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「彼を知った貴重な作品」「原点」 大河や大作映画で脚光を浴びる俳優が一気に注目された“6年前の出世作” 【火曜ドラマ】

  • 2025.8.29

深田恭子が主演、永山絢斗、横浜流星、中村倫也が共演した2019年1月期のTBS系火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(通称・はじこい)。現在、放送中の『初恋DOGs』、2023年7月期放送の『18/40〜ふたりなら夢も恋も〜』、2016年1月期放送の『ダメな私に恋してください』と、縁の深いTBS火曜ドラマ枠で深田が主演した本作は、彼女をはじめ、俳優陣の魅力がふんだんに詰まった人気作に。今回は、そんな“はじこい”の魅力をひもとく。

深田恭子が“残念なしくじり鈍感女子”に 男前な一面もある主人公が愛らしい!

本作で深田が演じたのは、契約社員の塾講師・春見順子。東大合格を目指しひたすら努力してきたが、受験に失敗してしまい、以後、就職活動、婚活も上手くいかず…本当の恋も知らずにアラサーとなってしまった女子だ。そんな順子は、受験失敗を機に母・しのぶ(檀ふみ)との確執が生まれ、順子はぎこちない笑顔を浮かべるように。ことあるたびに自分の現状を嘆く順子に、幼なじみ・美和(安達祐実)が時に喝を入れ、順子を応援していた。

そんな彼女は、ある日、おバカ高校といわれる南高校に通う高校生と遭遇。その中の一人、ピンク髪の不良高校生・由利匡平(横浜流星)と順子が務める塾で再会。匡平を塾に入れようとした父・菖次郎(鶴見辰吾)に匡平が酷いように言われる様子を目撃し、順子は「逃げなさい。こんな人のことをゴミだとかいうやつの言うことなんて聞かなくていい」と匡平に助言し、菖次郎に反抗。匡平は自分を守ってくれ、さらにピンク髪もほめてくれた順子が気になり、「俺を東大に入れてくんない?」とお願い。物語は、2人の東大合格への道を軸に描かれる。

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横浜流星 (C)SANKEI

真摯に教え子・匡平と向き合いながら、匡平の学力を伸ばそうとする順子の姿が感動的。第2話では、順子が南校で自分のしくじり人生をもとに、生徒たちに対し話をする。大事な人を守るために、これから迎えたい将来のために「想像してみて」と生徒たちにうながし、そうするための勉強や知識が自身の助けになることを説いた。

人生何もかも中途半端ではあるが、そんな自分をきちんと俯瞰して見ているのも順子の特徴。そして、自分に正直に生き、迷いなく人を助けようとする姿がカッコよく、順子の姿に惹かれる男性たちも…。しかし、恋愛は超鈍感な順子。彼女が“恋のフラグ”に対して無自覚であることが、物語を予想だにしない展開へと導いていくのだった。

今や、大河ドラマや多くの映画で大活躍の横浜流星。ピンク髪のイケメン高校生役は、大きな話題となり、横浜流星のかっこよさや演技力の高さがたくさんの人に知られた貴重な作品だ。横浜のファンからは、「ユリユリを演じた横浜流星さん。彼を知った貴重な作品 」「あれから時を経て大河の役者やあの映画の大役にふさわしい役者になっているのホンマ凄い」「私にとって原点だから、あの衝撃」とSNSで語られている。

順子をめぐる“恋のライバル”匡平&雅志&山下の片思いが切ない!

順子はまったく気付かないが、その周りでは、彼女をめぐる恋のバトルがバチバチ。

東大合格を目指すことにした匡平は、順子を本気で好きになっていた。順子にとって匡平は恋愛対象ではなく、年齢の壁が立ちはだかり、匡平が傷つく場面も…。それでも順子を思い、18歳の誕生日(2月3日)までは、自分にブレーキをかけて、勉強に勤しんだ。そんな匡平を、繊細な演技で演じた横浜流星。最強ピンクの髪色もあって、本作は彼の代表作の一つとして視聴者の目に焼きついている。そして、何より順子を想い東大合格を目指して必死に勉強する姿も視聴者の感動を呼んだ。

順子の従兄弟で東大出身の八雲雅志(永山絢斗)は、ずっと順子に好意を抱きながら、それを伝えることができず片思いをこじらせていたが、本気の告白も超鈍感な順子には響かず…。順子の言葉や行動に一喜一憂する雅志を永山がチャーミングに演じた。

一方、匡平の高校の担任教師で順子の高校時代の同級生だった山下一真(中村倫也)は、高校時代に勉強を教えてくれた順子に好意を伝えた人物。最初、順子は山下を意識するも、既婚者だとわかり、順子にとって良き相談相手に。そんな山下も自身のプライベートの変化を経て、順子を再び意識するように。順子の鈍感さも超えてくる“大人”でストレートな山下を中村がクールに、時に熱く演じた。

順子と時間を多く共にする匡平、順子を小さい頃から知る雅志、恋に関してはうわてな山下…。順子を思う3人のそれぞれの想いがぶつかりあう様子もハラハラせずにはいられない。そんな3人の片思いに寄り添う、back numberによる主題歌の「HAPPY BIRTHDAY」が切なく胸を締めつける。

放送後、「続編、SPでもいいので見てみたい」「自分の中での名作ドラマNo.1」「何度見ても色褪せないいいドラマ」と話題を呼んだ本作。順子のまっすぐさに心を打たれ、鈍感さにクスッとさせられつつ、彼女の真剣で“大人”な言葉が心に響く。そして片思い3人の一途な思いが尊く、改めて見てもキュンキュンさせられるはずだ。


ライター:小松加奈
ライター/編集者。音楽・映画・ドラマ・アニメなどのエンタメ系を中心にインタビュー/レビュー/コラム記事などを手掛ける。