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遺品整理のプロ「実家の片付け、一番手を焼く場所は…」危険な『ゴミのオールスター』が集まる“魔のエリア”

  • 2025.12.30

遺品整理や特殊清掃の現場を通して、現代社会が抱える「孤独」や「家族のあり方」を問いかけるYouTubeチャンネル「遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)」。

今回は、実家や空き家の片付けで最もハードルが高いとされる「台所」に焦点を当てた動画「整理のプロ直伝!正しい空き家の整理術を教えます【台所編】」をご紹介します。

そこには、単なる掃除テクニックだけでなく、依頼主が語った「元気なうちに整理をする理由」という深いメッセージが込められていました。

実家の片付け、最大の難所は「台所」

今回の現場は、数年間空き家状態になっていた長屋の実家。依頼主は、かつてここで暮らしていた娘さんです。お母さんが施設に入所され、その後、お父さんが自宅で亡くなられたことで、主を失った家は時が止まったままになっていました。

「家をすっきりさせたい」。依頼主の固い意思を受け、メモリーズのスタッフが作業に入ります。

しかし、家全体の片付けにおいて、プロが「一番時間がかかる場所」「一般の人が最も苦労する場所」と口を揃えるのが、実は「台所」です。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

なぜ台所が難しいのか。それは、刃物、ガラス、スプレー缶、液体(調味料・油)、生ゴミなど、分別ルールが異なる「ゴミのオールスター」が集結している場所だからです。

「どこから手をつけていいかわからない…」

知識がないまま始めると、分別の複雑さに心が折れてしまったり、怪我をしてしまったりする危険性が高いエリアなのです。

小銭が語る、父の晩年

作業を進める中で、スタッフの手が止まりました。台所の至る所から、小銭が大量に出てきたのです。

「仕事柄、計算は得意な父だったんです」と語る依頼主。しかし、お母さんが施設へ入られたことで生活のリズムは一変し、買い物に出る機会そのものがなくなってしまったのかもしれません。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

「小銭を使う機会さえなかった」。 あふれる小銭は、買い物に行く習慣がなくなり、お父さんが広い家で一人、静かに過ごされていた時間の長さを物語っているようでした。

台所整理は、こうした「家族の変化」や、そこに残された孤独をありありと突きつけられる作業でもあります。

プロが教える「安全確保」のテクニック

スタッフが実際に作業をしながら、今日から使える実践的なノウハウを伝えています。

片付け中に怪我をしやすいのが、竹串や尖った箸などの鋭利なゴミ。これらをそのままゴミ袋に入れると、袋を突き破ってしまい、搬出時や収集作業員の方にとって凶器となります。 プロの技として紹介されたのは、「空のペットボトルに入れて蓋をする」という方法。これなら突き破る心配がなく、安全に処分できます。

なお、ゴミ出しのルールは各自治体によって異なります。お住まいの自治体のルールを確認しましょう。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

「物を大事にする」ことと「支配される」ことの違い

横尾さんは動画の中で、片付けにおける重要なポイントを語っています。

 「物を大事にすることは素晴らしい。でも、物を大事にするあまり、物に生活が支配されてしまってはいけない」

物であふれた家は、段差による転倒リスクや衛生状態の悪化を招き、住む人の健康寿命を縮めてしまう可能性があります。 

真の「整理整頓」とは、ただ部屋を綺麗にすることではなく、食事や入浴、睡眠といった「生きるための環境」を整え、長生きできるようにすることだ、と横尾さんは言います。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

「元気なうちに」未来に「負担」を残さない

「空き家をほったらかしにするのはもったいない」

依頼主は、片付けをした理由について、こう語りました。

「自分が元気なうちにやるべきことをやり、子どもたちに負担を残さないようにしたい」

親が亡くなってから、子ども世代だけでこの大量の荷物と格闘するのは、精神的にも肉体的にも想像を絶する負担となります。この決意は依頼主の家族を思う強い責任感と愛情を感じるものでした。

作業完了後、見違えるように綺麗になった実家を見て、依頼主は「思ったより早く終わってよかった。すっきりしました」と、感謝の気持ちを伝えました。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

実家の整理は、未来への贈り物

「まだ使えるから」「思い出があるから」と先送りにしてしまいがちな実家の片付け。 

しかし、プロの視点と技術を借りながら一歩踏み出すことは、親御さん自身の安全な暮らしを守り、そして将来のご家族の負担を減らす、未来への「贈り物」になるかもしれません。

年末帰省などの良い機会に親子で話し合い、このプロのノウハウを参考に、まずは「台所の引き出し一つ」から、整理を始めてみてはいかがでしょうか。



動画:「整理のプロ直伝!正しい空き家の整理術を教えます【台所編】

取材協力:「遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)」、「公式Webサイト

※本記事は動画の権利者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています


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