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「今帰ったから持ってきて」不在票を見た客からの再配達依頼…配達員が複雑な気持ちになった“切実な事情”

  • 2025.12.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。引っ越し・家財の運搬をしているしーやんです。

引っ越しや家財の運搬業務の現場では、思わぬ事態に遭遇することがあります。

今回は、不在票を見たお客様から電話がかかってきた時のエピソードをご紹介します。

たとえそれが指定時間内でも、不在票にドライバーの電話番号が記載されていても、再配達が難しいこともあります。

指定時間に伺ったけど…

家具の配達件数がかなり多かった一日。

私たちは休憩を後回しにしながら、ノンストップで配達作業をしていました。

気づけば夕方。その日最後の配達のため、お客様のマンションへと向かいました。

そのお客様は時間指定されていたため、私たちは指定通りの時間にインターホンを押しました。しかし、応答はなく、何度インターホンを押してもオートロックの扉が開く気配もありません。

「仕方ないですね」

そう言って、ドライバーと私は通例通り、不在票をポストに投函して現場を離れました。

遅い昼食中に届いた“今から来て”の電話

全ての作業が終わり、ようやくコンビニで休憩を取ることができました。

朝からほとんど口にしておらず、ほぼ「晩ごはん」の時間に食べる昼食。

ようやく座って落ち着いた瞬間、会社携帯が鳴りました。電話の相手は、先ほど不在だったお客様でした。

「今帰ってきたので、今から持って来てほしい」と言われ、思わず息をのみました。すでに荷台内の整理も終えており、私たちは休憩に入ったばかり。体力的にも精神的にも限界に近い状態でした。

そのため、一度は丁寧にお断りしました。ところが、すぐにはご理解いただけず、指定時間内であることを再度お伝えになられました。

「今、戻ったのですが、指定時間内なので、これから届けていただけますよね?」というお問い合わせでした。

確かに、指定時間内ではありましたし、私たちは作業中ではなく、切り上げが可能な“休憩中”でした。

それでもノンストップでの作業からやっと取れた休憩と昼食だったので、複雑な気持ちのまま、「今から向かいますので、お待ちください」と伝えました。

幸い、到着後はスムーズに荷物をお渡しでき、無事に配達を完了しました。しかし、休憩をほとんど取らないままの再訪問は、心身ともに負担の大きい判断でした。

お客様の主張と現場が抱える事情

今回のお客様のように「指定した時間内にいるのだから、すぐに持ってきてほしい」そう思われるのは、お客様として当然のことです。私たちも、そのお気持ちは痛いほど理解しております。

しかし、実は配達の現場には、すぐに対応することが物理的に難しい、いくつかの事情があるのです。

配送物はトラックの中で倒れないよう固定しますし、先に搬出する荷物を荷台の扉近くに置いて、ご不在だった荷物は荷台の奥に置いたりと、搬出の順番も考慮して積んでいます。そのため、突然「今すぐ来てほしい」と言われても、荷台の荷物の並べ替えや移動時間を考えると容易ではありません。

また、作業が詰まっている日は、作業の合間に休憩を取ったり、場合によっては夕方になってようやく休憩に入るなど、作業の順番や時間に合わせて休憩を取っています。

もちろん、私たちはお客様のご希望に最大限お応えしたいと考えています。しかし、こうした現場の事情から、双方にとって不幸なすれ違いが生まれてしまうことも事実です。

不在票を受け取った際に、少しだけ思い出してほしいこと

不在票の投函は、“伺ったがご不在だった”という記録であり、投函後、配達員は次の作業に向かっています。

不在票に気づいた時間がたとえ指定時間内であっても、トラックの走行位置や作業状況によっては、すぐに駆けつけることが難しい場合が多いです。

再配達の際は、不在票の記載に従って、依頼をしていただけると配達員たちもありがたいなと感じています。


ライター:しーやん

現在は日本語教師をしながら、ライター業、引っ越し・家財の運搬業務をしております。鉄道、受付、テーマパークなど様々な業種で培った経験をもとに「正しい日本語で心に刺さる文章を」をモットーに執筆中。


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