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35年前、日本中が手拍子を鳴らした“未来の青春ソング” 長すぎタイトルが頭に残る“爽快なときめきのアンセム”

  • 2025.9.12

「35年前、どんな青春で汗を流していた?」

1990年。街にはまだバブルの余韻が漂い、夜のネオンはまぶしく瞬いていたが、その光の下で日々を生きる若者たちの姿はずっと素朴で、まっすぐだった。

放課後の体育館や校庭には、バスケットボールの弾む音や仲間の笑い声が響き渡り、未来を夢見る鼓動と重なっていた。そんな光景は、誰もが心のどこかに持っている青春のワンシーンだろう。まさにその空気を切り取り、スポーツの躍動感と恋のときめきを重ね合わせて描いたのが、岡村靖幸が世に送り出した一曲だった。

岡村靖幸『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』(作詞・作曲:岡村靖幸)——1990年10月10日発売

記憶に残る“長すぎるタイトル”の力

このシングルは、岡村靖幸にとって13枚目の作品。まず目を引くのは、そのユニークなほどに長いタイトルだ。

まるで友人との会話の一部をそのまま切り取ったような言葉の並びは、初めて見た瞬間から印象に残り、ふと口に出してみたくなる。長さゆえのユーモアと、そこに宿る無邪気さは、岡村が当時から放ち続けていた“等身大の青春”の象徴でもある。

響くリズムと“手拍子”の歓喜

イントロで鳴り出すアコースティックギターのカッティング。その軽快で弾むようなリズムは、まるで体育館の床に跳ね返るバスケットボールの音を思わせ、聴く者の心を一気に青春の時間へと引き戻す。

ライブで岡村ちゃんがギターを爪弾くと、客席のファン=ベイベたちは自然と「タタンタン」と手拍子を重ね、会場全体がひとつのチームのように呼吸を合わせる。

さらにサビの終わりに挿入される「らーらーらーらーらー」。その瞬間、観客の大合唱が沸き起こり、ステージとフロアの垣根は完全に消える。時を経ても変わらないこの光景は、ライブを支える定番曲ならではの力を物語っている。

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2025年、「MUSIC AWARD JAPAN2025」レッドカーペットに登場した岡村靖幸 (C)SANKEI

青春を包み込むサウンドと物語

本作のサウンドは、岡村靖幸特有のファンクやソウルの要素をベースにしながら、軽やかでキャッチーなポップスへと昇華されている。リズムやメロディは、ストーリー性を帯びた歌詞に寄り添い、互いを引き立て合うように展開する。

バッシュー(バスケットシューズ)、ダンキン(ダンク)といった独特のフレーズが散りばめられ、バスケットボールという具体的で鮮烈なモチーフを描きながらも、その奥に込められた思いは誰にでも届く普遍的なメッセージへと広がり。

寂しくて悲しくてつらいことばかりならば、あきらめてかまわないと歌い、「大事なことはそんなんじゃない」と力強く最後のサビへとつながっていく。

青春のすべてを懸けるように放たれる言葉が胸を刺す。お別れの時間まであと15分――ロングシュートに込めた思いが、ただの部活の風景を超えて、人生の岐路で誰もが抱いたことのある願いとして響いてくるのだ。

時代を超えて鳴り響くライブの定番

『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』が愛され続ける理由は、単なる青春ソングにとどまらず、岡村靖幸のライブを彩る欠かせないアンセムとして機能していることだ。世代を超えて集まったベイベたちが声を合わせ、体を揺らすその光景は、音楽が時を超えて共有される力を実感させる。

さらに岡村自身が今なおステージでギターを弾きながらこの曲を歌い続けていることも大きい。リリース当時の空気をまといながら、年月を経た今もなお新鮮に響くパフォーマンスは、“青春の一瞬が永遠になる”という事実を証明している。時おりみせる笑顔は、まさに、「ロングシュートを決めた男子」のごとく爽やかで、美しい。

ロングシュートの余韻が刻む未来

1990年のリリースから35年。『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』は、青春のきらめきと胸の高鳴りを閉じ込め、今なお色褪せることなく輝き続けている。ライブで響く手拍子と大合唱は、あの日の放課後をそのまま再現するかのようだ。

ロングシュートに込めた青春の1ページ。岡村ちゃんが描いたその感覚は、誰の中にもある“青春の普遍的なエネルギー”であり、未来へと受け継がれていく。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。