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「絶対に使用しないで」管理栄養士が警告。アルミ箔を使って“焼き芋”…火災の原因になる「電子レンジのNG調理法」とは?

  • 2025.12.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

電子レンジで調理するとき、アルミ箔を使って良いのか悩んだことはありませんか?「火花が出て火事になるかも…」「故障しそうで怖い」という声もよく聞かれます。

12月19日(金)には、【経済産業省】リコール・製品事故情報(製品事故対策室)(@kochijiko)が「芋をアルミ箔で包んだまま電子レンジのレンジ加熱で温めてしまうと…発火の恐れがあり大変危険です」と注意喚起の投稿を行いました。

一体なぜ電子レンジでアルミ箔を使うと火花が出るのか、その仕組みや安全に使う方法はあるのか、疑問を抱く人も多いでしょう。この記事では、専門家の詳しい解説をもとに、電子レンジとアルミ箔をはじめとした金属の扱い方や、焼き芋を安全に調理するコツまでわかりやすくご紹介します。安全でおいしい調理の第一歩を一緒に学びましょう。

電子レンジのマイクロ波は食品の水分を温める仕組み

---アルミ箔を電子レンジに入れると火花が発生する現象は、どのような物理的メカニズムによって引き起こされ、なぜ発火や故障につながるのでしょうか?

かきねキッチン 管理栄養士 小池三代子さん:

「電子レンジは、マイクロ波という電磁波で食品の水分子を振動させ、その摩擦熱で食品を温めています。マイクロ波は食品を直接温めるのではなく、食品内の水分を温めているのです。

アルミ箔などの金属の表面には、自由に動き回れる自由電子が多数存在しています。マイクロ波はアルミ箔に当たると大部分が反射されます。それと同時に自由電子は激しく振動し始めます。アルミ箔のしわや先端や角など尖った部分から電子が飛び出し、近くの金属(レンジ庫内の壁など)に移動しようとして放電が起こり、放電する際に火花が発生するのです。
高温の火花がレンジ庫内にこびりついた油やこげ、アルミ箔自体に引火することがあり、発火します。これが火災の原因となり得るのです。

電子レンジは、マグネトロンという真空管によって電気エネルギーをマイクロ波に変換しています。アルミ箔から反射されたマイクロ波がマグネトロンに戻ると、温度上昇が起き、故障の原因になります。また、火花を伴う急激な放電は、電子レンジの心臓部にあたるマグネトロンに多大な負荷をかけ、故障につながる恐れがあります。さらに、アルミ箔の一部がレンジ庫内の壁にくっついていると、放電が続き、レンジ本体にダメージを与えてしまうことがあるのです。」

電子レンジの故障リスクとアルミ箔使用の危険性

---電子レンジにアルミ箔を入れると、なぜ故障してしまう可能性があるのでしょうか?火花の発生がなぜ問題になるのか教えてください。

かきねキッチン 管理栄養士 小池三代子さん:

「アルミ箔はアルミニウムという金属を薄く伸ばしたものです。アルミ箔に限らず、ステンレスや鉄など、他の金属もレンジ加熱はNGです。マイクロ波によって激しく動き出した自由電子が飛び出し、火花が発生する可能性があります。

金属製の串・スプーンやフォーク・ボウルやバット・金や銀の装飾がある食器はレンジでの使用は避けましょう。
特に突起の多いものは火花が出やすくなります。

耐熱性のないプラスチック容器や発泡スチロールも注意が必要です。電子レンジでの加熱を想定してなく、有害物質が溶け出して食品に付着してしまう恐れがあります。
紙や木で作られた器や新聞紙・紙袋も焦げたり発火したりする可能性があり、電子レンジでの使用は危険です。
キッチンペーパーやクッキングシートも短時間の使用や水で湿らせて使えば比較的安全ですが、長時間の加熱は焦げ付くことがあるので注意してください。
※焼き芋ではありませんが、カップ麺の蓋・冷凍食品・レトルト食品のパッケージなど、包装に金属が含まれている場合があります。パッケージに金属が含まれていないかどうか、必ず確認してください。電子レンジ不可の表示やマークがあるものは、発火の恐れがあるので、レンジでは絶対に使用しないでください。」

電子レンジで避けるべき素材と焼き芋を安全に作るコツ

---焼き芋を安全においしく作るために、電子レンジを使う際に最も重要な「最初の一歩」を教えていただけますでしょうか。また、電子レンジ以外に安全に作れる方法もあわせてご教示ください。

かきねキッチン 管理栄養士 小池三代子さん:

「焼き芋を安全においしく作るために、電子レンジを使う際に最も重要な「最初の一歩」は、加熱前にお芋自体をしっかり濡らすことです。

さらに、水が滴るくらいに濡らしたキッチンペーパーでお芋を包み、その上からラップでくるみます。加熱中に水分が蒸発してしまい、乾燥するのを防ぐことが大切です。

さらに、長時間連続して加熱することは避けましょう。600Wで1分30秒加熱し、その後200W(または解凍モード)に切り替え、8分ほど加熱します。竹串などさしてみて固いようであれば、追加で30秒ずつ追加で加熱してください。加熱中は電子レンジの側から離れず、様子をみながら加熱しましょう。少しでも焦げくさい匂いがしたり、煙のようなものが見えたりしたら、すぐに加熱を中止してください。

電子レンジ以外では、オーブンやオーブントースターを使うと良いでしょう。
オーブンの場合、濡らしたお芋をアルミ箔で包み、予熱なし160℃で90〜120分ほど様子を見ながらじっくり焼いてください。
オーブントースターの場合、濡らしたお芋をアルミ箔で包み、200℃(800〜900W目安)で15分ほど焼き、お芋をひっくり返してさらに10分焼きます。固さが残るようであれば、2分ずつ追加で加熱してください。トースターで焼く場合、アルミ箔がトースターの内壁や熱源に付かないよう注意してください。小ぶりのさつま芋を選ぶ方が、短い時間で焼けるので安全です。

いずれにせよ、加熱中は側を離れず、様子をみながら連続長時間の加熱は避けるようにしましょう。」

電子レンジと安全な調理を心がけましょう

電子レンジはマイクロ波で食品の水分を温める仕組みのため、金属製品の使用は火花や発火のリスクを伴い、電子レンジの故障を招く恐れがあります。

アルミ箔や金属の食器、耐熱性のないプラスチックや紙類の使用にも注意が必要です。特に焼き芋を電子レンジで調理する際は、しっかり濡らして包むこと、加熱時間とワット数を守ることが安全でおいしく作るポイントとなります。

また、加熱中は目を離さず、異常があればすぐに加熱を中止しましょう。電子レンジ以外にもオーブンやオーブントースターを活用するのも安全な選択です。これらの知識を活かし、毎日の調理を安心して楽しみましょう。


監修者:かきねキッチン 小池 三代子(Instagram / ブログ
管理栄養士×保育士|実務経験13年|現在はフリーランスの管理栄養士として、栄養相談や食事指導、献立作成、記事執筆・監修を中心に活動中。「人に寄り添い、無理なく実現できる食生活のサポート」をモットーに、忙しい中でも続けられる、簡単でおいしい時短レシピを発信している。