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「失礼すぎる」「過激…」テレビ局に抗議勃発→“前代未聞の緊急対応”に騒然…だけど“伝説の清純派アイドル”に称賛殺到の異色ドラマ

  • 2025.9.2

ドラマの中には、予期せぬトラブルに見舞われながらも、それを力に変えて“名作”となった作品があります。今回は、そんな中から"トラブルを乗り越えた作品 Part2"を5本セレクトしました。本記事ではその第5弾として、ドラマ『サヨナラ、えなりくん』(テレビ朝日系)をご紹介します。『サヨナラ、きりたんぽ』というタイトルが思わぬ波紋を呼び、放送前に“えなりくん”へ改題。作品をめぐる混乱と、その先にあった意外な反響とは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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競馬札幌 丹頂ステークス プレゼンターの渡辺麻友(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『サヨナラ、えなりくん』(テレビ朝日系)
  • 放送期間:2017年4月30日~7月2日
  • 出演: 渡辺麻友(桐山さおり 役)

主人公の桐山さおり(渡辺麻友)は、25歳になっても「純愛がしたい」と理想の相手を探し続けています。婚活に励むものの、出会うのは浮気をする男や母親に依存したマザコン男、財布のひもが固いドケチ男など、裏の顔を隠し持った男性ばかり。彼らに裏切られたり、ひどい仕打ちを受けるたびに、さおりの表情は一変し、特殊な力を発揮するのでした――。

清純派アイドルが挑んだ「深夜の純愛コメディ」

ドラマ『サヨナラ、えなりくん』は、秋元康さんが企画・原作を手がけたオリジナルドラマです。

主演を務めたのは元AKB48の“神7”の一人、渡辺麻友さん(2020年5月31日引退)。かつての“清純派”アイドルのイメージを覆すような体当たりの演技で、新境地を開きました。

物語は“純愛”を求めて婚活に励むヒロインが、裏切られた瞬間に特殊な能力を発動してしまうという、常識破りの純愛コメディ。

相手役のえなりかずきさんは、本人を思わせる“えなりくん”役として登場しています。今回、タイトルにもなっているえなりさんは、物語のカギを握る重要人物。誰もが“いい人”という印象を抱く好青年のえなりさんが、これまでにない“悪キャラ”を演じました。本人でありながら真逆の“えなりくん”をどう表現していくのかにも注目が集まりました。

深夜帯のドラマながら、SNSでは「クセがすごい!」「中毒性が高くておもしろい」と話題になった作品です。

想定外の抗議に異例の対応

ドラマ『サヨナラ、えなりくん』は、もともと「サヨナラ、きりたんぽ」というタイトルで発表されていました。

ところがそのネーミングが、秋田県の名物料理“きりたんぽ”とは無関係に、“切り”と男性器を連想させる“たんぽ”を組み合わせたものではないかとされ、秋田県から抗議が寄せられました。

さらに物議を醸したのは、ドラマの主人公が浮気男たちに制裁を加えるという過激な設定。制作発表の段階では、渡辺麻友さん演じる桐山さおりが裏切った男たちの局部を切断するというショッキングな説明がなされており、昭和初期に実際に起きた“阿部定事件”にも言及されていました。

これに対し、秋田県庁やきりたんぽの本場・大館市や鹿角市などには苦情が相次ぎ、県の観光戦略課がテレビ朝日に対して正式に抗議。その結果、放送開始前にドラマのタイトルは「サヨナラ、えなりくん」へと変更され、ホームページ上からも「阿部定」などの記述が削除されました。

テレビ朝日は「県民の皆さまにおわびしたい」とコメントし、きりたんぽという言葉自体を番組内で一切使用しないことを約束。“前代未聞のタイトル変更”を経て、異例のスタートを切ることとなりました。

SNSでは「失礼すぎる」「過激…」といった声が一部で見受けられたものの、「麻友ちゃんが生き生きと演技していて嬉しかった」「まゆゆの体当たりのぶっ飛んだ演技がおもしろい」と、のびのびとした演技に喜びの声を寄せるファンも多く、深夜ドラマならではの自由な空気と相まって、好意的な評価も広がっていきました。

思わぬ逆風を受けながらも、独自のテイストで魅せたドラマ『サヨナラ、えなりくん』。まさに“トラブルを乗り越えた作品”という言葉がふさわしい、異色の一作です。


※記事は執筆時点の情報です