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ゴミ屋敷から出てきた350万円の札束…「お金はあるのになぜ…」20年前の新聞紙が語る“見えない孤立”

  • 2025.12.29

遺品整理や特殊清掃の現場を通して、現代社会が抱える「孤独」や「家族のあり方」を問いかけるYouTubeチャンネル「遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)」。

今回は、あるマンションで行われた特殊清掃の現場「【現金350万円!?】光が射さないゴミ屋敷で亡くなった70代男性の特殊清掃」をご紹介します。

ライフラインが止まり、ゴミで溢れかえった暗闇の部屋。そこで亡くなっていたのは70代の男性でした。

「生活に困窮していたのだろうか?」

誰もがそう思った矢先、ゴミの山から出てきたのは、目を疑うような「大量の現金」でした。

「今年一番」の異臭…

今回の現場は、猛暑が続く夏のマンションの一室。玄関を開ける前から、ベテランのメモリーズ代表横尾さんですら「2024年(撮影時)一番かもしれない」と漏らすほどの強烈な異臭が漂っていました。

部屋に入る前、横尾さんは静かに合掌し、一礼します。

どんなに過酷な現場であっても、そこはかつて誰かが生活し、最期を迎えた場所。故人への敬意を払い、覚悟を決めて入室します。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

部屋の中は電気が止まっており、真っ暗。懐中電灯の明かりを頼りに進むと、そこには天井近くまで積み上げられたゴミの山が広がっていました。

暗闇に差し込んだ光

電気が使えない状況での作業は困難を極めます。スタッフたちはまず、窓までの動線を確保することに集中しました。

ゴミをかき分け、ようやく窓が開け放たれると、空気がよどんでいた部屋に外の光と風が一気に入り込みます。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

「これでやっと作業が捗る」

明るくなった部屋で本格的な仕分けが始まりました。しかし、光の下で明らかになったのは、さらなる衝撃の事実でした。

ゴミの中から出てきた「350万円」の衝撃

スタッフたちがゴミの分別を進めていると、厚みのある封筒を手にした横尾さんが、指先に違和感を覚えました。

「ん?ちょっと待って」

不審に思い封筒を破って中身を確認すると、そこに入っていたのは100万円近い現金の札束。

「社長、(処分したら)ダメです。ここ全部入ってます」

スタッフと一緒に周囲の封筒を確認すると、そのほとんどに現金が入っており、総額はおよそ350万円にものぼりました。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

「これは怖いですね…」

スタッフが思わず漏らした言葉。それは、もし分別の最中にこの「厚み」に気づかなければ、この大金をゴミとして焼却処分してしまっていたかもしれないという恐怖です。

ここから、作業の空気は一変します。

本の間、封筒の中、服のポケット。あらゆる場所に現金が入っている可能性があるため、今まで以上に慎重な作業が求められます。

「一気に作業効率が落ちたな…」

と苦笑いする横尾さん。しかし、故人の残した財産を、間違ってもゴミとして捨ててはいけない。プロとしての責任感が、作業の手を止めさせません。

「1999年の新聞」が語る孤立の時間

350万円もの現金を持っていた故人。さらに現場からは、大量の処方薬も見つかりました。お金もあり、病院にも行っていた。それなのに、なぜ誰にも気づかれずに最期を迎えなければならなかったのでしょうか。

上げられたままの上下可動式ベッドは埃に埋もれ、そこからは「1999年」の日付が入った新聞紙が見つかりました。

20年以上もの長い間、時が止まったような部屋で、社会との繋がりを絶っていたのかもしれません。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

そんな荒れ果てた部屋の中で、ふと目に留まるものがありました。

それは、保存袋に入れて吊るされた、綺麗な歯ブラシと歯磨き粉。

周囲がゴミに埋もれる中、そこだけは几帳面に整えられていました。どんなに生活が崩れても、最後まで保とうとした人間らしい生活の証。その切実な対比に、胸が締め付けられるようです。

「気づき」が救う命がある

「行政のせいにはできないんです。与えられたところは精一杯やっている」

横尾さんはそう語ります。制度上の支援だけでは救いきれない、誰にも気づかれない深い孤立。お金があるからといって、心が満たされているとは限らないのです。

すべての作業を終え、綺麗になった部屋で横尾さんは最後にこう訴えかけました。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

「できるだけ近隣で声をかけあって、発見が遅れるのを防いでいただきたい」

荒れ果てた住環境からは、強烈なSOSを発していました。誰かがそれに気づいていれば、結果は違っていたかもしれません。

350万円という大金と、20年以上前の新聞紙。それは私たちに、「本当の豊かさとは何か」「人との繋がりの大切さ」を、無言のうちに教えてくれているようです。



動画:「【現金350万円!?】光が射さないゴミ屋敷で亡くなった70代男性の特殊清掃

取材協力:「遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)」、「公式Webサイト

※本記事は動画の権利者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています


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