「リリースから３０年！？」日本中に未来を告げた“新人離れのハイトーン歌姫”　ロングセールスを記録した衝撃デビュー曲

「30年前、テレビから流れた“ハイトーン”を覚えている？」

1995年の秋、日本の街はカラオケブームと深夜バラエティの熱気に包まれていた。渋谷のスクランブル交差点には、厚底ブーツにミニスカートを合わせた若者たちが行き交い、やがて社会現象となるルーズソックスも、すでに一部の女子高生の足もとで存在感を放ち始めていた。

CDショップの棚には最新のJ-POPがずらりと並び、夜のカラオケボックスでは、その日リリースされたばかりのヒット曲を誰もが声を張り上げて歌っていた。そんな熱気あふれる空気の中で、ひときわ鮮烈に登場したアーティストがいた。

華原朋美『keep yourself alive』（作詞・作曲：小室哲哉）——1995年9月8日発売

小室哲哉が立ち上げた新レーベル「ORUMOK RECORDS」の第1弾シングルであり、華原朋美にとってのデビューシングルとなった。

時代を震わせたプロデューサーのまなざし

1990年代半ば、小室哲哉はすでに日本の音楽シーンを席巻していた。trfのダンスナンバー、篠原涼子のヒット曲、さらにはglobe始動など、彼のプロデュースは次々と社会現象を巻き起こしていた。

そんな小室が新たに立ち上げたのが「ORUMOK RECORDS」。自身の名前を逆さに綴ったこのレーベルには、kabaちゃんがメンバーだったdosなども所属した。そこから生まれた最初の一歩が『keep yourself alive』だったのだ。

突き抜けるハイトーンが告げた未来

『keep yourself alive』の最大の魅力は、華原朋美の透明感にあふれた歌声にある。小室が描いた力強いメロディに、彼女の高音を突き抜けるように伸びやかに響かせる声が重なり、聴く人の耳を一瞬で奪った。

サビで放たれる透明感あふれる高音は、デビューしたばかりの新人とは思えないほどの存在感を放ち、まさに「未来を予感させる声」として人々の記憶に刻まれた。

この曲は日本オラクルのCMソングとしても起用される。彼女の歌声はまさに“新しい時代の響き”として受け止められたのである。

その後につながる“物語の序章”

ランキングでは上位に食い込み、翌年までチャートに残り続け、最終的に37万枚を超える売上を達成した。

ミリオンセラーが次々と生まれていた90年代半ばにおいて、この数字は決して突出したものではなかったが、息の長いセールスを記録したこと自体が“聴き手の心をつかみ続けた証”だっただろう。

続く『I BELIEVE』『I’m proud』が立て続けに大ヒットを記録し、華原朋美は小室ファミリーの象徴的存在へと躍り出る。まだ無名の女性が小室哲哉に見出され、一気にスターダムへと駆け上がっていく――そのドラマティックな物語は、『keep yourself alive』から確かに始まったのである。

実験場に刻まれた、もうひとつの小室伝説

「ORUMOK RECORDS」は、結果的に短命で終わったものの、そのラインナップには小室哲哉の多面的な志向が色濃く刻まれていた。TLCを意識したスタイルで話題を集めたdos、レゲエやヒップホップを融合させたH.A.N.D.といった異色のグループが揃い、ジャンルの枠を軽々と越えていたのだ。

そうした中で、華原朋美は“シンガーとしての歌唱力”を真正面から打ち出す存在として投入された。伸びやかな高音とまっすぐな表現力で勝負する彼女の登場は、ORUMOKの多彩な試みの中でもひときわ異彩を放っていた。

小室がこのレーベルを通じて目指していたのは、単なる商業的成功だけではなく、“次世代のJ-POP”を切り拓くための実験場を築くことだった。そして、その“第一声”として華原の『keep yourself alive』が世に出たことは、後の90年代を象徴する物語の始まりでもあった。

今なお甦る、衝撃のデビューの余韻

あの秋の街を思い返すと、ネオンサインがまたたく夜の渋谷から、この曲のイントロがふいに流れてくるような錯覚に陥る。30年の時を経ても、『keep yourself alive』の響きは、当時の期待と衝撃をそのままの形で呼び覚ましてくれる。

それは単なるデビュー曲ではなく、90年代J-POPの幅をさらに広げた“衝撃の第一声”だった。

現に、30周年を迎えた9月8日、SNSでは「妙に頭に残る曲」「えええ、リリースから30年！？マジで！？ 」「今でも未来の雰囲気を感じる」「朋ちゃんの可愛らしさは衝撃的でございました」など当時の衝撃の声が飛び交っていた。

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※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

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