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「地上波では絶対不可能」“赤裸々に描かれた脚本”に衝撃…「観てない人は絶対に観て」数々の賞を受賞した至高ドラマ

  • 2025.10.19

日常を忘れ、つい見入ってしまうほどの圧倒的な魅力を持つ名作ドラマ。巧みな演出、緻密に描かれた人間ドラマ、心に突き刺さるセリフや展開が、視聴者を虜にします。大絶賛される理由は、単なる面白さだけではなく、観るたびに新たな感動や発見をもたらすその深さにあります。今回は、心に残り、何度でも観たくなる名作ドラマ5作品を厳選してご紹介します。

本記事では、第5弾としてWOWOWが生み出した至高のアートミステリードラマ『いりびと-異邦人-』をご紹介。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

あらすじ

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主演ドラマの会見に登壇した高畑充希(C)SANKEI
  • 作品名(配信):連続ドラマW『いりびと-異邦人-』(WOWOW)
  • 放送期間:2021年11月28日~12月26日(全5話)

有数のコレクションを誇る美術館で副館長を務める篁菜穂(高畑充希)は、老舗画廊3代目の夫・一輝(風間俊介)との子を身ごもっており、東京の喧騒を避けて京都に長期滞在していました。そんな中、偶然出会った一枚の絵画「青葉」に心を奪われます。その絵を描いたのは、言葉を発することのできない白根樹(SUMIRE)という無名の画家でした。

樹の才能に魅せられた菜穂は、彼女の絵を追い求めるうちに、京都画壇に潜む深い愛憎劇に巻き込まれていきます。樹の師匠である日本画家・志村照山(松重豊)をはじめとする人々の複雑な関係性が明かされる中で、菜穂の運命も大きく変わっていくのです。

京都の美しさと人間の業を描いた映像美

『いりびと-異邦人-』の最大の魅力は、京都の四季の移ろいを背景にした美しい映像です。全編京都ロケで撮影された本作は、古都の趣ある街並みと現代的な美術館が織りなす対比が印象的でした。萩原健太郎監督の繊細な演出により、絵画作品一つ一つが物語の重要な要素として機能し、視聴者は美術品を通じて登場人物たちの心情を読み取ることができます。

特に注目すべきは、SUMIREさんが演じるというキャラクターの描き方でした。言葉を発しない天才画家という難しい役どころを、SUMIREさんは表情と仕草だけで見事に表現し、その才能への嫉妬や憧憬を抱く周囲の人々との関係性を浮き彫りにしました。高畑充希さん演じる菜穂の確かな審美眼と、風間俊介さん演じる一輝の複雑な心境も丁寧に描かれ、夫婦間の微妙な感情の変化が物語に深みを与えています。

民放では絶対に不可能な攻めた脚本

『いりびと-異邦人-』が多くの視聴者から絶賛された理由の一つは、民放では制作困難な大胆な脚本構成にあります。関久代さんが手がけた脚本は、人間の美への欲望や嫉妬、愛憎といった複雑な感情を赤裸々に描き出しており、商業的な制約にとらわれない深いテーマ性を追求しています。

SNSでも「地上波では絶対不可能」という声が上がるなど、視聴者からはWOWOWだからこそ実現できた質の高いドラマとして高く評価されました。美術品の真贋をめぐる駆け引きや、登場人物たちの心の闇を容赦なく掘り下げる展開は、スポンサーへの配慮や視聴率を気にする必要がない環境だからこそ可能だったと言えるでしょう。

物語の中で描かれる美への執着は時として狂気に近く、特に風間俊介さんが演じる一輝の心の変化や、松重豊さん演じる照山の複雑な師弟関係など、人間の業の深さを丁寧に描写しています。これらの要素は、短時間で結論を急ぐ民放ドラマでは表現しきれない奥深さを持っており、WOWOWならではの制作姿勢が作品の品質を押し上げています。

高い芸術性が認められた評価と受賞歴

『いりびと-異邦人-』は放送後、数々の賞を受賞し、その芸術性の高さが公式に認められました。最も注目すべきは、第77回文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門での優秀賞受賞です。この賞は昭和21年に創設された権威ある賞で、今回の受賞により本作の文化的価値が証明されました。

さらに、第75回映像技術賞では撮影部門と照明部門の両方で受賞し、第2回WOWOWクリエイターアワードでは萩原健太郎監督が最優秀賞を獲得するなど、技術面でも高く評価されています。これらの受賞は、本作が単なるエンターテインメント作品を超えて、芸術作品としての地位を確立したことを示しています。

絵画作品群の見事な仕上がりと京都の美しい映像美、そして深い人間ドラマが評価のポイントとなり、WOWOWの制作力の高さを改めて証明する結果となりました。SNSでは、「観てない人は絶対に観て」と視聴を強く勧める方も見受けられました。

日本のドラマ史に残る名作

『いりびと-異邦人-』は、美術をテーマにした稀有なドラマとして、日本のドラマ史に残る作品となりました。高畑充希さんの圧巻の演技、風間俊介さんやSUMIREさんをはじめとする実力派キャストの共演、そして萩原健太郎監督による繊細な演出が見事に調和し、観る者の心に深い印象を残しています。

民放では制作不可能な攻めた脚本と、京都の美しい映像美が融合したこの作品は、WOWOWだからこそ実現できた至高の芸術作品です。文化庁芸術祭での受賞をはじめとする数々の栄誉は、その品質の高さを物語っており、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。美と人間の業を描いた普遍的なテーマは、時代を超えて語り継がれる価値を持っています。


※執筆時点の情報です