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「1週間耳鳴り続いた」体験者の“切実な声”。“ライブで耳栓は失礼”論争に「むしろ音が聞こえる」と反論続出。

  • 2025.11.6
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

「ライブで耳栓をするなんて失礼だ」という批判的な投稿がSNSで話題になったことをきっかけに、多くの音楽ファンやアーティストが「耳栓は必要なこともある」という声を上げています。

ライブ用耳栓とはどのようなものなのでしょうか。詳しく紹介します。

「ライブ用耳栓」とは?普通の耳栓との違い

ライブハウスでのライブを楽しんだあと、耳鳴りが続いたり、音がよく聞こえない状態が続いたり、といった症状が出たことはありませんか?ライブ用耳栓は、ライブでの轟音から耳を守るサポートをしてくれるアイテムです。

耳栓と聞いて、「音が聞こえなくなるのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、ライブ用耳栓は一般的な耳栓とは異なり、音を完全に遮断するのではなく「音を整える」ことを目的としています。

通常の耳栓が高音域から低音域まですべての音を均等にカットするのに対し、ライブ用耳栓は一般的に、特殊なフィルター構造により、音のバランスを保ちながら音量だけを適度に下げる設計になっています。そのため、音楽の迫力や臨場感はそのままに、耳へのダメージを軽減できるのが特徴です。

破裂音や過度な大音量だけをカットし、アーティストの声や楽器の演奏はクリアに聞こえるため、「むしろ音がよく聞こえるようになった」という声も少なくありません。

専門家が警鐘を鳴らす「音響外傷」のリスク

ライブ用耳栓が注目される背景には、大音量による健康被害のリスクがあります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、強大な音にさらされることで内耳が損傷し、難聴や耳鳴りを引き起こす「急性音響外傷」という症状があります。

ライブなどで大きな音を聞いた直後に耳がふさがったような感じがしたり、耳鳴りがしたりする場合は、この急性音響外傷の可能性があります。症状が軽く早期に治療を始めれば回復することもありますが、同じことを繰り返していると治りにくくなることもあるため、異変を感じたらできるだけ早く耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

一時的に症状が治まったとしても、繰り返し大音量にさらされることで聴力への影響が蓄積されていく可能性があります。長く音楽を楽しむためには、予防としての対策が重要なのです。

アーティストもライブ用耳栓について言及

アーティスト側からも、ライブ用耳栓の使用についてメッセージが発信されています。

自身もライブ用耳栓を使用しているというロックバンド・打首獄門同好会(@uchikubigokumon)の大澤敦史氏は、X(旧Twitter)の公式アカウントで「持っておいたらいいと思うよ〜『あ、使わなくても大丈夫だな』と思ったら使わなければいいだけの話なんでな」と投稿。

また、凛として時雨のピエール中野(@Pinakano)氏も、ライブ用耳栓を発売した際に、X(旧Twitter)の公式アカウントで「聴覚を保護しつつ、音楽をより楽しんでいこうとする考え方です」とコメントしており、音楽業界全体で耳を守る意識が高まっていることがうかがえます。

このように、アーティストグッズ、コラボや監修アイテムとしてライブ用耳栓を販売するケースもあります。

さらに、音楽フェス「THE BEACH 2025」や「ARABAKI ROCK FEST.2025」では子ども用のイヤーマフ貸し出しも実施され、幅広い世代への配慮が進んでいます。

また、音楽シーンだけでなく、ブザー音や音楽など大きな音が発されるバスケットボールの試合会場でも、大人用、子ども用イヤーマフの貸し出しが実施されるなど、大音量から聴覚を守る取り組みは広がりを見せています。

実際に使っている人たちの声

SNS上では、ライブ用耳栓を使用している人たちからさまざまな声が寄せられています。

「ライブ用耳栓を使っているけど、聞こえなくなることはないし、耳も疲れないしとてもいい」「破裂音や大音量はカットして、人の声や演奏はクリアに聞こえてとても良い」といった好意的な意見が多く見られます。「つけたほうが鮮明に聞こえる時もある」という声もあり、音質面でのメリットを実感している人も少なくないようです。

中には、「ライブ行ったあと1週間耳鳴りが続いたことがあって、それから耳栓をするようになった」という体験談も。実際に音響外傷になった人からは「聞こえないと感じたらすぐに耳鼻科に行くべき。ライブ用耳栓も使ったほうがいい」「ライブでスピーカーに近い位置にいたら音響外傷になった。耳鼻科で耳栓をすすめられたよ」といった声も上がっています。

耳鼻科医からも「ライブ会場は難聴になる可能性もあるからライブ用耳栓はおすすめ」という意見があり、アーティストからも「アーティストとして出る時も客の時もつけてる」との投稿もありました。

また、「音を遮るためじゃなくて、聞くためにつけてるという理解が進むといいな」「ロックのライブなのに爆音で聞かないのかと言われたことがあるけど、長くライブを楽しむためには耳栓は必要」といった声からは、耳栓への正しい理解が広がることへの期待が感じられます。

耳を守ることは、音楽を長く楽しむこと

ライブで耳栓をすることに対する批判的な意見の背景には、音楽への没入感や会場の一体感を重視する気持ちや、耳栓というアイテムが持つ「音を遮断するもの」という従来のイメージからくる誤解があるのかもしれません。

ですが、決してアーティストへの礼を欠いた行為ではなく、むしろ音楽を長く楽しむための準備のひとつです。アーティスト自身も推奨し、医療の専門家も必要性を訴える耳栓の使用は、今や音楽ファンにとって新しい常識となりつつあります。

ライブ用耳栓が必要かどうかは人それぞれです。人によっては、大好きな音楽と末永く付き合っていくための、一つの選択肢といえるでしょう。

大切なのは、ライブ用耳栓という選択肢があることを知り、使う人への理解を深めることではないでしょうか。


参考:
音響外傷(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)
子ども用イヤーマフ無料貸し出しのご案内(THE BEACH 2025)
子ども向けイヤーマフ無料貸し出しのご案内(ARABAKI ROCK FEST.2025)
【お知らせ】ホームゲーム会場での「イヤーマフ」無料貸出開始(宇都宮ブレックス)


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