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25年前、ランキング初登場1位を飾った“カリスマの孤独” 夢ではなく「現実」を歌ったワケ

  • 2025.11.16

「25年前、あなたはどんな孤独を抱えていた?」

2000年の秋。ミレニアムの高揚感も落ち着き始め、街のネオンが少しだけ冷たく感じられた頃。誰もが「自分らしさ」という言葉を探していた時代。そんな空気の中に、まるで現実の痛みをすくい取るように届いた曲があった。

浜崎あゆみ『SURREAL』(作詞:ayumi hamasaki・作曲:Kazuhito Kikuchi)――2000年9月27日発売

3rdアルバム『Duty』と同時発売されたこのシングルは、たかの友梨ビューティクリニックのCMソングとしても流れ、ランキング初登場1位を記録。だがこの曲が多くの人の心を掴んだ理由は、華やかなプロモーションではなく、“現実の中で生きることの痛み”を正面から描いたことにあった。

逃げずに選ぶという強さ

『SURREAL』の歌詞に綴られているのは、幻想や夢の世界ではない。

「好きなモノだけを選んでくのが無責任だってワケじゃない」

冒頭のフレーズが示すように、ここで歌われているのは「現実を選び取る覚悟」だ。

人は、何かを手に入れるたびに何かを失う。背負うこと、諦めること、受け入れること――浜崎あゆみはそのすべてを正面から受け止めようとしていた。

社会現象的な人気の渦中にいながら、彼女は早くも“誰にも理解されない孤独”を抱えていた。それでも、歌詞の中では逃げない。ひとりでいる孤独も、誰かといて感じる孤独も、どちらも現実として受け入れる。痛みを伴っても、それが生きるということ――そんな等身大の哲学が、この曲には宿っている。

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2000年、TOKYO FMに生出演した浜崎あゆみ(C)SANKEI

「あの日の約束」を胸に

作曲を手がけた菊池一仁は、浜崎作品の中でも特に繊細なメロディを生み出してきた職人。この曲では、打ち込み主体の硬質なリズムの中に、ロックサウンドをフィーチャーした。デジタルでも冷たくならない音作り。そこに込められていたのは、孤独の中にある熱量のようなものの現れだろうか。

「指切りをしたあの日の約束は ひとりじゃ守りようがない」という一節には、恋愛とも友情とも断定できない曖昧な言葉の中に、人と人とが生きることの難しさがにじんでいる。

誰かと寄り添いたい。けれど完全には分かり合えない。それでも前へ進む――その矛盾こそが“生きるリアル”であり、浜崎あゆみはそこにこそ真実を見ていた。

当時、彼女の周囲には「カリスマ」「時代の象徴」といった言葉が並んでいた。だが、『SURREAL』に滲むのはそんなイメージとは正反対の、人間としての素顔。“完璧ではない自分を受け入れる”という静かな強さが、聴く者に深く響いたのだ。

25年後に聴こえる“現実のリアル”

あれから四半世紀。SNSやスマホによって、誰もが「自分」を演じる時代になった。だが、それでも心の奥に感じる孤独は、あの頃と少しも変わっていない。『SURREAL』の歌詞にあるように、誰かといても満たされない夜がある。けれど、それでも人は歩き続ける。

“孤独も現実の一部として受け入れよう”

この曲は、そんなメッセージを今も静かに投げかけている。

浜崎あゆみが歌ったのは、夢や逃避ではなく、確かな現実の重さだった。25年前のその歌声は、今もなお、立ち止まる私たちにそっと背中を押している。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。