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「ホントに生々しい」「すごいの一言」“あまりのリアリティ”に視聴者騒然…だけど「文句のつけようがない」大絶賛された傑作映画

  • 2025.8.29

映画の中には、正義の名のもとに行使される権力が、果たして本当に正しいのか――そんな問いを突きつける作品があります。今回は、そんな中から"司法の闇と戦う社会派ミステリー作品"を5本セレクトしました。本記事ではその第3弾として、映画『64-ロクヨン-』(東宝)をご紹介します。昭和の未解決事件「ロクヨン」の真相と、映画ならではの改変で描かれた衝撃の結末とは?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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adidasのイベントで撮影に応じる女優の榮倉奈々(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『64-ロクヨン-』(東宝)
  • 公開日:2016年5月7日(前編)/ 2016年6月11日(後編)
  • 出演: 佐藤浩市(三上義信 役)

昭和64年1月5日、関東近県で漬物工場を営む雨宮芳男(永瀬正敏)の娘・翔子が誘拐されました。この事件は警察内部で「ロクヨン」と呼ばれ、未解決のまま14年が過ぎてしまいます。時効まで残り1年となった平成14年、当時捜査に関わっていた三上義信(佐藤浩市)は、県警の広報官となっていました。

三上は警察庁長官の「ロクヨン」視察に向けて動き出すものの、被害者の父・雨宮から冷たく拒絶されます。同時に広報官として匿名報道をめぐって記者クラブと対立し、さらに警察内部では刑事部と警務部の権力争いに巻き込まれます。

こうした状況のなか、三上は公私ともに大きな困難に直面。私生活では引きこもっていた娘が家出して行方不明になり、仕事では「ロクヨン」事件当時の重要な捜査資料「幸田メモ」を発見。この記録から、警察組織による証拠隠蔽の可能性に気づくのです。そして真相を追い始めた矢先、「ロクヨン」を模した新たな誘拐事件が発生しました――。

時効目前の未解決“少女誘拐殺人事件”

本作映画『64-ロクヨン-』は、横山秀夫さんの同名小説原作としています。原作小説は累計130万部を超える大ベストセラーとなり、「週刊文春ミステリーベスト10」と「このミステリーがすごい!」の両ランキングで第1位に輝きました。また、原作はピエール瀧さん主演でドラマ化もされています。

映画版の監督を務めたのは、映画『ヘヴンズストーリー』『ラーゲリより愛を込めて』『護られなかった者たちへ』など、社会派の問題作を数多く手がけてきた瀬々敬久さん。本作では前後編2部作で、緊迫感あふれる物語を描きました。

物語は、昭和という時代が幕を閉じる直前の昭和64年1月、少女誘拐殺人事件「ロクヨン」から始まります。昭和64年はわずか7日間しかなかったため、この事件は警察内部で「ロクヨン」と呼ばれました。

未解決のまま14年が経過し、時効が迫る平成14年。かつて事件捜査に携わった元刑事で、現在は警務部広報官として勤務する三上義信役を佐藤浩市さんが演じました。

キャストには綾野剛さん、榮倉奈々さん、永瀬正敏さん、三浦友和さんらが集結。永瀬正敏さんは被害者遺族の父親役に挑むにあたり、14キロの減量でやつれた姿を表現しました。佐藤さんは三上の葛藤を体現し、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞しています。

また、榮倉さんは県警広報室の若手職員・美雲志織を好演。報道との駆け引きや上司である三上との関係性の中で葛藤を抱える役どころです。繊細な心理描写や表情の機微を丁寧に表現することで、役柄のリアリティと説得力を際立たせ、物語全体に厚みを加えています。榮倉さんならではの自然な演技が、広報室という組織内での緊張感や人間ドラマをより鮮明に映し出しています。

前編では警務部と刑事部、そして記者クラブとの確執を丁寧に描き、後編では一転してミステリー色を強めながら、張り巡らされた伏線を回収していく構成です。豪華俳優陣の熱演とともに、人間ドラマとしてもサスペンスとしても見応えのある大作に仕上がっています。

原作との違いが話題に…賛否を呼んだ衝撃のラストとは?

映画『64-ロクヨン-』は、原作と映画版で大きく異なるエンディングを描き、この改変は公開当時から原作ファンや観客の間で議論を呼びました。

原作では少女誘拐殺人事件「ロクヨン」の真相が明らかになり、事件は収束します。主人公の三上義信は、警察組織に潜む矛盾を抱えながらも、その一員として生きることを決意。未来についてはあえて描かず、読者に想像を委ねる結末でした。

一方、映画版では三上が犯人に制裁を加えようと暴走します。最終的に辞職し、部下に後を託すことで物語は幕を閉じます。

瀬々監督は「映画は登場人物の行動を通して物語を見せるもの」という考えから、三上に能動的な選択をさせる結末を選びました。

原作者の横山さんも、この改変を前向きに受け止めているそうです。原作が組織の中で葛藤する主人公を描いたのに対し、映画版は家族との関係に焦点を当てた物語――。横山さんはその違いを理解したうえで、映画ならではの表現として評価しているといいます。

観客の反応はさまざまで、「ありえない」「辻褄が合わない」と落胆する声がある一方で、「衝撃の結末に震えた」「これはこれで正解」と肯定的に受け止める意見も。

重厚な人間ドラマに新たなラストが加わり、映画版は原作の魅力を尊重しながらも、独自の感動と驚きを生み出す作品に仕上がりとなりました。

未解決事件と14年の空白――生々しい脚本に「俳優陣の熱量が伝わる力作」

映画『64-ロクヨン-』は、少女誘拐殺人という未解決事件を追うサスペンスでありながら、「組織と個人の葛藤」を軸にした人間ドラマでもあります。

警察内部に根づく隠蔽体質や部署間の対立、そして記者クラブとの摩擦――。原作者の横山さんは、記者時代の経験をもとに、警察とメディアの複雑な関係を生々しく描き出しました。

さらに本作にはさまざまな「人間の生き様」が巧みに織り込まれています。時間が止まったままの被害者遺族、心を病んで引きこもる元刑事、家出した娘との関係に苦悩する主人公――。事件が残した深い傷跡が、人々の人生をいかに蝕んでいくかが、繊細かつ丁寧に描かれています。

観客からは、「ホントに生々しい」「重すぎる…」と深く感情移入する声や「俳優陣の熱量が伝わる力作」「映画館で観る価値がある「すごいの一言」「文句のつけようがない」といった称賛の声が寄せられました。「人間社会における信念や執念、そしてその限界を描いた傑作」と評する声もあり、本作は単なるサスペンスの枠を超え、観る人の胸に深く迫ります。

映画『64-ロクヨン-』は、組織と個人、真実と虚構、そして人間の尊厳という普遍的なテーマを多層的に描き出した、社会派ミステリーの傑作です。


※記事は執筆時点の情報です