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4年前の朝ドラ、日曜劇場で活躍の若手女優が“主人公の妹”を演じていた…!当時の“瑞々しい”演技も必見

  • 2025.11.13

2021年のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』は、幅広い層から熱狂的な人気を得た朝ドラとして知られている。2025年10月29日は、最終回が放送されてから4年ということで、“#おかえりモネ最終回4周年”というハッシュタグができ、SNSが賑わった。本作がなぜそれほど視聴者を引き付けたのか、その理由を紐解いてみよう。

ただ、最近のキャスト複数に関する報道によって、心を痛めている本作のファンも少なくない模様。この記事では、純粋に作品の魅力にのみフォーカスし、『おかえりモネ』を振り返ってみたい。

令和以降の年代を初めて描いた朝ドラ

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清原果耶 (C)SANKEI

『おかえりモネ』は、安達奈緒子によるオリジナル脚本で、平成生まれの永浦百音(清原果耶)を主人公にした朝ドラだ。百音が気象予報士を目指す過程で、時代は平成から令和へと移り変わっていくが、令和以降の年代が初めて舞台となった朝ドラとしても注目された。

宮城県・気仙沼湾沖の離島で生まれ育った百音は、東日本大震災の時に仙台に行っており、家族や同級生ら大切な人たちと被災経験を共有できず、何の力にもなれなかったことに胸を痛め続ける。あまりにも苦しく、早く島を出たいと思うようになった百音は、大好きな妹・未知(蒔田彩珠)との間にも確執ができてしまう。

大学受験に失敗した百音は、島を出て、登米市の森林組合に就職。誰かの役に立つ生き方を模索している時、気象予報士の朝岡覚(西島秀俊)と出会い、実家の家業である漁業や、森林組合と直接関連する林業に、気象予報が役立つことを学ぶ。ひいては、気象予報士の仕事は人々の命を守ることにつながると知り、ようやく目標を見つけた百音。

難しい気象予報士試験に挑戦することを決意した百音は、森林組合に併設している診療所に着任した医師の菅波光太朗(坂口健太郎)に勉強を手伝ってもらうことに。

“#俺たちの菅波”が定期的にトレンド入り

百音と菅波が出会った辺りから、視聴者は2人のもどかしい恋模様に一気に盛り上がるようになった。2人とも恋愛には不器用で、誰が見ても惹かれ合っているのに、なかなか交際には発展しない。いわゆる“理系男子”の菅波は、堅物なところがあり、感情を表現するのが苦手なようで、そこがまた人気を呼んだ。

百音や周囲の人々への真摯な態度や、時折り見せる優しい面によって、視聴者の心をつかんだ菅波は、応援せずにはいられないキャラクターとなっていった。そして、百音とのじれったい恋の進展を願う視聴者が増え、“#俺たちの菅波”というハッシュタグが、SNSで定期的にトレンド入りするほどの盛り上がりを見せた。

2人の恋模様は、とても繊細に描出され、不意に訪れる胸キュンシーンに夢中になる人が後を絶たず、“菅波フィーバー”が巻き起こった。普段はクールを装っている菅波が、ふとした時に見せる照れた表情や、百音へのあふれ出る彼の想いは、多くの視聴者を釘付けにした。筆者もその1人だが、菅波が百音に触れようとした描写の際、カメラの角度で分かりにくく、「どこに触れようとした?」と大騒ぎしたことがある。副音声で確かめたところ、髪に触れようとしたと分かり、ドキドキが止まらなかった。

やがて、百音と菅波は遠距離恋愛となるが、最終回まで2人の恋の行方は視聴者を魅了し続けた。菅波がサメ好きという設定も面白く、話題を呼んだ。

“なに食べ”ファンも歓喜の“神回”

3回目の挑戦で気象予報士試験に合格した百音は、上京して朝岡が勤める気象情報会社に入社する。お天気キャスターとしてTV出演するようにもなり、さまざまな人と出会う百音。

その中の1人、百音の同僚・神野マリアンナ莉子を、1つ前の朝ドラ『あんぱん』に主演した今田美桜が演じていたのが興味深い。ミドルネームの“マリアンナ”は、ラテンの血が入っているためで、今田はチャキチャキした性格のキャラクターを快演していた。また、先輩社員の野坂碧を森田望智が演じたが、彼女はその後、2024年の朝ドラ『虎に翼』でも活躍した。

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内野聖陽 西島秀俊 (C)SANKEI

百音を気象予報士の仕事へと導いた朝岡を演じた西島も人気を博した。西島が出演している『きのう何食べた?』のW主演俳優・内野聖陽との『おかえりモネ』での共演シーンは、“なに食べ”ファンを大いに沸かせた。この2つのドラマは、両方とも安達が脚本を担当しており、ファンにとってはたまらない共演となったようだ。

内野が演じているのは、百音の父親の耕治。娘が働く気象情報会社を訪れた際、朝岡と出会うのだが、朝岡は耕治に気象予報士として抱えている悩みを打ち明けるなど、しっかりとした共演シーンとなった。SNSでは「2人の共演に号泣」「神回!」「朝から胸熱」といった反響が多数寄せられた。

国際的なスター俳優の名演技

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蒔田彩珠 (C)SANKEI

誰かの役に立ちたいと願い続け、島を出て、上京した百音だが、島に残された妹の未知との確執は、恋愛問題でもこじれる展開に。未知がずっと片想いしている及川亮(永瀬廉)は、百音の同級生で幼なじみだが、亮は百音に想いを寄せていた。図らずも三角関係のようになり、菅波を好きな百音は苦悩する。未知を演じる蒔田は、本作で非常に瑞々しい演技を披露したが、彼女はその後『御上先生』などでも活躍し、成長著しい若手俳優に。『おかえりモネ』での好演は必見だ。

永瀬が演じる亮と、彼の父親・新次(浅野忠信)との関係を描くパートは、かなり重厚な物語となっている。新次は耕治の幼なじみで、腕利きの漁師だったが、震災で妻の美波(坂井真紀)が行方不明となり、自宅や建造したばかりの漁船は流されてしまった。それ以来、酒に溺れる生活を送る新次。息子の亮は、そんな父の姿に心を痛めている。亮を体現する永瀬の繊細な表現と、『SHOGUN 将軍』で第82回ゴールデングローブ賞TVドラマ部門助演男優賞を受賞した国際的なスター俳優である浅野の名演技は、多くの視聴者の心をつかんだ。

等身大の魅力を発揮した主演の清原果耶

豪華キャストが集った『おかえりモネ』だが、何と言っても、ヒロインを務めた清原の等身大の演技は、非常に魅力的で忘れ難い。つらい状況から、1歩踏み出し、前を向いて歩いていく百音。SNSにも、本作の影響で「人生前向きになれた」「空を見上げることが増えた」「価値観が変わった」といった声が上がるなど、大好きな朝ドラとして『おかえりモネ』を挙げる人は、今でもとても多いようだ。


ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X(旧Twitter):@KumikoShimizuWP