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35年前、日本中を揺らした“一度きりの幻ユニット” 豪華メンバーが奏でた“はじまりのラストシングル”

  • 2025.9.8

「35年前にデビューした、1枚限りの伝説のユニットを知ってる?」

1990年9月、街にはまだバブルの余熱が漂っていた。街角の大型ビジョンからはアイドルやポップスのヒット曲が絶えず流れ、音楽番組は視聴率の柱。だがその華やかさの陰で、音楽シーンは確実に次の時代へ動き出していた。

そんな中、突如として現れた女性二人組ユニットがいた。

SHORT HAIRS『トランジスタ・グラマー』(作詞:NOKKO・作曲:NOKKO、もとこ)——1990年9月1日発売

彼女たちが唯一残したシングルで、情報番組『EVE』(テレビ朝日系)のオープニングテーマとしてテレビからも流れた。

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2000年、ニッポン放送の公開生放送で熱唱するNOKKO (C)SANKEI

“偶然”が生んだふたりの化学反応

SHORT HAIRSは、レベッカのボーカリストとして一世を風靡していたNOKKOと、元NORMA JEANのギタリストであり、NOKKOのヘアメイクを担当していたMOTOKO(水谷幹子)による二人組ユニット。

『トランジスタ・グラマー』がリリースされたのは、レベッカが1990年1月の日本武道館のライブ後、翌年の正式解散までの空白の期間。NOKKOにとってはソロデビュー前夜にあたるタイミングであり、新しい創作への試みが詰め込まれた「実験的な場」でもあった。ふたりの出会いは偶然のようでありながら、まるで必然だったかのようにひとつの作品へと結実した。

ちなみにMOTOKOはNORMA JEANがインディーズ時代、「イカ天」に出演した頃のメンバーで、メジャーデビュー前に脱退している。

豪華演奏陣が描いた“一夜の夢”

『トランジスタ・グラマー』のサウンドを支えたのは、音楽通なら知っている豪華なミュージシャンたちだった。

レベッカでマニピュレーターを務めた大山曜、BO GUMBOSのどんと、ZELDAの小嶋さちほといったメンバーが参加し、スペシャルサンクスにはかまやつひろしの名前まで刻まれていた。これだけで当時のロックファンの心を大きく揺さぶったのは想像に難くない。

彼らの紡ぐアンサンブルは、スタジオワークの完成度を越えて、ライブ感そのものを真空パックしたかのよう。NOKKOのシャープで鋭い歌声と、MOTOKOのギターが交差する瞬間には、ユニットの刹那的な熱が宿っている。

突き抜けるビートと“直線の衝撃”

楽曲はイントロから全力で駆け抜けるようなスピード感に満ちている。タイトルの「トランジスタ」が象徴するように、きらびやかで人工的な響きがありながらも、その裏には泥臭く生々しいロックの力強さが同居していた。

派手に装飾するのではなく、シンプルなコード進行と鋭いビートを繰り返すことで、聴いた瞬間に身体を突き動かす直線的な力を持った一曲に仕上がっていた。

たった一枚に刻まれた“永遠の記憶”

SHORT HAIRSの活動は、このシングル1枚のリリースのみで幕を閉じた。アルバムもなければ本格的なツアーもなく、残されたのはただ一つの音源のみ。だが、逆にその短命さが伝説性を強めている。

豪華な参加メンバーに支えられ、完成度の高い楽曲を生み出しながらも、続編は存在しない。リスナーの記憶には「もっと聴きたかったのに」という渇望が残り、その思いが作品を特別なものにしていった。

色褪せない“刹那の輝き”

1990年という時代を切り取った『トランジスタ・グラマー』は、決して大ヒットシングルではなかった。それでも、音の鋭さや疾走感、そして一度限りのユニットが持つ刹那的な輝きは、今もまったく色褪せない。

シンプルなロックの強度は、デジタル化が進んだ現代の耳で聴いてもむしろ新鮮に響き、当時以上に研ぎ澄まされた印象を与える。短命ゆえに残された余白こそが、リスナーの記憶を呼び覚まし続ける力になっているのだ。

一度きりのユニット、たった一枚のシングル。それでもここに刻まれた熱量は、セールスやチャート以上の意味を持ち続けている。

『トランジスタ・グラマー』は、NOKKOがソロへと踏み出す前に残した“疾走の軌跡”であり、豪華な仲間たちと共に鳴らしたロックの記録だった。

刹那に咲き、そして消えたからこそ、今もなお「伝説のワンショット」として語り継がれている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。


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