1. トップ
  2. 恋愛
  3. 夏祭りで会費が倍増?現金集金と「手作りヨーヨー」に隠された園の“深い闇”

夏祭りで会費が倍増?現金集金と「手作りヨーヨー」に隠された園の“深い闇”

  • 2025.8.31

こども園に3人の子を預けて働いている、加代子さん。入園以来、10人以上もの先生が退職しています。今年もまた、担任の先生が姿を消しました。園の中で何かが起きている…。そう感じた加代子さんは、ある決意を胸に真実を探り始めます。こども園を取り巻く人間関係について描いた体験談、『先生が次々に退職する園で、私は』第2話をごらんください。

夏祭りの「おたより」を見つめ、加代子さんは園に対して、不信感を募らせていました。さらに、夏祭りの内容も、あからさまに質が低下しています。夏祭りに対する感想について、LINEでママ友グループに疑問を投げますが…。

いよいよ、待ちに待った夏祭り!

ママリ

今日はこどもたちの待ちに待った夏祭り。浴衣姿の子どもたちを連れ、こども園の門をくぐると、すでにあたりは人でいっぱいです。

ちょうちんがずらりと吊るされ、盆踊りの音楽が鳴り響いていました。

「せんせい、ゆかたみて〜」

「わあ、かわいい!よく似合ってるよ〜!」

園庭では、先生たちが笑顔で迎えてくれ、園児たちのうれしそうな声が響いています。

でも、どこかその笑顔がぎこちない感じがするのは、気のせいでしょうか…。すると、「こんにちは〜!」と声をかけてきたのは、ママ友の佳織さん。去年のバザー係で一緒だった、気の合うママです。

立ち話をしていたら、「会費2000円の内訳、ちょっと気になるよねぇ」と、佳織さんがボソッと言いました。私は、同じく、違和感を抱いていたので、掘り下げてみることに…。

現金集金の違和感

ママリ

「なんか…今年から、ヨーヨーも手作りだってね」

今年のヨーヨー釣りは、絵の具を溶いた水をビニール袋にパンパンに入れたものでした。発泡スチロールの箱にぷかぷか浮かんでいるそれを見て、なんとも言えない気持ちになりました。買うより手間の方がかかりそうです…。

(はるとが入園した年は、とても華やかだったのに…)

今でも覚えています。初めて参加した、あの夏祭り…。こどもたちも、先生たちも…みんなが心から楽しそうだった。

今思えば、あの年が園全体の空気が、一番明るかったかもしれません。園には、わたあめ屋さんの車が来ていて、先生たちと保護者で焼きそばを焼いて…汗だくになりながら、お祭りを楽しんでいた子どもたちの笑顔が、今でも忘れられません。

「こどもを持ってからのお祭りって、こんなに楽しかったんだ」

私は本気で感動したのです。あれから数年…少しずつ、規模は小さくなっていきました。それでも、「こどもが楽しければ」と、誰も文句を言わずにいたのです。でも、今年はさすがにおかしいんじゃ……?そう思わずにはいられませんでした。

園庭の中央では、先生たちが和太鼓を打ち鳴らしていました。そのリズムに合わせ、子どもたちの笑い声が広がっています。

毎年見慣れた、この町の歴史ある太鼓…。ご近所の保存会からお借りしている、隣組の太鼓です。

今年も変わらず、あの味のある音が園庭に響いていました。

(毎年、同じ太鼓を使っているのに…。今年の会費が高い理由ってなんなんだろう)

私はマイボトルの麦茶を飲みながら、太鼓の演奏を見つめていました。

「今年から受付で現金払いになってるでしょ?ちょっと面倒だったよね…。うちの夫、税金にくわしいんだけどさ、現金集金って使い道が追いづらいから、管理側が選ぶ場合もあるんだってね」

佳織さんの言葉を聞いて、私はドキッとしました。楽しいはずの夏祭り…。先生たちの笑顔の裏に、何かそこ知れぬものがあるように感じてなりませんでした。

ママ友グループの沈黙

ママリ

その夜、子どもたちを寝かしつけてから、お祭りの写真を整理していました。ビニールの手作りヨーヨーは、明かに違和感があります…。

(やっぱり、今日の夏祭り…おかしかったよね)

ふと、LINEを開いて、ママ友グループに投稿してみました。

「ねえ、今日のヨーヨーのこと、どう思う?」

グループLINEはしばらく静まりかえったまま…。誰も返信をしないその空気に、私は少しこわくなりました。

(私だけじゃない…きっと、みんな気づいてる。会費の値上げの裏に何かあるって。でも、知らないふりをしてるだけなんだ。それとも、余計なことを言えば、先生たちに迷惑がかかる…そう感じているのかもしれない)

それに、何か発言をすることで、子どもたちに影響があったら…それを考えたら、誰も何も言えないんじゃないか…。そう思いながら、私は眠りにつきました。

あとがき:夏祭りの裏側で…

夏祭りのにぎやかさの中で、見え隠れする違和感…。保護者たちの心に、徐々に波紋を広げていきます。

園に対する違和感を抱いていたのは、どうやら加代子さんだけではないようですね。ですが、ママ友たちは多くを語らないようです。さらに、加代子さんの問いに沈黙します。園で起きているであろう不穏な気配に、首をつっこまないようにしている様子がうかがえますね。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています

著者:光永絵里

元記事で読む
の記事をもっとみる