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50代からの必修科目!攻めの休養学

  • 2025.10.22

ただ“寝る”だけでは慢性的な疲れを回復できない現代。
確実に疲労を取って心身を回復させる50代からの「休養の取り方」について学びます。

教えてくれたのは・・・
片野秀樹さん
休養学者、博士(医学)。日本リカバリー協会代表理事、ベネクス創業者・執行役員。休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指して啓発活動に取り組む。

『疲労学』 (東洋経済新報社)

疲労は体の異常を知らせる三大生体アラートの一つ

「休んでいるのに疲れが取れない」と感じている50代は多いはず。
日本リカバリー協会の調査でも「日本人の約8割が疲れている」という結果が出ています。
 
長年休養について研究している片野さんは「たかが疲労と侮るなかれ。放置すると様々な不調や病気の原因になる」と警鐘を鳴らしています。
 
「健康科学では、〝痛み〟〝発熱〟〝疲労〟を3大生体アラート(これ以上休まないと病気になるという体からの危険信号)と位置づけていますが、疲労は他の2つに比べると軽視されがち。
動物は、疲労が命にかかわることを本能的に理解し、回復するまで活動を停止しますが、人間は〝疲労感のマスキング(覆い隠すこと)〟ができてしまう。
つまり、使命感、やりがいなどの精神的な要因で疲労感を一時的に忘れることができるんです」
 
片野さんは「疲労を自覚すること」をファーストステップと位置付け、「正しい休養の取り方」が今後の人生の充足度の鍵を握ると主張します。

疲れ方が昔と今で劇的に変わった

日本では多くの人が「休む」というと「睡眠」と考えがちですが、睡眠時間を延ばすだけで、疲労は解消されるのでしょうか。
 
「現代においては、その答えはNO。なぜなら今と昔では、暮らしも働き方も大きく変化し、
疲れ方も劇的に変わりました。肉体労働が中心だった時代は、疲労は睡眠で回復できましたが、現代社会の疲れは、その質が変わってきているので、睡眠時間を長く取るだけでは半分程度しか解消できないと考えてよいでしょう。その活動が低下している状態から疲労感を感じている人が多いと考えています」

現代の疲労回復の鍵は自律神経のバランス

現代の疲労の主な原因は、自律神経にあると片野さんはいいます。
〝24時間戦えますか〟というキャッチコピーが人々の心をつかんでいた昭和の時代ですら、仕事の合間にほっと一息つける隙間時間がありました。
一方現代はスマートフォンをはじめとするデジタル通信機器の発達により、仕事のスピードも上がりオフの時間でもメールなどのチェックができ、24時間全く〝余白〟がない状態に陥りやすいといえます。
 
「結果、交感神経が優位の時間がかつてないほど長くなり、そうすると仕事が終わってからも興奮・緊張状態が長く続き、生活リズムが乱れることになります。体は疲れていないのに頭だけが疲れることで、肉体にも影響が残る人が多くなっているのが現状です」
 
片野さんによると、交感神経と副交感神経両方のバランスをとりながら疲れをとるための戦略が必要不可欠。そのための主体的な休養の取り方を「攻めの休養」とし、最高の体調を手に入れる具体策として提案しています。
 
休養についての知識を持つことで、より生き生きとした健やかな暮らしを手に入れましょう。

疲労チェックリスト

□ 寝ても寝ても眠い
□ 体は疲れているのに、 いざ寝ようとすると寝つけない
□ 朝、起きた瞬間からすでに疲れている
□ 休みの日は思いっきり朝寝坊をして、そのままゴロゴロしてすごす
□ 有休がとりづらい職場に勤めている
□ 残業は当たり前だ
□ 人間関係に悩んでいる
□ 育児や介護など定休日のない仕事をしている
□ 最近、つまらないことでイライラする
□ 眼精疲労や肩こりがある
□ 入浴は湯舟につからず、シャワー派だ
□ 夜のつきあいが多いが、毎朝9 時には出社する
□ 栄養ドリンクやコーヒーを飲まないとやる気が出ない
□ 性欲が低下してきた
□ 最近、著しく気力・体力が衰えた自覚がある

2個以下…今のところ比較的元気です。不調のサインを発見したら、すぐに対策をとりましょう。

5個以下…そこそこお疲れですね。まずはゆっくり休んでください。休むことは決して罪悪ではありません。

10個以下…かなりお疲れのようです。しっかり休んで対策を実行してください。

11個以上…危険水域です。いくら忙しくても、休むことを真剣に考えてください。

休養の7タイプを知って、組み合わせるのが攻めの休養!

