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まさか黒い壁がここまでとは…半年前、「念願のマイホーム」を購入した30代女性の末路【一級建築士は見た】

  • 2026.1.9
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

「『白い外壁は雨だれで汚れるから、絶対に黒がいい』。そう主張したのは私でした。でも、まさか黒い壁が、ここまで『白い汚れ』を引き立てるとは……」

そう後悔を口にするのは、半年前に念願のマイホームを建てたBさん(30代女性)。

Bさんの家は、金属サイディング(ガルバリウム鋼板)の「黒」で統一された、箱型のスタイリッシュな外観です。建築家の自邸のようなクールな佇まいに、完成当初は惚れ惚れしていました。

「黒なら汚れも目立たないし、メンテナンスも楽だろう」

Bさんはそう信じて疑いませんでした。しかし、その思い込みは、春の訪れと共に脆くも崩れ去ります。

黒いキャンバスに描かれた“白い爆弾”

ある晴れた朝、出勤しようとしたBさんは、我が家の壁を見て凍りつきました。玄関脇の目立つ高さに、ベチャッとした白い液体が垂れ流されていたのです。

「鳥のフン」でした。

「真っ黒な壁に、蛍光色のような白さが際立っていて……。遠くからでもハッキリ見えるんです。あまりに汚くて、慌ててホースで水をかけましたが、こびりついて取れない」

さらにBさんを追い詰めたのは、鳥のフンだけではありませんでした。

春風に乗って飛んでくる「黄砂」や「花粉」、そして軒下に張られた「クモの巣」。

これらはすべて「白っぽい色」をしています。

「黒い車と同じでした。洗車した直後はピカピカで格好いいけど、翌日には砂埃で白っぽくなる。家の壁は車みたいに毎日洗えません。週末のたびにホースを持ってブラシで擦っていますが、高いところは届かないし、本当に気がおかしくなりそうです」

一級建築士が見る“色の罠”

外壁選びにおいて、「黒=汚れが目立たない」というのは、実は間違いです。

建築士の視点では、家の汚れは大きく2種類に分けられます。

●黒っぽい汚れ(カビ・排気ガス・雨筋)
→白い壁で目立つ

●白っぽい汚れ(砂埃・花粉・鳥のフン・クモの巣)
→黒い壁で目立つ

Bさんの家がある地域は、畑が多く砂埃が舞いやすい環境でした。さらに近くに電線があり、鳥が止まりやすい場所だったのです。

環境要因を無視して「黒」を選んだことで、最も目立ちたくない汚れを、コントラストで強調する結果となってしまいました。

夏は“火傷レベル”の熱さに

さらに黒い外壁には、別の「落とし穴」もあります。

それは「熱吸収」です。

「夏場、壁を触ろうとした子どもが『熱っ!』と手を引っ込めたんです。測ってみたら表面温度が火傷しそうなほど高くなっていて。室内の冷房効率も、心なしか悪い気がします」

黒は太陽光を吸収するため、夏場の表面温度は白に比べて15〜20度も高くなることがあります。これは外壁材の劣化(シーリングのひび割れなど)を早める要因にもなります。

「中間色」が賢い選択

Bさんは現在、高圧洗浄機を購入し、脚立に乗ってフンと戦う日々を送っています。

「こんなに手間がかかるなら、普通のグレーやベージュにしておけばよかった」

外壁の色選びは、ファッションではありません。雨風にさらされ続ける「盾」の色選びです。

メンテナンスを少しでも楽にしたいなら、「グレー・ベージュ・グレージュ」などの中間色を選ぶのが有効な選択肢の一つです。これらは白と黒、どちらの汚れとも馴染み、汚れを「隠蔽」してくれます。

「格好良さ」には、必ず相応の対価(メンテナンス)が必要です。

黒い家を建てるなら、こまめな掃除も、愛着を持って楽しめる」。そんな余裕を持つことが、美しい外観を長く楽しむための秘訣かもしれません。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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