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「唯一無二な才能」20年後も心を奪う“路上発の革命ソング” ドラマ主題歌で鮮烈デビューした“新時代の歌声”

  • 2025.9.22

「20年前の冬、あなたはどんな音に耳を澄ませていた?」

2005年2月。冷たい風が街を吹き抜ける季節、春を待ちきれない気配とともに、空気は少しずつ柔らかさを増していた。携帯電話の着信音には最新のヒット曲が鳴り響き、街のカフェや商店街からは軽快なポップスが漏れ聞こえていた時代。そんな日常の風景の中で、ひときわ新鮮な声がテレビドラマから流れ、多くの人の心を掴んでいった。

YUI『feel my soul』(作詞・作曲:YUI)――2005年2月23日発売

路上からテレビへと広がった軌跡

福岡県出身のYUIは、もともと福岡の繁華街・天神の街角でギターを抱え、あぐらをかいて歌う1人のストリートミュージシャンだった。路上から生まれたその素朴で真っ直ぐな姿は、当時の音楽シーンにおいても異彩を放っていた

デビュー前からすでに口コミで注目を集めていた彼女に、チャンスをもたらしたのがフジテレビ系ドラマ『不機嫌なジーン』の主題歌という大役だった。主演は竹内結子。大人の恋愛模様を描くドラマに寄り添う形で届けられたこの一曲は、YUIにとって文字通り“始まりの鐘”となった。

爽やかさと力強さを兼ね備えた音の設計

『feel my soul』のアレンジを手がけたのは鈴木Daichi秀行。彼が仕立てたサウンドは、アコースティックギターの軽やかさを前面に押し出しながら、ポップでありつつも確かなロックの強度を備えていた。

イントロから広がる響きは、都会のビル群の間に差し込む朝の光のようで、シンプルながら耳に残る。そこに乗るYUIの歌声は、透明感と芯の強さを併せ持ち、まるで路上の風がそのままスタジオに吹き込んだかのようなリアリティを感じさせた。多くのリスナーが「これまでにない新しい声」と直感したのも当然だった。

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YUI-2010年撮影 (C)SANKEI

音楽シーンに現れた“等身大のシンガー”

2000年代半ばのJ-POPシーンは、華やかなダンスナンバーや派手なプロデュースが目立つ時期でもあった。そんな中で、ギターを抱え、自分の言葉をまっすぐに歌うYUIの姿は、新しい世代の象徴のように映った。

特に10代や20代の若者から支持を集め、「自分もギターを持って歌ってみたい」と路上に立つ少女たちが増えたことは、ひとつの社会現象といってもよい。

20年経っても色褪せない“始まりの息吹”

このデビューシングルは、ランキングでも上位に入り、YUIの名を一気に広めるきっかけとなった。その後の『LIFE』や『Good-bye days』など、映像作品との結びつきでさらに輝きを増すキャリアの最初の一歩が、まさにこの『feel my soul』だった。

あれから20年。音楽の聴き方はサブスクが主流となり、街角の風景も大きく変わった。それでも『feel my soul』を聴けば、2005年の冬の匂いや空気感が一瞬で甦る。

新しい声に心を奪われたあの瞬間の鮮烈さは、今なお揺るぎない。「唯一無二な才能だと思う」「YUIに変わる者はいない」などの声がある通り、路上から始まったYUIの物語は、このデビューシングルによって確かに刻まれ、今もなお多くの人の胸に響き続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。