自分にベストな休養モデルの組み合わせを見つけて

我々は、仕事などの〝活動〟によって〝疲労〟し、〝休養〟を取るというサイクルを繰り返しています。
しかし、「休養で充電できるのは、スマホの充電で言えば、50%程度」と片野さんは言います。
 
「100%フル充電するには、次の〝活動〟の前に〝疲労〟を打ち消す要素が必要です。その要素が、疲労の反対語である〝活力〟なんです」
 
片野さん曰く、休日を目的もなくだらだらと過ごすのは「ただの休養」。これでは
50%程度しか充電できず、疲れが残ります。
 
片野さんが推奨するのは、〝活力〟を養うための積極的・主体的な「攻めの休養」。
そして、〝攻めの休養〟を生理的休養、心理的休養、社会的休養の3つに分類し、以下の表の7タイプに定義しています。
 
「私たちの疲れは、複合的な要因によるものがほとんど。そのため100%フル充電まで戻すには、生理的休養、心理的休養、社会的休養を組み合わせることが重要です。心の〝だる重さ〟を吹き飛ばし、最高のパフォーマンスを生むために、自分にベストな休養レシピをみつけてください」

活力を上げる休養モデルはこちら

休養は生理的休養、心理的休養、社会的休養に分けられ、以下を組み合わせることで疲労回復効果が倍増。活力アップにつながります。

休息タイプ
十分な睡眠時間を確保することが第一歩
体を動かさずに、エネルギーを消費しないことに重きをおいた生理的休養で昼寝を含む睡眠や休憩などが当てはまります。ただし、十分な睡眠時間がとれていることが休養においては前提なので、睡眠時間の確保が第一優先。
そのうえで主体的に心身を休ませます。

運動タイプ
主体的かつ積極的に行う軽い運動
心身をリカバリーするための生理的休養。ウォーキング、ヨガ、ストレッチなど軽いものに限る。軽く体を動かすことで、巡りがよくなって疲労感が軽減し、睡眠の質が上がる、疲労への耐性が強くなるなどのメリットが。
激しく疲れ果てるまで運動するのは逆効果。

栄養タイプ
消化器官を休める「食べない栄養」
食べ過ぎを防ぎ、体の消化器官を休ませたり、老廃物を排出デトックスすることに焦点を当てた生理的休養。お腹が減っていないときは無理に食べず、食事量を減らしたり、胃腸にやさしいメニューにする。白湯で体を温める、断食・ファスティングも当てはまる。

親交タイプ
家族・友人・ペット・自然などとの触れ合い
人や動物、自然と親しく交わることでストレス解消を図る心理的休養。
親しい人やペットとのスキンシップだけでなく、職場や近所で積極的にあいさつをする、森林浴で自然に触れるなども活力につながる親交で、人間関係に起因するストレスの解消に有効。

娯楽タイプ
精神面でプラスになる趣味の時間を楽しむ
いわゆる趣味を追求して楽しむ心理的休養。音楽や映画、ドラマ鑑賞、習いごと、ゲーム、キャンプなど、インドア、アウトドアにかかわらず、やりたいことを主体的に行う。
ただし、ゲームやドラマ鑑賞はだらだらと長時間続けないよう1 時間以内を目安に。

造形・想像タイプ
ものづくりに没頭したり、好きなことを空想する
創作活動全般を指す心理的休養。「娯楽」と重なる部分があるが、より集中力を高めることで、疲労を軽減。
代表例は、絵を描く、編みものをする、花を活けるなど。創作と言っても形にする必要はなく、空想の旅をする、推しのことを考える、などでもよい。

転換タイプ
いつもと環境を変えることが良い気分転換に
環境の変化によって気分を転換する社会的休養。旅行、外食、引っ越し、部屋の模様替え、庭の手入れなど。洋服を着替えることも外部環境が変わるためこれに当てはまる。なかでも旅行は、日常生活のルーティンの多くが一気に変化し、休養の効果も大きい。


illustration: Shizuka Ishizuka text: Mizuki Sakaguchi
 
大人のおしゃれ手帖2025年10月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

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