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「父には見せられない」雨漏りで傷んだ実家…能登に残る父を想い、娘が“家を壊す”と決めたワケ

  • 2026.1.1

遺品整理や特殊清掃の現場を通して、現代社会が抱える「孤独」や「家族のあり方」を問いかけるYouTubeチャンネル「遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)」。

今回は、能登半島地震をきっかけに、長年手つかずだった実家の片付けを決意したある家族の物語「【実家の片付け】空き家のリスクと大切な思い出を守る方法とは?」をご紹介します。

「実家をどうするか」という悩みに対する答えは、決して一つではありません。しかし、遠く離れた父を想う娘が出した決断には、多くの空き家所有者に通じる「ある答え」が隠されていました。

「能登に残る」父の意志と、25年目の決断

今回の現場は、築年数が経過し、雨漏りなど建物の傷みが進行している一軒家です。

依頼者である娘さんによると、ご自身が実家を出てから約25年もの間、この家は誰も住まない「空き家」状態だったといいます。お父さんは仕事の関係で能登半島に移り住んでおり、これまでは正月に帰省して寝泊まりする程度でした。

しかし、2024年の能登半島地震が状況を一変させます。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

「父にこっち(実家)に戻ってこないか提案しましたが、向こう(能登)に残るという意志が強かったんです」

地震の際、携帯の充電が切れかける中でようやく安否確認が取れたというお父さん。その強い決意を知った娘さんは、この実家を「売却・解体」するという大きな決断をします。

家を手放すことへの寂しさはあります。しかし、娘さんの心にあったのは「もし父がこっちに来た時、雨漏りで腐ってしまったこの家の姿を見たら、どう思うだろうか」という想いでした。かつて家族で過ごした大切な場所だからこそ、変わり果てた姿は見せたくない。思い出が汚れてしまう前に、綺麗な記憶のまま幕を引きたい。

それは、過去の家を守るためではなく、お父さんとの「これからの時間」と「美しい記憶」を守るための、愛ある家じまいでした。

危険な「空き家」リスクとプロの仕事

長期間人の出入りがなかった家屋は、想像以上に劣化が進んでいました。室内は雨漏りによって床が腐り、抜け落ちそうな箇所も点在。さらに庭にある大きな物置は錆びつき、今にも倒壊しそうな危険な状態でした。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

メモリーズのスタッフたちは、工具を使いこなし、火花に注意しながら手際よく解体を進めていきます。

スタッフの1人は「山に近い家は、雨や植物の侵食で傷みやすい。どんな状況でも対応できる体制を整えるのが我々の仕事」と語ります。個人では対処しきれない危険な状態も、プロの技術があれば、近隣への迷惑や火災のリスクを未然に防ぐことができます。

ひと目見たかった「雛人形」

物理的な片付けと並行して娘さんには、どうしても確認したいことがありました。それは、幼いころの思い出が詰まった「雛人形」の行方です。

「屋根裏か天袋にあるかもしれない……」

記憶はおぼろげですが、もし残っているなら確認したい。娘さんはそうスタッフに伝えますが、広い屋敷の中で、思い出の品を探し出すのは至難の業かと思われました。

しかし、数多くの現場を経験し、「お客様の気持ちに寄り添うこと」を大切にするスタッフのアンテナは、別の場所を感じ取っていました。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

捜索の結果、予想していた屋根裏ではなく、1階の奥まった場所から雛人形のセットが発見されました。大きな箱の中には、さらに丁寧に小分けされた箱が収められており、長年大切に保管されていたことがうかがえます。

「ちゃんとあるかなと思って……。見つかったら、それで(十分です)」

そう静かに語る娘さん。箱の中身をすべて開けて見ることはしませんでした。求めていたのは「再会」そのものよりも、「大切にしまってあった」という事実の確認だったのかもしれません。

その後、念のため屋根裏も確認しましたが、中は空っぽでした。思い出の品が無事に見つかり、家の中がすべて片付いたことで、娘さんは実家と共に思い出を手放す決心がついたのです。

依頼した理由と「ワンストップ」の安心感

娘さんが今回メモリーズを選んだ大きな理由。それは単なる作業効率だけではなく、スタッフが「依頼者の心に寄り添ってくれるのでは」と言う期待からでした。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

実家の片付けは、ただ物を捨てる作業ではありません。思い出と決別する辛い時間でもあります。スタッフたちは、その痛みを理解し、今回の雛人形の捜索のように、最後まで「家族の想い」を尊重して作業にあたりました。

その深い信頼関係があったからこそ、「整理・解体・売却」という複雑な手続きも、すべて安心して任せることができたのです。遠方のお父さんを想う娘さんにとって、精神的な支えと実務的なサポートの両方が揃っていたことが、何よりの救いとなりました。

他人事ではない「空き家率13.8%」の現実

現在、日本の空き家率は年々増加しており、2023(令和5)年の調査では過去最高の13.8%(総務省調べ)に達しています。およそ7軒に1軒が空き家という現実は、もはや他人事ではありません。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

作業を終え、綺麗になった室内を見て娘さんはこう語りました。

「家財が汚れて虚しい形になる前に、片付けて『綺麗な記憶のまま』にした方が良いと思いました」

放置して朽ちていく実家を見ることは、楽しかった思い出さえも悲しい記憶に変えてしまいます。だからこそ、物がまだ綺麗なうちに、感謝と共に手放す。それこそが、思い出を一番美しい状態で心に留めるための、最善の方法なのかもしれません。



動画:【実家の片付け】空き家のリスクと大切な思い出を守る方法とは?

取材協力:「遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)」、「公式Webサイト

参考:(総務省統計局)令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果

※本記事は動画の権利者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています


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