1. トップ
  2. 「感情を瞬間冷凍したよう」25年後も息を呑む“型破りな狂愛ソング” 70万枚超えを叩き出した“生き様”を映した一曲

「感情を瞬間冷凍したよう」25年後も息を呑む“型破りな狂愛ソング” 70万枚超えを叩き出した“生き様”を映した一曲

  • 2025.10.6

「25年前、あなたはどんな音に心を奪われていた?」

2000年の幕開け。街はミレニアムへの高揚感に包まれていた。夜の繁華街にはネオンが煌めき、最新の携帯電話を片手に歩く若者たちが未来を語り合う一方で、まだどこか不安の影も漂っていた。そんな時代の空気を切り裂くように、ラジオやテレビから放たれたのがこの一曲だった。

椎名林檎『ギブス』(作詞・作曲:椎名林檎)――2000年1月26日発売

彼女の5枚目のシングルにして、アルバム『勝訴ストリップ』の先行を飾った楽曲。『罪と罰』との同時リリースという挑戦的な試みとともに、70万枚を超えるセールスを記録し、2000年の音楽シーンに鮮烈な刻印を残した。

undefined
椎名林檎-2000年撮影 (C)SANKEI

抑制と爆発のあいだで

『ギブス』のサウンドを特徴づけるのは亀田誠治による激情と抑制を包括したアレンジだ。シンプルに刻まれるリズムの上に、ギターとストリングスが緊張感を漂わせ、やがて爆発的な展開を迎える。そのコントラストは、聴き手の感情を一気に揺さぶる仕掛けとなっていた。

そして、椎名林檎のボーカルは、その上で自在に揺れ動く。低音では囁くように、サビでは一気に突き抜けるように――声そのものが楽器のように空間を切り裂いていく。過剰でも過小でもないバランス感覚が、当時の彼女の稀有な存在感を物語っていた。

鮮烈すぎる映像美

また、このシングルが強烈な印象を残した理由のひとつが、ミュージックビデオだ。胸元の大きく開いたワンピース姿で、黒のRickenbacker 620を激しくかき鳴らす。衣服の乱れすら構わず、音にすべてを託すその姿は、ただのパフォーマンスを超えて“生き様”を映した瞬間だった。椎名林檎の生々しくも美しい姿は異彩を放ち、観る者を釘付けにした。

“同時発売”という賭け

『ギブス』と『罪と罰』を同日にリリースするという戦略もまた、椎名林檎の型破りさを象徴している。片方は激情のラブソング、もう片方は鋭い攻撃性を帯びたナンバー。それぞれの異なる側面を一度に提示することで、アーティストとしての幅広さと芯の強さを印象づけた。結果として両作は大きな話題を呼び、アルバム『勝訴ストリップ』の大ヒットへとつながっていく。

2000年という境界線で

ミレニアムという特別な空気が漂う2000年初頭に放たれた『ギブス』は、ただのヒット曲ではなく、時代の象徴となる一曲だった。彼女の音楽が持つ強烈な個性は、その後の多くのアーティストたちに影響を与え、日本のポップシーンの感覚を一段階押し広げたと言える。

25年が経った今、あのPVの姿や、圧倒的なサウンドはなお鮮烈に記憶に蘇る。時代の熱狂と不安を同時に映し出したこの曲は、これからも聴くたびに、あの年の空気を呼び覚ますに違いない。

現に「エモーショナルで、完璧なロックバラード」「狂愛という言葉がピッタリ」「感情を瞬間冷凍したような曲」「女の子の代弁ソング」という称賛の声が今も溢れている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。