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35年前、日本中を釘付けにした“奇妙な童謡ポップ” 常識を裏切った“異端な寓話的ソング”

  • 2025.9.9

「35年前、テレビから流れてきたあの不思議な音楽を覚えてる?」

1990年の秋。まだ街にはバブルの余韻が漂い、ネオン街はきらびやかに輝いていた。しかしその一方で、社会には不透明な空気が忍び寄り、人々の心には漠然とした不安が広がっていた。そんな移ろいの季節に、既存の枠組みを軽やかに飛び越えるような曲が放たれる。

たま『オゾンのダンス』(作詞・作曲:柳原幼一郎)——1990年9月21日発売

同年7月にリリースされたアルバム『さんだる』に収録され、シングルカットされたこの楽曲は、メジャーデビュー前から存在していた“古参ナンバー”。彼らをデビューへと導いた人気番組の1コーナー『イカすバンド天国』でも披露されていたファン必携の一曲だ。

“たまワールド”全開の寓話的な世界観

たまは柳原幼一郎、知久寿焼、石川浩司、滝本晃司の4人組。アコースティック楽器を主体に、童謡のような素朴さと前衛音楽的な実験性を同居させたユニークなバンドだ。『オゾンのダンス』は、そんな彼らの持ち味が凝縮された作品である。

歌詞には「オゾンの子供が火を吹いた」「りんごの木の下でずっとまわってた」など、意味よりもイメージが先行するフレーズが並ぶ。

現実と夢の狭間を行き来するようなテキストは、聴く者に「わからないけど忘れられない」感覚を残す。これこそが独特の世界観“たまワールド”を決定づけた要素だった。サウンドもポップスの要素を保ちながら、徹底的に常識をずらした絶妙なバランス感覚が光っている。

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1990年、第32回日本レコード大賞に登場した「たま」の柳原陽一郎 (C)SANKEI

異端が受け入れられた1990年の空気

当時の音楽シーンは、アイドルからロック、ニューミュージックまで多彩なヒットが並んでいた。そこに現れたたまは、どこにも属さない存在感を放った。

派手なビジュアルや圧倒的な歌唱力で勝負するのではなく、“奇妙さそのものを魅力に変える”というアプローチは極めてユニークだった。バブルのきらびやかさに陰りが見え始めた時代背景とも相まって、その脱力したスタイルが若者の感覚と共鳴したのだろう。

“オゾンの余韻”が残したもの

『オゾンのダンス』は、セールス的には『さよなら人類』のような大ヒットではなかった。だが、この曲が持つ寓話的な詞世界と、奇妙にして親しみやすい旋律は、たまというバンドの核を象徴するものだった。

今聴き返しても、その不思議な浮遊感は色褪せない。まるで月明かりの下で子供たちがぐるぐる回るダンスを見ているかのように、夢とも現実ともつかないイメージが頭に浮かぶ。

時代を超えてもなお、聴く者に特別な余韻を残し続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。


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