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「このドラマを超えるドラマはない」「すべてどハマり」4年経った今でも語り継がれる“多くの受賞歴”がある名作

  • 2025.8.27

松たか子が主演した2021年4月期放送のカンテレ・フジテレビ系、坂元裕二脚本ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』は、これまでに三度結婚し、三度離婚している大豆田とわ子(松)が主人公。彼女の三人の元夫を松田龍平、角田晃広(東京03)、岡田将生が演じている。彼らが織りなすロマンティックコメディーである本作は、「第76回文化庁芸術祭 テレビ・ドラマ部門 優秀賞」「2021年日本民間放送連盟賞 番組部門〔テレビドラマ番組〕 優秀賞」「第59回ギャラクシー賞 テレビ部門 優秀賞」「東京ドラマアウォード2021 優秀賞、脚本賞、主題歌賞」など数々の賞を受賞するなど高い評価を受けた。4年経った今でも、愛され、語り継がれる作品となった本作の魅力に迫る。

とわ子、三人の元夫ら…人間味あふれるキャラクターたちが魅力

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松たか子(C)SANKEI

大豆田とわ子は、建築会社“しろくまハウジング”の社長に就任し、中学生の娘と暮らしている。そんなとわ子の日常の悲喜を中心に、彼女を取り巻く人々の物語が描かれる本作。毎話、ダイジェストでとわ子の身に起こった出来事と正直な心の声が伊藤沙莉のナレーションで語られる。「なぜそうなったのか?」と思わず目を見張る驚きの描写から、クスっとさせられる残念な一コマまでが盛りだくさんだ。話が進むと、その描写の真相が紐解かれ、感情を揺さぶられる。

ある日、とわ子が亡くなった母のパソコンを開こうとするとパスワードが設定されていた。パスワードは別れた夫の誰かが設定したと思い、最初の夫・田中八作(松田)、2番目の夫・佐藤鹿太郎(角田)、3番目の夫・しんしんこと中村慎森(岡田)に接触することに。そこから、三人の元夫たちは、たびたびとわ子の家に来るようになり…。

口を開けば屁理屈ばかりの慎森に対し、器の小ささがネックの鹿太郎は、ライバル心むき出しながらもなぜかいつも一緒にいるように。面倒くさい彼らの言い合いが面白く、そんな2人の会話がとわ子の耳に鳥のさえずりのように聞こえている演出も笑いを誘った。

慎森と鹿太郎は、八作のレストランに行くようになり、三人の元夫がことあるたびに顔を合わせる。何かと巻き込まれがちな八作だが、彼はモテすぎるのが悩みだ。八作をはじめ、慎森や鹿太郎の新たな恋の気配が描かれていて、視聴者を惹きつけた。そんな八作には秘めた思いがあり……あまりにも切ない展開に胸が締め付けられた。

とわ子と八作の娘・唄を演じたのは、日本テレビ系ドラマ『なんで私が神説教』(2025年)で生徒・内藤彩華役を演じた豊嶋花だ。クールでマイペース、元夫たちにも寛容な唄に母のとわ子も振り回されがち。だが、強がりなとわ子の見てきたからこその娘の気遣いにほっこりさせられる。

とわ子の親友・かごめ(市川実日子)は、恋愛に興味がない自由人。とわ子と何かと喧嘩をしがちだが、愛くるしい一面もあり、不思議な魅力で、視聴者の心をつかんだ。彼らが繰り広げる会話劇が終始心地よく、それが故に飲み込まれるように物語に没頭させられるのも魅力のひとつだ。回を追うごとに、個性豊かなキャラクターの愛おしさが光っていた。

悩みがつきないとわ子のリアルな姿に惹きつけられる!

社長に就任し、大小さまざまな悩みがつきないとわ子。時に降りかかる不幸に押しつぶされそうになりながら、それでも生きていかなければいけない毎日を彼女らしく生きている姿が、人間くさくて美しい。ただ流れに身を任せるのではなく、時に拒否したり、誰かに寄りかかりながら、日々をやりくりしている様子が、ナチュラルかつリアルだった。

彼女の人生の先には、四人目の夫になりそうな新たな恋や、亡き母の秘密など……予想だにしない展開も。そして、三人の元夫との関係はどうなっていくのか? とわ子らしい物語の着地も、心地よい余韻を味わわせてくれた。

放送後、「ストーリー、キャスト、音楽、セット、すべてどハマりでした」「素晴らしいドラマでした」と多くの反響が寄せられた。さらに、放送終了から4年経った今でも、「このドラマを超えるドラマはない好き大好き」「言語化出来なくなるぐらいに素敵なところが沢山あります」「これぞ名作」といった声が聞こえてくる。

観る人それぞれで心に刺さる言葉も変わってくるようなセリフも数多く盛り込まれ、誰が見ても、何度観ても新たな発見がある、そんな味わい深い作品だ。


ライター:小松加奈
ライター/編集者。音楽・映画・ドラマ・アニメなどのエンタメ系を中心にインタビュー/レビュー/コラム記事などを手掛ける。