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“朝ドラ初登場”で放った強烈なインパクト「大好き!」「伊達ではなかった」清楚系のイメージを覆す“大胆なキャラ”が話題に

  • 2025.9.16
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『あんぱん』第21週(C)NHK

朝ドラ『あんぱん』第101回から登場した白鳥玉恵は、作品に新たな風を吹き込むキャラクターだった。演じたのは、乃木坂46の久保史緒里。朝ドラ出演は今回が初めてで、放送直後からSNSでは「久保ちゃんのお芝居大好き!」「キャストロールソロは伊達ではなかった」と話題になった。

久保史緒里の演技の魅力:自然体で描く“押しの強さ”

玉恵は、嵩(北村匠海)が作詞した『手のひらを太陽に』を歌う人気歌手。嵩にリサイタルの構成などを次々に頼む積極性を見せ、場を自分のペースに巻き込んでいく。そんな玉恵の“グイグイ感”は、これまで“清楚で優等生”というイメージが強かった久保の姿を、良い意味で裏切るものだった。

玉恵は、ただの歌手としての出演ではなく、物語の軸に深く関わるキャラクターとして描かれる。彼女が歌う『手のひらを太陽に』は、嵩の創作の結晶であり、戦後の子どもたちに夢と希望を与える象徴となる。

一方で、玉恵は嵩に対して遠慮なく「嵩さん」と呼び、次から次へと要求を突きつける。グイグイと自分の希望を叶えていく勢いあふれた姿や、妻・のぶ(今田美桜)の存在に構わず「嵩さん」呼びする様子には、放送当時のSNS上でも話題を呼んでいた。玉恵という人物が、物語に波紋を広げた証でもあるだろう。

久保の演技は、玉恵をただの破天荒な歌手ではなく、どこかチャーミングさも併せ持つキャラクターに仕上げていた。アイドルとして磨いてきた表現力を生かしながらも、単に可愛らしさに寄りかかるのではなく、ときに図々しくすら見える“押し”を自然体で表現。そこには「こんな歌手、実際にいそう」と思わせるリアリティがあった。

これまで久保は、映画『左様なら今晩は』での繊細な演技や、大河ドラマ『どうする家康』の五徳役での気品ある立ち姿など、幅広い役柄を経験してきた。だが玉恵役では、そのどれとも異なる新しい側面を示した。

歌手としての華やかさと、人間的な図太さ。その二面性を軽やかに演じ分けることで、「久保史緒里=清楚な優等生」という固定観念を、あらためて打ち破ったように思える。

他作品との比較に見る成長

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『あんぱん』第21週(C)NHK

久保の女優としての歩みを振り返ると、今回の玉恵役がいかに新境地だったかが見えてくる。

映画『ネムルバカ』では、やりたいことが見つからずに悩む大学生・入巣柚実を演じ、心の奥に潜む焦燥感や不安をリアルにさらけ出した。大河ドラマ『どうする家康』では、五徳として気丈で気品ある妻の姿を体現し、重厚な世界に溶け込んだ。そして『あんぱん』の玉恵は、そのどちらとも異なり、明るさや押し出しの強さで周囲を翻弄するキャラクターを体現している。

つまり、久保は等身大の悩みや歴史劇の重厚さ、そして奔放で押しの強い存在感というまったく異なる役柄を、短期間で演じ分けているのだ。その柔軟さと表現力の幅こそが、彼女が女優として急速に成長している証である。

白鳥玉恵のキャラクターが『あんぱん』にもたらす効果は大きい。嵩に頼み事をする姿は一見わがままに見えるが、それが嵩の創作意欲を刺激し、『手のひらを太陽に』という名曲をさらに広く届けるきっかけになった。

また、玉恵は嵩との距離感をあえて縮めることで、のぶとの関係性を際立たせる役割も担った。のぶと嵩の絆の特別さを示すために、玉恵の“グイグイさ”は効果的に配置されているのだ。

つまり彼女は、物語を一方向に進めるのではなく、多層的に立体化するための潤滑油のような役割を果たしている。

物語を立体化する存在

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『あんぱん』第21週(C)NHK

久保にとって、『あんぱん』は国民的ドラマという大舞台で、女優としての存在をあらためて印象づける場となった。アイドル活動と並行して挑み続けた演技の道が、今回の玉恵役で一層花開いた印象だ。

今後は『ネムルバカ』で見せた等身大の姿や、『あんぱん』で演じた押しの強いキャラクター、その両方を自在に使い分けられる“役柄を泳ぐ女優”として飛躍していくだろう。玉恵役はその可能性を存分に示す役柄であり、久保が“乃木坂のメンバー”から“本格女優”へと進化するための大きな足掛かりとなった。

この役を通して、アイドルの枠を超えた自然体の演技を披露した久保。これまで培ってきた繊細な表現力に加え、力強い個性を前面に出す新しい表情を見せた。白鳥玉恵役は、彼女にとって朝ドラ初出演という挑戦であると同時に、女優としての成長を証明する転機となった。

『あんぱん』のなかで歌われた『手のひらを太陽に』のように、久保史緒里という女優の輝きは、これからもさらなる広がりを見せるに違いない。


連続テレビ小説『あんぱん』毎週月曜〜土曜あさ8時放送
NHKプラスで見逃し配信中

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_