1. トップ
  2. 「歌唱力もはや異次元!」「かっこよ!」30年後も痺れる“非王道の異端ロック” 60万枚超を叩き出した“挑戦的な名曲”

「歌唱力もはや異次元!」「かっこよ!」30年後も痺れる“非王道の異端ロック” 60万枚超を叩き出した“挑戦的な名曲”

  • 2025.9.24

「30年前の冬、どんな音が心を震わせていたか覚えてる?」

1995年の街には、冬の冷たい空気が漂い、人々は新しい時代の息吹を探していた。明るいポップスや華やかなダンスナンバーが並ぶ中、冷たい風のように鋭く突き刺さるサウンドが流れ出す。その曲は、都会の夜のネオンを背にしながら、心の奥の暗がりをそっと照らしていた。

WANDS『Secret Night 〜It’s My Treat〜』(作詞:上杉昇・作曲:栗林誠一郎)——1995年2月13日発売

undefined
※Google Geminiにて作成(イメージ)

眠れる原曲が目覚めた夜

『Secret Night 〜It’s My Treat〜』は、WANDSにとって9枚目のシングル。前作『世界が終るまでは…』(1994年)から約8か月ぶりに届けられた一曲だった。

もともと作曲者の栗林誠一郎が1989年にソロ名義で発表した『IT’S MY TREAT』が原型となっている。ZYYGのメンバーとしても知られる栗林のこの楽曲を、WANDSが上杉昇の詞を乗せ、自らのフィルターを通して再解釈し、より攻撃的でオルタナティヴな響きをまとった作品へと生まれ変わらせたのだ。

上杉昇のボーカルは、原曲の持つメロディラインに新たな緊張感と熱量が吹き込んだ。結果として、この曲はWANDSにとって、従来のメロディアスなイメージを覆す挑戦的な一曲となった。

都会の闇をえぐる響き

この楽曲の最大の特徴は、従来のWANDSが持っていたメロディアスな路線から一歩踏み込み、グランジやオルタナティヴの匂いを強く放ったサウンドにある。

荒々しいギターリフと重厚なリズムが、夜を駆け抜ける疾走感を生み出す。上杉昇の歌声もまた、鋭さと熱を増し、どこか突き放すような冷たさの中に熱情を秘めている。彼のボーカルが持つ張り詰めた緊張感は、この曲をただの実験作ではなく、時代に挑む意思表明のように響かせていた。

異端が掴んだ60万枚の衝撃

『Secret Night 〜It’s My Treat〜』は、60万枚を超えるセールスを記録するヒットとなった。華やかなラブソングやタイアップ曲が主流を占める中で、この異端のロックナンバーが確かな存在感を示したことは特筆すべきだろう。

当時のJ-POPシーンにおいて、オルタナティヴ色を前面に打ち出すのは決して王道ではなかった。だが、それこそがWANDSの新しい表現の始まりを告げるサインでもあった。

挑戦が刻んだ時代の境界線

『世界が終るまでは…』という大ヒットの余韻を背負いながら、WANDSはあえて異なる方向へ舵を切った。その選択は、賛否を呼びながらも、確実にバンドの音楽性を拡張するものだった。

『Secret Night 〜It’s My Treat〜』は、単なるヒット曲にとどまらず、J-POP黄金期の只中で“実験的な挑戦が大衆に受け入れられた稀有な瞬間”を象徴している。

30年経った今でも、この曲を聴けば当時の空気が蘇る。夜の街を駆け抜ける冷たい風、そして音楽が持っていた切実な熱量。そのすべてが、この一曲の中に閉じ込められているのだ。

令和7年となった現在も「この曲マジカッコいい!」「歌唱力もはや異次元!」「かっこよ!!」などと評する声が少なくない。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。