医師「秋にでやすくなります」　突然あらわれる蕁麻疹（じんましん）→医師が教える原因とは

2025.11.29

食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋と、季節ごとに楽しみがいっぱいの秋ですが、実は蕁麻疹（じんましん）を感じやすくなる季節でもあります。夏の終わりから秋にかけて、なぜか肌のかゆみや赤い発疹が出やすくなる……そんな経験をしたことがある方は少なくないのではないでしょうか。今回の記事では、秋に蕁麻疹が増える理由について、医師が解説します。

蕁麻疹の原因にはどんなものがある？

蕁麻疹は、皮膚の血管が一時的に拡張し、血液や液体が皮膚の外へ漏れ出すことによって現れます。この状態が、かゆみや赤いブツブツの正体です。なぜそのような変化が起きるのかというと、主に免疫系の異常な反応が関係しています。体が何かを「敵」として誤認識し、それに対応しようとする仕組みです。

その引き金となる原因は、人によって異なり、大きく以下のようなものが挙げられます。

アレルギー反応：食べ物や薬、虫刺され、花粉などが体内に入り、免疫反応が起こることがあります。
物理的刺激：寒暖差や圧迫、日光、摩擦など物理的な刺激が蕁麻疹を誘発する場合があります。
感染症：風邪やウイルス感染が原因で、蕁麻疹が現れることがあります。
ストレス：精神的なストレスが免疫バランスを崩し、蕁麻疹に影響することが指摘されています。
その他の要因：ホルモンバランスの変化や、原因が特定できない慢性的な状態も報告されています。

このように、蕁麻疹は単一の原因でなく、いくつかが絡み合って発症するケースも少なくありません。

なぜ秋に蕁麻疹が増えるの？

秋に蕁麻疹が増える背景には、いくつかの要素が複合的に関わっていると考えられています。

代表的な理由としては、気温や湿度の急激な変化が挙げられます。夏の暑さから一気に秋の涼しさへと変わる時期は、皮膚が環境変化に対応しきれず敏感になりやすいのです。加えて、秋は風邪やインフルエンザのように感染症も増える季節。体調の変化が免疫系のバランスを乱し、皮膚の反応が過敏になる可能性も指摘されています。

さらに、秋は空気が乾燥し始める時期。乾燥は皮膚のバリア機能を弱めやすいため、外部刺激に対して過敏に反応し、蕁麻疹が出やすくなる可能性も。また、この時期は秋の花粉（ブタクサやヨモギなど）の飛散が多いこともあり、これらがアレルギー反応を引き起こす一因となることもあります。

このように季節の特徴としての気候変化、免疫の乱れ、花粉など複数の要素が絡み合って、秋に蕁麻疹が増加すると言われています。

秋の肌トラブルを緩和するために

秋の蕁麻疹は、自然な季節変動や生活の変化が影響して起きている可能性があるため、一概に防ぎきるのは難しい部分もあります。ただ、皮膚の状態を整えたり、刺激を避けたりする工夫が症状の出方に影響を与えるかもしれません。

たとえば、空気の乾燥対策として加湿器を利用する、肌にやさしい素材の衣服を選ぶ、紫外線対策は継続する、睡眠や食生活のバランスに注意するなど、秋の肌環境に合った生活を心がけることがポイントです。

これらはあくまで日常生活の中で実践できるものですが、蕁麻疹が度々起こる、長引く場合は、専門機関での相談しましょう。自己判断だけでなく、専門の診療で適切なケアをすると改善が見込める場合があります。

＜医師からのコメント＞秋は寒暖差やアレルギーなどの刺激が強い時期。加湿もそうですが、保湿をしっかり行うことで、肌のバリア機能を保ち、症状の悪化を和らげます。

季節の変わり目を快適に過ごすための小さなヒント

秋は自然や食べ物の魅力があふれる時期ですが、肌や体調の変化にも注意を向けたい季節です。蕁麻疹が秋に増える背景には、気候変化や免疫反応、生活環境の変化など様々な要素が関係するとされています。

これらを踏まえ、秋の肌の敏感さを意識したケアを行うことで、不快な症状を減らす可能性があるかもしれません。季節に応じた生活リズムを整えながら、心地よく秋を過ごせるヒントをぜひ取り入れてみてくださいね。

監修者：PRIDE CLINIC 院長久野賀子（https://pride-clinic.com/）

2017年東京医科歯科大学医学部医学科卒業。
日大板橋病院にて初期研修終了後、湘南美容クリニックに入職し、５年半勤務。
新宿本院皮膚科医局長として通常の勤務だけでなく、新人医師の指導、VIP対応、トラブル対応に従事。
2024年11月新宿二丁目にPRIDE CLINICオープン。