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“21年前”に放送された色褪せることない平成の名作 大学生の人生観を丁寧に描写した“恋愛ドラマの傑作”

  • 2025.9.17
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柴咲コウ (C)SANKEI

TVerのTBS人気番組特集で配信されている『オレンジデイズ』。正直、説明不要の不朽の名作だろう。放送から21年経っても未だに色褪せることのない恋愛ドラマ、青春群像劇としての本作の魅力を解説する。

地味な大学生と聴力を失ったバイオリニストの恋

本作の舞台は、ある大学だ。就職活動中の大学4年生・結城櫂(妻夫木聡)は、ある日バイオリンを弾く美しい女性・萩尾沙絵(柴咲コウ)に出会う。彼女は、将来を期待されたバイオリニストだったが、海外留学中にほとんどの聴力を失っていた。社会福祉心理学を専攻していた櫂は、専攻科目で手話を扱っていた頃から、沙絵と徐々にコミュニケーションをとっていく。

櫂の友人である矢嶋啓太(瑛太)と相田翔平(成宮寛貴)、沙絵の友人である小沢茜(白石美帆)は、自然と5人で行動するようになり、オレンジの会を結成。櫂と沙絵は時にぶつかり合いながら、互いに影響し合い、徐々に変化していく。

手話で会話するシーンが多くありながらも、画面には賑やかな印象がある作品でもある。沙絵の下品な手話を連発するなど口が悪いこともあり、櫂と沙絵の小気味良いやりとりが魅力でもある。そんなやり取りの中には、登場人物それぞれが持つ事情と本心が見え隠れする。

平成中期が舞台ということもあり、令和の現在から見るとガラケーの着信音や劇中曲など懐かしさがあるものの、劇中で描かれる葛藤は普遍的なものだ。就職活動中であり、見えにくい未来に不安を覚える櫂と、急に耳が聞こえなくなったことへの戸惑いと憤りを抱える沙絵がどのようにぶつかり、惹かれあっていくのかが見どころだ。

さまざまな葛藤が交差する青春群像劇

櫂と沙絵の恋愛を主軸に描きつつも、本作は青春群像劇になっている。櫂と沙絵だけでなく、啓太と翔平、茜が人生をどのように切り開いていくのかも丁寧に描かれている。

たとえば、女遊びの激しい遊び人でありながら、腹違いの妹と暮らす優しい兄である翔平は、就職活動自体に違和感を覚え、真剣に将来に向き合うことを恐れていた人物だ。そんな翔平は、5人で過ごし、特に茜からの影響を受けてカメラマンの夢を追い始める。自分の人生を悲観しかけていた翔平が、群像劇の中で大きな変化を遂げるのだ。

それぞれが大学4年生という1年間に何を考えているのか。その考えの根底には、どんな心理があるのか。そして、5人の関係の中でどのように変化していくのか。恋愛青春群像劇の中に「自分は何者なのか」という問いが確かに存在しているのだ。

平成中期とキャンパスライフを懐かしみながらも、大学4年生ならではの人生観を丁寧に描写した名作。ぜひ、オレンジデイズ特有の可愛らしさと切なさ、ユーモアを体感してほしい。


ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。
X(旧Twitter):@k_ar0202