1. トップ
  2. 平成13年、バラエティ発ユニットが仕掛けた“予測不能の挑戦” 元旦に流れた“多国籍エンタメ旋風” 

平成13年、バラエティ発ユニットが仕掛けた“予測不能の挑戦” 元旦に流れた“多国籍エンタメ旋風” 

  • 2025.12.25

「24年前のあの正月、テレビからどんな空気が流れていたか覚えてる?」

2001年の幕開け。平成の中盤を越え、エンタメも音楽も“なんでもあり”の空気が漂っていた頃だ。街の雑踏にはまだ年越しの余韻が残り、雑誌にはお正月特集が踊る。そんな“緩んだ空気”の中で、強烈な存在感をまとってリリースされた曲があった。

Brandnew Biscuits『partner”S”』(作詞:森浩美・作曲:井上ヨシマサ)――2001年1月1日発売

一見すると「バラエティ番組から出た新ユニットの曲」なのだが、その背景には、当時のテレビが持っていた“勢いと無鉄砲さ”がそのまま形になったような物語が潜んでいた。

まるで“深夜の企画会議”から生まれたような始まり

Brandnew Biscuits は、日本テレビ系『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』から飛び出したユニット。ブラックビスケッツの魂を引き継ぎつつ、南々見狂也(南原清隆)がインドの短編映画に参加。そこから第2弾の映画『ナトゥ 踊る!ニンジャ伝説』が制作されるのだが、その主題歌を担当したのがブラックビスケッツ脱退後の南々見狂也が率いる南々見組のメンバーによるユニット「Brandnew Biscuits(ブランニュービスケッツ)」という格好だ。

インド人ダンサー・ニラとバラを迎え、韓国オーディションでジニーとハンが加入し、日本・インド・韓国という多国籍メンバー構成の“混ぜるな危険”感が一気に高まる。この自由奔放さこそ、当時のウリナリの魅力であり勢いだった。

undefined
2000年12月、『ナトゥ・踊るニンジャ伝説』初日舞台挨拶より(C)SANKEI

混沌とした背景が生み出した“妙にクセになる一曲”

作詞はヒットメーカーとして数多くのJ-POPを手がけてきた森浩美、作曲は井上ヨシマサ。つまり楽曲自体は極めて“J-POPの王道”を踏み、キャッチーで覚えやすい。だがそこにBrandnew Biscuits の“物語”が重なることで、単なるバラエティ企画ソングとは違う質感を帯びていく。

どこか異国の風を感じる佇まい、しかし根っこはしっかりとしたポップス。雑多なのに不思議と一本の線でまとまってしまう。それは、当時のテレビが持っていた“勢い”と“遊び心”が音楽にまで染み込んでいた証拠だった。

いま聴くと、時代の“勢い”がまっすぐに響いてくる

『ナトゥ 踊る!ニンジャ伝説』の監督は『ゴジラ』シリーズの大森一樹。アクション、ダンス、バラエティ、インド映画の要素が全て入り混じった、まさに“当時にしかできなかった”作品だ。

『partner”S”』は決して大ヒット曲ではない。だが、当時の空気を圧縮したような“熱と混沌の匂い”を帯びた希少な作品だ。バラエティ番組が、音楽を作り、映画を生み、多国籍メンバーが踊り、そして曲がリリースされる。そんな無茶苦茶な時代の象徴。その真ん中にあった小さな1曲が、Brandnew Biscuits の『partner”S”』だった。

正月の薄明かりのように、どこか緩くて、どこか手作り感があって、だけど妙に心に残る。忘れていた時代の空気をふっと思い出させてくれる、そんな一曲なのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。