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築15年タワマンに忍び寄る「売却価格ダダ下がり」1級建築士が見た“まさかの落とし穴”

  • 2025.8.18
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※ChatGPTにて作成(イメージ)

タワーマンションは、都市の利便性と快適な住環境を兼ね備えた住まいとして人気があります。

しかし、その華やかなイメージの裏側では「長期的な維持管理が難しい」という現実が、少しずつ見えてきているようです。とくに近年目立ってきたのが、修繕費の上昇と管理組合の機能不全という二つの課題です。

修繕積立金は“想定以上”に足りなくなる

タワーマンションは、構造や設備の面で中低層のマンションとは比べものにならないほどのスケールと複雑さがあります。

機械式駐車場や高層用エレベーター、大型の空調設備など、維持管理にコストがかかる共用部分も少なくありません。

近年は建築資材の価格上昇や人件費の高騰も重なり、当初想定していた修繕積立金では将来の大規模修繕に対応しきれない可能性が高まっています。

その結果、じわじわと「修繕費の不足」が積み上がっていくリスクもあるでしょう。

負担感が高まるなかで、“無関心層”の拡大

修繕積立金の増額は、居住者にとって家計への直接的な負担になります。分譲当初は販売促進のため低額に設定されているケースも多く、あとから大幅な引き上げを求められると反発の声が上がりやすいのです。

こうした中で目立ってくるのが「無関心層」の存在です。

  • 「いつ引っ越すかわからないので負担はしたくない」
  • 「管理会社がやることでしょ?」
  • 「専門家が必要なら外注すればいい」

こうした声が増えると、総会の出席率が下がり、重要な修繕計画や管理体制の見直しが進みにくくなります。

実際に、築15年以上のマンションでは理事のなり手が見つからない、総会が成立しないといったことも起きています。

複雑化・高度化する管理内容に住民がついていけない

タワーマンションの管理は、単なる清掃や小修繕だけにとどまりません。

長期修繕計画の策定や見直し、エレベーターや防災設備の定期更新、機械式駐車場の維持と費用管理、大規模修繕に向けた施工会社の選定や監理、管理規約の改定など多岐にわたります。

管理会社がサポートしてくれるとはいえ、最終的な意思決定は住民(区分所有者)に委ねられています。

住民に判断力や主体性がなければ、提案を十分に検討することができず、業者任せになってしまうこともあるかもしれません。

住民数の多さが合意形成の壁に

また、タワーマンションは住民数が多いため、意見の調整に時間がかかりやすい特徴があります。

住戸数300戸以上のマンションでは総会の成立に時間がかかり、居住者のライフスタイルや関心の差も大きく、足並みがそろいにくいことも少なくありません。

投資目的の“非居住オーナー”が多い場合は、管理への関与が限定的になることもあります。

このような状況では、修繕工事や設備更新といった迅速な判断が求められる場面で意思決定が遅れ、結果としてコストが膨らんだり、不具合が深刻化してしまうリスクも考えられます。

“資産価値”を守るために必要な視点とは

タワーマンションは、華やかな設備や景観が注目されやすいものです。ただ、長期的に住み続けたり貸し続けたりする視点に立つと、本当に大切なのは「管理体制の安定性」といえるでしょう。建物や設備は時間とともに必ず老朽化しますから、避けられない課題でもあります。

築15年・20年を超えたマンションで修繕が滞れば、賃料や売却価格の下落といった経済的な影響が出やすくなります。外観や共用部が劣化すれば、居住満足度が下がり、空室リスクにもつながります。さらに管理費が不足すれば、維持そのものが難しくなることもあるでしょう。

こうした事態を防ぐには、居住者一人ひとりが「自分ごと」として管理に関心を持ち、主体的に関わる姿勢が欠かせません。関心を持たずに過ごしていると、避けられたはずのトラブルに巻き込まれてしまうのは、最終的に自分たち住民自身です。

未来の“廃墟化”を避けるために

タワーマンションは、しっかりと管理体制が維持されていれば、長期にわたり快適に暮らせる住まいになり得ます。

ただその裏側には、見えにくい「管理の重さ」と、住民が背負う負担や疲れがあることも忘れてはいけません。

「買ったら終わり」ではなく、「住み続けるための管理」も資産の一部。

未来の価値を守るために、住民が少しずつでも主体的に関わっていくことが大切になっていくのではないでしょうか。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。