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「水に入らなくても指導できるでしょ?」妊娠中でもプール指導…元小学校教員が語る過酷な教育現場

  • 2025.8.26
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

こんにちは。元小学校教員のみずいろ文具です。

今回は、私が教員時代に「初めての妊娠」を経験したときのことをお話しします。幸せいっぱいのはずの妊娠が、学校現場の過酷さによってどれほど苦しいものになったか。そこから学んだことを、当時の体験とともに振り返ります。

喜びのはずの妊娠、でも学校現場は過酷だった

初めて妊娠が分かったとき、私はとても嬉しくて、幸せな気持ちでいっぱいでした。

当時は5年生の担任。喜びと同時に、体力勝負の毎日を送る学校現場で「これまでと同じく働き続けられるだろうか」という不安もよぎりました。

それでも「子どもたちのために頑張らなくては」と気持ちを奮い立たせ、日々を過ごしていたことを覚えています。

真夏のプールで「陸上から指導して」と言われて

妊娠初期の夏。つわりが始まり、常に船酔いのような気持ち悪さを抱えながらも「授業に穴はあけられない」と欠かさず出勤する日々でした。そんな中、プール学習の時期がやってきました。

体調も安定せず不安だった私は、管理職に「プール学習は控えたい」と相談しました。

すると返ってきたのは「水に入らなくても陸上から指導できるでしょ?」という言葉。

人手不足のため、プール学習の時間に追加の人員を配置するのは難しいようでした。

仕方なく、室温50℃近くにもなるプールサイドで、汗を滝のように流しながら指導に立ち続けました。体は悲鳴をあげていましたが、「妊婦だからといって、迷惑をかけてはいけない」と無理をしてしまったのです。

宿泊学習に参加できず…謝罪まで求められた屈辱

秋になると宿泊学習がありました。お腹も大きくなり、野外活動や力仕事が多い宿泊学習はさすがに参加は難しいと伝えました。

ところが、管理職からは「保護者や子どもたちにどう説明するの?」という言葉。結果的に、私が宿泊行事に参加できないことを謝罪し、代わりに誰が引率するのかを説明する場が参観日に合わせて設けられました。

妊娠をしていることが「悪いこと」のように扱われたあの時間は、今思い出しても胸が苦しくなります。

産休直後に切迫早産、病院のベッドで涙

ふらふらになりながらも、ようやく産休に入ることができました。「産休に入ったらやっとのんびり過ごせる!」と楽しみにしていた矢先、大量の出血。大急ぎでかかりつけを受診すると、赤ちゃんが生まれかかっている“切迫早産”になっているとの診断でした。

休む間もなく、入院生活に。

「私が無理したことで赤ちゃんの命を危険にさらしてしまったかもしれない」

そう感じ、病院のベッドで涙を流したのを覚えています。妊娠中は無理をしてはいけない。母子ともに健康を守るためには、周囲の理解とサポートが不可欠だと痛感しました。

後輩妊婦には絶対に無理をさせないと誓った

この経験を経て、私は後輩の先生が妊娠したときには必ず気を配り、絶対に無理をさせないように努めるようになりました。

あたたかい声をかける、業務を分担する、無理に行事へ出さない…そんな小さな気配りが、妊婦さんにとっては大きな安心につながります。

妊婦さんを守れる社会の仕組みを

人手不足が続く過酷な学校現場では、「妊婦さんを守る制度が存在していても、形だけで運用されない」というケースが少なくありません。

制度があることで「守られているはず」という表向きの安心感はある一方で、現場では「前例がないから」「人が足りないから」といった理由で配慮が後回しにされ、結局妊婦さん自身が無理をせざるを得ない状況に追い込まれてしまうのです。

しかし、やはり妊婦さんは守られるべき存在。妊娠中の業務の軽減は特別扱いではなく、当然守られるべき権利です。「妊婦さんには最大限の配慮を」という共通認識が浸透し、制度が実際に活用される環境を整えることが必要だと感じます。

未来を育む命を守ることは、社会全体で取り組むべき大切な課題です。学校現場に限らず、すべての妊婦さんが安心して出産に臨めるよう、制度が“絵に描いた餅”にならない社会であってほしいと願っています。



ライター:みずいろ文具
関東の公立小学校で15年間、子どもたちと向き合ってきました。教室での日々を通して感じた喜びや戸惑い、子どもたちから教わったことを、今は言葉にしています。教育現場のリアルや、子どもたちの小さな成長の瞬間を、やさしい視点でお届けします。