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点滴を抜いてしまう70代患者さんへの深夜の処置に…家族が激怒!「私の職業は…」看護師が語る家族対応の難しさ

  • 2025.8.29
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

皆さんこんにちは!看護師兼webライターのsaoriです。

人と話している時に「医者です」「弁護士です」「警察官です」と言われると、とっさに話すことを怯んでしまう…なんて経験をしたことはありませんか?

今回お話しするのはそんな職業にまつわるお話です。

ICUから病棟に来た術後の患者さん

ある日、ICUから病棟に転棟してきたAさんという70代女性の患者さんがいました。

その患者さんは心臓の手術を受けられ、術後1週間が経とうとしていました。

少しずつ状態は良くなっているものの、まだまだ点滴や酸素は必要で、術後ということもあり時折夜間せん妄(夕方から夜間にかけて起こりやすい、意識が混乱する状態)が出るといったような状態でした。

手術をする際、医者はご家族と本人に病状説明をしますが、事前にさまざまな同意書にサインをもらいます。

手術の同意書、輸血の同意書、暴れた時や点滴などを抜くリスクがある時に抑制をする同意書など、Aさんもご家族同意のもとですべての同意書にサインをいただき、同意を得ていました。

夜間せん妄が出現。転倒リスクを防ぐために…

Aさんは日勤帯で病棟にあがってきたのですが、夜間1時頃に夜間せん妄が出現しました。

内容としては動ける範囲がベッドの上と決められているのにベッドから降りようとしたり、点滴を自分で抜いたりなど。

「Aさん、動ける範囲がベッドだけなので降りたらダメですよ」「この点滴はAさんにとって大事なものを投与しているので抜いたらダメですよ」と説明しても、なかなか理解が得られず同じことを何回も繰り返すといったような状態でした。

同じ夜勤スタッフで、「このままでは転倒するリスクがある。抑制同意書も頂いているし、抑制させてもらおう。ご家族への報告は今はもう夜間帯だし、朝にしよう」と話し合い、Aさんに抑制して対応することにしました。

翌朝、息子さんに説明をすると

そして朝になり、Aさんの50代の息子さんに電話をし、夜間せん妄が出たこと、転倒などの危険があるため抑制して対応したことを説明しました。

すると、息子さんからは「手術に対しての抑制だから同意した。普通は抑制する前に電話で家族に相談しますよね?」と返答が。

それに対し「事前に抑制同意書にサインを頂いており、その同意書にも手術だけでなく暴れた時や制御が効かない時には抑制して対応しますと記載しています。午前1時と夜間だったので電話は控えさせてもらいました、こちらの判断で抑制しています」と返答しました。

「私、現役の警察官です。今日休みなので今からそちらへ行きます。そこで話してください」と息子さん。

「いえ、電話で説明した通りなのでこちらに来てもらっても同じことを話すだけです。来院しなくても大丈夫です」とこちらから再度説明。

電話で「なんで電話する前に抑制したのか」「今から病院に行くので説明してほしい」と同じようなことを何回も言われましたが、こちらとしても対応を変えることなく一貫した態度で同じことを説明し続けました。

最終的には「わかりました。でも次からは何時でもいいので電話ください」と渋々ではあるものの、納得された様子でした。

一貫した態度で堂々とすることが大切

今回は「警察官」という職業を出してきた一例でしたが、職業が分かった瞬間に態度を変えてしまうわけにはいきません。

「自分はこういった考えでこうした」というしっかりとした思考を持って、対応することが大事だと感じた出来事でした。



ライター:saori
2011年に正看護師を取得し、急性期病院と施設内訪問看護を経験。現在は子どもに関わる仕事に従事中。看護師×webライターとして活動している。「言葉で人を救いたい!」と心に響くような発信を意識している。3人の子どもを育てながら働くパワフルママ。