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「責任は大きい」「神経質になりすぎ」テレビ局に抗議の声が上がる“異例事態”に賛否…だけど「とんでもない傑作」大反響の名ドラマ

  • 2025.8.16

テレビドラマの中には、時に大きな波紋を呼び起こす作品があります。今回は、そんな中から“物議を醸したドラマ作品”を5本セレクトしました。本記事ではその第1弾として、ドラマ『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系)をご紹介します。北海道の小児集中治療室を舞台に、若き医師の成長と命の最前線を描いた感動作。その一方で、実在の地名描写をめぐり議論を呼んだ本作の魅力と反響とは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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映画初日舞台あいさつに出席した吉沢亮(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系)
  • 放送期間:2022年10月10日~2022年12月19日
  • 出演: 吉沢亮(志子田武四郎 役)

北海道で生まれ育った27歳の小児科医・志子田武四郎(吉沢亮)は、母・南(大竹しのぶ)と二人暮らし。幼い頃に父を亡くし、女手一つで育てられてきました。

ある日、勤務先の病院に新設されたPICU(=子どものためのICU)に異動することになり、そこでPICU医の植野元(安田顕)と出会います。

植野は、日本各地でPICUの整備を進めてきた小児集中治療のパイオニアで、「日本一広大な自然を相手に、医療用ジェット機を運用した日本屈指のPICUを作る」という“最後の大仕事”を成し遂げるため、東京から北海道へ移住。その揺るぎない覚悟に、武四郎は心を動かされます。

しかし、立ち上げたばかりのPICUは圧倒的な人材不足で急患を受け入れられる状態ではありませんでした。そんな中、稚内市の病院から連絡が入り、発症から4時間経過した少女が運び込まれてきます。子どもたちの命を救うため、過酷な現場で医師たちは限界に挑むことになります――。

連ドラ初の小児集中治療室 - 命の現場を描く涙のヒューマンドラマ

『PICU 小児集中治療室』は、吉沢亮さんが月9で初主演を務めた医療ドラマです。本作は、連続ドラマとしては初めて小児専門の集中治療室=PICU(Pediatric Intensive Care Unit)を舞台にし、命の現場で奮闘する若き医師の姿を描いています。

脚本を担当したのは、『今際の国のアリス』『王様に捧ぐ薬指』などで知られる倉光泰子さん。主題歌には中島みゆきさんの「俱に」が起用されました。医療監修は、日本小児救急医学会理事の浮山越史医師らが担当し、リアリティのある医療描写を支えています。

主人公・武四郎を演じる吉沢亮さんにとっては、大河ドラマ『青天を衝け』以来の連続ドラマ出演で、医師役は本作が初めて。初々しさと繊細さを併せ持つ演技で、多くの視聴者の心をとらえました。

共演には、安田顕さん、木村文乃さん、高杉真宙さん、高梨臨さん、菅野莉央さんといった実力派がそろい、命と向き合う現場のリアルと人間模様を描き出しています。

若き医師の成長と、小さな命をめぐる医療の最前線を描いた本作は、「命とは何か」を問いかける感動作です。

人気ドラマが帰ってきた! “感動の続編スペシャル”

連続ドラマ『PICU 小児集中治療室』は放送時に大きな反響を呼び、その人気を受けて、2024年春にはスペシャル版『PICU 小児集中治療室 スペシャル 2024』が制作・放送されました。

舞台は連ドラから1年後。武四郎は、最愛の母との死別や仕事での挫折を乗り越え、医師として着実に成長。そこへ命の危機に瀕した幼い子どもが搬送され、再び現場で必死に命と向き合う姿が描かれます。

主演の吉沢亮さんをはじめ、脚本の倉光泰子さんや木村文乃さんらレギュラー陣が再集結。さらに新たな研修医が登場し、武四郎が初めて後輩を持つという新展開も。

日本中が泣いた!」のキャッチコピーどおり、連ドラの感動を再び届ける作品となりました。

“医療過疎”と感じさせた演出に賛否上がるも…「とんでもない超大傑作」称賛殺到

多くの視聴者を涙させた感動作『PICU 小児集中治療室』ですが、その第1話の描写が思わぬ波紋を広げました。

物語では、美瑛町の病院から札幌の大学病院へ女児が搬送され、命を落とす場面が描かれています。ところが実際の美瑛町では、町の病院を経ずに旭川の病院へ直接ドクターヘリで運ぶこともあるといいます。

放送後、町議がフジテレビに連絡し、10月12日には番組関係者が町を訪問。町長は懸念を伝え、抗議したそうです。フジテレビは公式サイトで経緯を説明し、誤解を招いた点を真摯に受け止めつつ、医療体制を否定する意図はなかったとしています。

SNSでは、「フィクションでも実在の地名を使えば現実と思われてしまう」「責任は大きい」「作る側は大変…」「フィクションに対して神経質になりすぎ」などの賛否の声が上がり、町への同情や疑問が広がりました。

一方で、「本当に丁寧に作られたドラマ」「最初から最終回までいい話だった」「PICUは医療ドラマ史に残る大傑作」「とんでもない傑作」といった称賛も多く寄せられています。

最終的に、美瑛町とフジテレビは話し合いを経て相互理解に至り、町は今後も地域の魅力発信につながる作品づくりへの協力を表明しました。感動の陰で議論を呼んだ本作ですが、作品の完成度の高さと感動的なストーリーは、幅広い世代から称賛を集めています。


※記事は執筆時点の情報です