圧倒的な存在感と大胆な演技で、視聴者を惹きつけました。

長い不遇の時期を支えたのは、松本さんの言霊を信じる心でした。「絶対に大丈夫」と自分に言い聞かせ、夢を言葉にすることで実現させてきたといいます。

積み重ねた下積みの日々があったからこそ、松本若菜さんの演技には深みが宿り、唯一無二の輝きを放っているのかもしれません。

今観るべき出演作品

松本若菜さんの魅力を語るうえで欠かせないのが、出演作品の幅広さです。作品ごとにまったく違う表情を見せ、どんな役にも真摯に向き合う姿勢が高く評価されています。ここでは、松本さんの演技力の幅と成長を堪能できる“今観るべき代表作”を4本ご紹介します。

『仮面ライダー電王』(2007年)
デビュー作にして、すべての原点。主人公(佐藤健)の姉・野上愛理を演じ、穏やかな佇まいと優しい笑顔でファンの心をつかみました。この“包容力ある女性像”が、のちの松本さんの演技の基礎を築いたといえるでしょう。

『愚行録』(2017年)
一家惨殺事件の真相を追うミステリー映画。松本さんはこの作品で第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞し、演技派としての評価を確立しました。後のブレイクへの足掛かりとなった一作です。

『やんごとなき一族』(2022年)
松本若菜さんの名を全国に知らしめた出世作。土屋太鳳さん演じる主人公を執拗にいびる義姉・美保子役で、振り切った表情とテンションを披露。毎話トレンド入りし、“松本劇場”という言葉を生み出しました。彼女のコメディエンヌとしての才能が開花した作品です。

『復讐の未亡人』(2022年)
連続ドラマ初主演作であり、愛する夫を死に追いやった者たちに復讐を果たす美月役を熱演。ミステリアスかつ妖艶な役柄で、これまでの“清楚なお姉さん”のイメージを一新しました。物語を牽引する存在感は、主演女優としての実力を証明しました。

「大丈夫」から始まった逆転劇

デビューから16年、松本若菜さんは今や日本を代表する実力派女優のひとりです。華やかな成功の裏には、長い下積みと絶え間ない努力、そして揺るがぬ信念がありました。

どんな逆境の中でも「絶対に大丈夫」と信じ、前を向いて歩み続けた松本さん。その生き方こそが、“破格の名演”を生み出してきた原動力なのかもしれません。これからの松本若菜さんの活躍に、ますます期待が高まります!


※記事は執筆時点の情報です